あなたの夢は、本当に必要な夢ですか?

生きづらさ体験談
文:もくもく
第15回
あなたの夢は、本当に必要な夢ですか?
┃「夢」という言葉に踊らされる
誰もが一度は、夢をもてと言われ、「夢」について考えたことがありませんか。
毎年のようにメディアなどでも、
小学生のなりたい職業ランキング
というものが発信されていますよね。
いまどきは、夢が
You Tuber
という子までいる社会です。
教育の分野でも、
「夢をもて」
「夢に向かって頑張れば、夢はきっとかなう」
など、はやし立てられた人もいるでしょう。
ただ、現実は自分の進路を決めるときや、社会に出るときになって初めて現実的な意味の
「夢」を考えたり、ふと気づいたときには夢なんてなにもなかった人もいたりすると思います。
「夢」は必要なのでしょうか。
┃夢は原動力になる、しかし...
夢は、行動するひとつのきっかけになると思います。
夢をもてば、実現のためには自分がどうするべきかを考え、行動に移すことができる。
行動した結果、形になっていくものがあると思います。
私の場合「独立して店を経営するんだ」という夢をもち、実現のために行動しました。
行動した結果、店をもつこともできました。
ただ、店をもつという「夢」に関してはかないましたが、決して
うまく軌道に乗った
という状態にすることは、いつまでたってもできませんでした。
自分が納得するような状態には、決してならなかったのです。
欲求として夢がかなうことはあっても、
うまくいく
こととは別だと、そのとき気づいたのです。
なぜなら自分本位の、自分の感情を満たすための夢だったからです。
たとえばあなたが、マンガ家になる夢をもったとしましょう。
それを親に言ったら、猛烈に反対されました。
本人は、意地でもマンガ家になってみせると思い、必死で頑張ってマンガ家になりました。
そのマンガがヒットすればいいでしょう。
もしくは、ひとつヒットしたとしても、次々に描くことができればいいでしょう。
マンガがヒットしなかったり、描けなくなったりしたときでも、
自分はマンガ家になってよかった
と思うでしょうか。
「別の道を歩めば人生が変わったかも」
「親に小馬鹿にされて批判されるのでは」
「こんな生活の苦労をするはずじゃなかった」
といったことを思うのではないでしょうか。
少しばかり有名になったマンガ家や作家ですら、次が描けないということはよくある話です。
┃自分本位ではうまくいかない
私たちは何か行動するとき、自分にとっての「打算」を考えているときがあると思います。
特に、「夢」のために行動していくという言葉の裏側に
自分の存在価値を、社会に認めさせてやる
お金もちになって、周りを見返してやる
いっぱい儲けて、ブランド物や高級品を買ってやる
といった気持ちが潜んでいることはないでしょうか。
夢だと思って追った結果が、自尊心を満たしたいだけだったという事実です。
しかし、そのような気持ちでもった「夢」という欲求は、かなったとしてもうまくいかないのだと思います。
たとえうまくいったとしても、心まで満たされるのでしょうか。
もっとあれがほしい
もっと認められたい
といった欲求が、次々湧いてくることはないでしょうか。
私自身は、なかなか店を軌道に乗せることができず、
店を始めてよかった
と思ったことは、今まで一度もありませんでした。
そんなことをふと考え、メタ視点にたったとき
「夢」を実現させて、
自分の存在価値を認めてもらいたい
その結果として、行動できたにすぎないと気付きました。
そこに、真の意味で
誰かのためにものごとを始める
という気持ちがなかったからです。
┃「夢」について、いちから考える
夢を考えるとき、誰もが
自分がしたいこと
自分が好きなこと
を基準に考えると思います。
決してそれ自体を否定するつもりはありません。
間違っているというつもりもありません。
ただ、一歩立ち止まってみてほしいと思うのです。
それは、本当に誰かの役に立ちますか?と。
確かに、人によっては反発されるかもしれません。
しかし、どんな夢も、仕事も、人の役に立っているから
うまくいく
のではないでしょうか。
先の例で言えば、マンガ家だって
読む人の感性を豊かにする
という、相手に対してのおもいやりがあるような気がします。
たくさんの人が関わっている製造業も、
人の生活を豊かにする
という、一種のサービス業だと思うときもあります。
もちろん、人によっては
自分が他人より裕福な生活ができればそれでいい
自分の自尊心が高まればいい
という人もいると思います。
ですが、生きづらい人のなかに、それで心から満足する人がいるのでしょうか。
行動していく原動力として、「夢」は必要だと思います。
しかし、心から満足するためには「夢」をもつとき
これは自分のためだけではなく、人のためになるのだろうか
と、ひと呼吸自分のなかで考えて「夢」をもちたいものです。
文:もくもく
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<目次>
1.『父親は死んだ』とうそをつかれた20年間
2.親に相談できなかった進路
3.私の就職先を偽る家族
4.家族に「負け」を認めたくなかった
5.他人の言動に一喜一憂してしまう
6.自分は生きているのか実感できない日々
7.父親のいない私の離婚と子どもへの罪の意識
8.相談相手は誰でもいいというわけではない
9.自分は本当に不幸なのか
10.自分の軸を持とうと思うとき
11.行動できない自分を認めるということ
12.自己肯定と自己否定に疲れ切ったあなたへ
13.いつも不安と戦うしかないのか
14.欲求を満たしますか、義務感を優先しますか
15.あなたの夢は、本当に必要な夢ですか?
16.生きるとは苦しいことと認める
17.「自信がない」をもたらす真犯人
18.年が変わったからと、目標を立てていませんか?
19.その批判はなんのためですか。
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