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「お金もうけ」にとらわれなくなる話

 

「お金もうけ」にとらわれなくなる話

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生きづらい人生の歩き方

 

第6回
「お金もうけ」にとらわれなくなる話

 

┃お金もうけは「はしたない」

 
カウンセリングをしていて、よく出てくる話題に「お金」があります。
 
お話をうかがっていると、世のなかには「お金もうけ」に対しての考え方が、大きく二分しているのがわかります。
 
一つは、お金をエネルギーだと言い、積極的に「もうけたい」と思っている人。
 
反対に、お金をもうけることを、なんだか「はしたない」と思っている人。
 
じっさいのところ、お金もうけは「はしたない」ことなのでしょうか?
 
たしかに「お金もうけ」をしている人を悪く言う人がいます。
 
ハッキリ言わないまでも、
 
「あいつは、金もうけがうまいからな。」
 
といった表現はよく耳にしますよね。
 
そのセリフには、「はしたないヤツ」というネガティブな意味が含まれていると感じる人は多いでしょう。
 
あいつはどうせズルいことをしている。
 
私は、そんなはしたないマネはできない。
 
そんなことまでしてもうけたくなんてない、と。
 
こんなふうに、お金もうけを「はしたない」と感じている人は、じつはけっこう多いのです。
 
 

┃お金もうけしている人も自分が「はしたない」と感じている

 
お金もうけは、ズルい人がする「はしたない」こと。
 
それに対して経済的な成功者のなかには、こう言い返す人もいます。
 
お金もうけを悪く言う人は本当はお金が好き。
 
それを隠しているから、お金もちを悪く言いたくなるのだ。
 
そんなに好きなら、自分も素直にもうければいいのだ。
 
つまり、お金もうけを「はしたない」というのは、欲しいものが手に入らない気もちの裏返しだというわけです。
 
さらには、
 
「お金がなくて家族の病気を治せなかったらどうするのですか?」
 
と極端な問いを投げかけます。
 
お金があるから大切な人を守れるのだというわけですね。
 
ただ、やはりそのセリフのなかには、「はしたない」と思われたくないという思いが見え隠れしている。
 
だからこそ、家族を引き合いに出してまでお金もうけを正当化しようとする。
 
つまり「お金」へのネガティブなイメージを本人がぬぐい切れてないからこそ、そんな極端な質問をしてしまうのではないでしょうか。
 
 

┃もうけたお金の「活躍の場」がない私の人生

 
そもそも私たちが「もうける」という言葉を口にするとき、「必要以上に得る」という意味で使うことが多いですよね。
 
そのため私自身は「もうける」ことに対して、「はしたない」というより強い「不安」を感じます。
 
なぜなら今の私の人生に、もうけたお金の「活躍の場」がないからです。
 
それは、心、体、環境という「三理」のバランスを取ることで、生きづらい人生を脱け出し、幸せで充実した人生を過ごせているためだと思います。
 
にもかかわらず「もうけて」しまったら、私はいったいそのお金をなにに使ってしまうのだろうか。
 
そのあとも、「三理」のバランスを上手にとっていけるだろうか。
 
無駄なこと、不要なことに大金を使ってバランスを崩しやしないだろうか。
 
そんな「不安」が自然とわいてくるのです。
 
使う場面があってこその「お金」。
 
目的があってこその「お金」。
 
つまり「活躍の場」があってこその「お金」です。
 
車も乗られることがなければ、ただの邪魔な金属と布のかたまり。
 
同じように「お金」も使われなければ、ただの金属と紙のかたまり。
 
だから「はしたない」と感じる文化的な問題以前に、「もうけたい」という欲求が今はわいてこないというのが、私の正直な気もちです。
 
経済成長期やバブル経済の中で仕事をしてきた先輩方から見れば、私のような存在は、なんとも覇気のない中年に見えることでしょう(笑)
 
 

┃「お金の価値」が下がってきている

 
もちろん、私もほぼ寝たきりで食うものにも困っていた頃には、「お金」を必要としていました。
 
「お金の便利さ」を心の底から痛感もしました。
 
しかし現在は、今得られている以上に「お金の便利さ」を必要としていません。
 
アルバイト生活の人でもエアコン付きの部屋に住み、海外旅行に行ける昨今。
 
こういう考え方の人は多いのではないでしょうか。
 
今の日本において「お金の価値」があきらかに下がってきているのです。
 
「お金より大切なものがある」というのは、よく聞く言葉ですが、それはあくまでもお金にはとても価値があるという前提のこと。
 
この言葉には、その価値あるお金でさえも決して買えないものがあるという、お金に対する「絶対的な信仰」が強く含まれています。
 
しかし、もはやそのようなお金への絶対視が崩れはじめ「お金の価値」が目減りしているのです。
 
「お金2.0」(NewsPicks Book:刊)という本のなかでは、著者の佐藤航陽さんも、次のように述べています。
 
「現代で知識そのものがコモデティ化されたことと同様に、お金そのものもコモデティ化し、今ほど貴重なものとは考えられなくなることが予想されます。」
 
コモディティ化とは、高い価値の商品の価値が下がり、どこにでもあるような一般的な商品になることですよね。
 
お金でもそれが起こっているということです。
 
その理由の一つとして、佐藤さんはトークンエコノミーによる、「経済圏の分散化」という未来を予想しています。
 
つまり、ポイントや仮想通貨といった「独自のお金」。
 
まあ、クーポン券のようなものですね。
 
それを使って生活できる小さな「経済圏」がどんどんできあがるということです。
 
じっさいに「楽天経済圏」なんて言葉もありますよね。
 
言うなればそれは、「お金」(法定通貨、日本で言えば円)がたんなる「クーポン券の一種」になってしまうということ。
 
そのため、「お金」をもつことの価値が目減りしていくと予想しているのです。
 
 

┃お金が「たいして気にならないヤツ」に変わる時代

 
今後「お金の価値」は下がっていくでしょう。
 
先述のとおり、お金もうけを「はしたない」と言う人も、またそれに反論し「あなたももうければいい」と言う人も、結局は「お金」が気になっている。
 
こうして「お金」についてのコラムを書いている私も、やはり「お金」が気になっている。
 
「お金」は私たちにとって、気になって気になって仕方のない存在。
 
「はしたない」と言われようが、なんと言われようが、チラチラと横目で見てしまうような、「気になるヤツ」だと言えるでしょう。
 
しかし、これからは違います。
 
せっかくもうけた「お金」も、ため込んでいた「お金」も、使う場のない時代が来るかもしれない。
 
「お金」は、これからの未来を生きる私たちにとって、「たいして気にならないヤツ」になろうとしているのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(しのぶかつのり)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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