欲求を満たしますか、義務感を優先しますか

生きづらさ体験談
文:もくもく
第14回
欲求を満たしますか、義務感を優先しますか
┃三大欲求ではない欲求と向き合う
あなたは今、何か欲求はありますか?
欲求というと、食欲・睡眠欲・性欲といった三大欲求を思い浮かべるかもしれません。
三大欲求は、場合によってはすぐに欲求がかなえられますよね。
では三大欲求ではなく、
仕事を変えたい(もしくは辞めたい)
人間関係を変えたい
などの、すぐにかなえられるとは限らない欲求の場合はどうしますか?
欲求もあるが、すぐには投げ出せないことだってありますよね。
生きづらい人にとっては、その義務感が強くはたらいてしまうことだってあります。
欲求を優先するか、義務感を優先すべきか、どう折り合いをつければいいのでしょうか?
┃「べき、ねば、らしく」に縛られる
私も自分の欲求より、
やるべき
こうしなければ
を優先してしまいます。
私は自営業という立場で喫茶店営業をしていますが、気づいたときには自分で決めたルールに
義務感
という名のもと、縛られていました。
営業時間すら一度決めたものをなかなか変えられず、お客さんが来なくても開け続けていました。
始めた当初は、店を大きくしていずれは人に任せるんだという気持ちから、定休日も作らず営業しました。
もしかしたら、人に任せるということは自分には難しいかも、と気付きながらも何も変えられずにいました。
人によっては、変えられる立場なんだから好きに変えればいいじゃないか
と思うかもしれませんが、義務感が襲ってくるのです。
変えようと思えば、自分で変えられる立場にも関わらず、定休日を作りたいという欲求すらかなえられませんでした。
人間はなぜか
「〜すべき」
「〜しなければ」
「〜らしく」
を気にしてしまうのです。
その縛りのようなものが、強烈に襲ってくる。
私の場合は、
「お客さんのために開けておくべきだ」
「休んでると言われないために、開けておかなければ」
といった気持ちが襲ってきました。
まるで、強力な引力にでも引っ張られるかのように、自分の欲求はセーブされるのです。
┃欲求のためなら行動できる
ただ、思い返せばなぜ店を始めることができたかというと、その根本は欲求を満たすために必死だったように思います。
「いつまでも、従業員の立場でいるわけにはいかない」
「なんとしてでも始めるぞ」
「必ず成功して、家族や世間を見返すぞ」
という欲求が、原動力として強かったのです。
その欲求の結果で、「店を始める」ことができたと思っています。
始めたときは、
「よく始めたね」
「すごいね」
と周りに言われることもありましたが、自分にとってはなんの 「すごさ」も感じませんでした。
それは、始めてみせる!という《欲求》が強くあったからだと思います。。
確かに、計画を進めるための打ち合わせには相当な時間もかかりました。
役所や金融機関に何度も足を運ばなければならず、わずらわしい手続きだっていろいろありました。
それでも始められたのは、やはり「欲求」が強かったからに尽きるのです。
なぜなら、欲求が強ければ
なんとかしたい
できることは何か
どのように進めればいいのか
を調べたり考えたりして、そのための行動ができるからです。
それは、自分の心の中から湧いてくるエネルギーでもあります。
そのエネルギーが、欲求を満たしてくれると思うのです。
店舗を営業していると、
「こういう店をやりたいんだよね」
「カフェっていいよね」
という声を耳にすることもありますが、大半の人は何もせずに終わる人が多いです。
それはやはり、口で言うほど実は欲求として強くないから、現実に行動しないのではと感じます。
┃自分の心に聞いて欲求を満たす
何か物事を変えたい、その欲求を満たしたい、だけど義務感を強く感じるときはあると思います。
ただ、義務感のためだけに動いているときは、本当につらくなってくると思います。
つらくなってこないのであれば、実はその変えたい欲求は強くない可能性もある。
自分の心がどんどんつらくなってくるようなら、欲求を満たすために行動するしかないと思っています。
最初の話ですが、私は重い腰を上げて定休日を作りました。
営業時間も変えました。
結果、変えた当初こそ少し小言を言われましたが、心配したことは特にありませんでした。
そして、心の負担は軽くなりました。
もしあなたが、欲求があっても義務感が勝ってしまって何も動けないという状態なら、自分の心に聞いてみてください。
心がつらくて何か変えたい欲求が強いなら、徐々にでいいので自分の心の安らぎのために行動をしていくといいのかなと思います。
簡単ではないでしょうが、義務感でどんどんつらくなっていくよりは、まずは心が楽になるための欲求を満たす「行動」の一歩を考えていくのもいいのかなと思っています。
文:もくもく
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<目次>
1.『父親は死んだ』とうそをつかれた20年間
2.親に相談できなかった進路
3.私の就職先を偽る家族
4.家族に「負け」を認めたくなかった
5.他人の言動に一喜一憂してしまう
6.自分は生きているのか実感できない日々
7.父親のいない私の離婚と子どもへの罪の意識
8.相談相手は誰でもいいというわけではない
9.自分は本当に不幸なのか
10.自分の軸を持とうと思うとき
11.行動できない自分を認めるということ
12.自己肯定と自己否定に疲れ切ったあなたへ
13.いつも不安と戦うしかないのか
14.欲求を満たしますか、義務感を優先しますか
15.あなたの夢は、本当に必要な夢ですか?
16.生きるとは苦しいことと認める
17.「自信がない」をもたらす真犯人
18.年が変わったからと、目標を立てていませんか?
19.その批判はなんのためですか。
20.ダメな人間は本当にいるの?
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