子どもは親の異常さに気づきにくい

生きづらさ体験談
文:ははな
第1回
子どもは親の異常さに気づきにくい
私は物心がついてからというもの、とにかく生きることがつらかったです。
なぜかわからないけど、自分は人よりも劣っているし、人にいつも迷惑をかけている存在だといった感覚がありました。
小学校も全然楽しくなくて、学校が終わった下校時はいつも逃げるように大急ぎで家に帰っていたのです。
中学校も行くのが嫌で、まるで学校が針山のように見えていたのを思い出します。
コレが原因でつらい!というのが思い浮かばないけれど、とにかく毎日が息苦しくて緊張していました。
特に周りの目が怖くて、ありのままの自分を表現するなどは、とてもじゃないけど、できはしない!そう感じていたんです。
体も心もコチコチで硬くて、小5の時の体育の授業で先生から「おまえの体は50代のようだ」と言われたのを思いだします。
周りの同級生たちは、冗談を言い合いケラケラ笑い、とても楽しそうです。
でも私にはそれがどうしてもできませんでした。
いつも周りに気を遣っているというか、周りから怒られないように、 そして何とか受け入れてもらえるように・・・そういった思いがベースにあって、どうして私はこんなにも心が弱いんだろう?そう感じていました。
┃生きづらさに気づきにくい環境とは?
親は私のことを大切に思ってくれていて、家庭も超貧乏生活というわけでもないし、 5つ離れた兄がいて、母親は専業主婦で父親は公務員。 私の家はごくごく普通といわれる4人家族の家庭でした。
当時を振り返るに、私は本当に家が好きだったのかな?と。でもそうでもなかったと思うのです。
なぜならうちの家は丘の上にあって坂道を上りながら家路につくのですが、わが家を見ると、そこは太い針でできた針山で、そこに帰ると私は足の裏からは「ザクッ」と太い針を踏んで血まみれになっている、そんなイメージがいつもありましたから。
なのに私は何の疑いもなく、「家ほどいいところはどこにもないね~」と両親に言い、そして両親も「そのとおり、当たり前!家は守ってくれる場所」と言っていました。今から思うに 違和感満載の風景です。
そんな私ですが、大人になって本屋で立ち読みをしたときに「ファミリーシークレット」という題名の本に目が留まりました。その本をざぁ~と立ち読みしたところ、その時に、その謎がとけた気がしました。
┃ファミリーシークレットが問題を見えなくする
私の父親は外ではいい顔をするけど、家の中では暴君でした。 私が言葉尻を一つでも間違うと、まるで突然に野獣のように目をギラギラとして
「われ~ぇ!横着を言うと、裸にして天井からぶら下げて、ぶち回わすぞ!!」と
すごい形相で迫ってきていました。
小学生の女の子にですよ・・・。
そんなとき、母親は見て見ぬふりをしている時がほとんどだけど、時折横から口を挟み、
「お父さんはあんたがかわいいから、そう言っているんだからね、昔からことわざで、かわいさ余って憎さ100倍っていうだろ!」
私のことを思ってこその愛情表現であることを強調していました。
その頃の私は、自分は頭が悪いから親の言っている意味がよくわからないけど、大人になったらわかるだろうと感じていました。
また母親は私には、父親の悪口を思いきり言っていました。
「あんたがこの先、苦労したらいけんから、よ~く聞きなさい。お父さんみたいな、あんな執念深い蛇のような男とは、大きくなったら絶対に結婚したらダメよ。お母さんみたいに苦労するからね」
で、両親はいつもいがみ合っているかというと、そうでもありませんでした。
自分たちの利害が一致するところは、とても楽しそうにご飯を食べながら話をするのです。
それは近所の人や親せきの人の悪口を言うときで、耳をふさぎたくなるぐらいの悪口を父親が始めると、それに同意見の母親が追い打ちをかけて、さんざん悪口を言うのです。
なのに、悪口を言っていた近所の人に道で出会うと、両親は満面の笑顔で、その相手に話しかけるのです。
両親の悪口を聞いていた私は、ふと親せきのおばさんにそのことを言ったんですね。すると、そのあと、私は恐ろしいくらい叱られて、それで「家の中のことを外で言うのは悪いこと」と信じ込んでしまいました。
┃親の犠牲になる子供
私自身が親になり、このからくりがやっとわかるようになりました。
両親は自分の心のストレスを、子供を思うが故の愛情といった屈折した形で、幼い私にぶつけてきてたんですね。
まるで真綿でくるんで私を大切にしているかのようですが、実際は子供を出しにしてストレスの発散をしてただけなんです。
でもそんなストレスの発散では、いつまでたっても解消されるはずもありません。
なので、父親はさらに激怒の度合いが増していき、母親は泣き言や父親に対する憎しみなどもエスカレートしていっていました。
幼い子供というのは、純粋な存在です。だから親が言うことをそのままうのみにしがちです。
で、無意識に世の中というものはとても怖いところだ!といった観念が私には定着していったようです。
その後、私が親の呪縛から解き放たれるまでは随分と長い時間がかかりました。
こればかりはどうしようもない・・・
マイナス思考は自分に染みついているから・・・
何とかそこから脱出したい!と、手探りで本屋で心理学本を立ち読みばかりしていました。
勉強は嫌いだし本も読み始めるとすぐに眠たくなるタイプですが、なぜか心理学本はす~と入ってきたんですね。
いろいろな本に感銘を受けたけど、どんなにつらくても、日常生活は普通にしましょう~それがウツから抜けられるコツです!そういった内容が気を引きました。
なので、いやだなぁ~と思ったことでも、感情はとりあえず横に置いて、とにかくやってみる!とか、今までとは違った行動をすることにチャレンジしてみたのです。
すると、いつもとは違った行動は、不思議なもので、世の中の何かが違って見える!というか 、今までは気づかなかったことが少しは垣間見ることが出てきたんです。
何をしても自分の深いところから変われることは、まぁ無理だろう!と思っていたけど新しい行動というものは、いいにつけ悪いにつけ結果はどうであれ、心理的な何かが変化できる要素があると感じたんですね。
行動して動いてみると、大嫌いなタイプの人にも出会ったけど、損得抜きに私を大切にしてくれる人にも出会いました。これはとても大きな収穫でした。
まだまだ私が抱えているものはありますが、でも確実に昔の自分とは違うと思います。
何よりも昨年、30年以上も一緒に暮らした伴侶に、私から離婚したい!と伝え、そして(調停でもめはしたけど)離婚ができたことは、昔の私では考えられません。
離婚後は生きていけない!といった強烈な恐怖があったけど、現にいま生活ができています。離婚前の生活よりもはるかに快適です。
だからこれからも自分の内面に意識を向けて気づいて、そして怖いけど、自分の思ったことを少しでも行動をしていきたいと思います。
文:ははな
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