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人生が変わる瞬間に必ず起こる問題

 

人生が変わる瞬間に必ず起こる問題 生きづらい人生の歩き方 第20回

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生きづらい人生の歩き方

 

第20回
人生が変わる瞬間に必ず起こる問題

 
私たちは深い苦しみにまみれて、心の底から「人生を変えたい」と願うときがあります。
 
「今までの生き方」を「新しい生き方」に変えたいと望むのです。
 
「今までの生き方」と「新しい生き方」の間には、「現実変更線」というボーダーラインが存在しています。
 
ボーダーラインを越えると、あきらかに人生が変わる。
 
「新しい生き方」が自分の日常となるのです。
 
ただし現実変更線を越える瞬間、必ずある大きな問題が起こります。
 
現実変更線を越えようとするまさにそのときに、自分を「今までの生き方」に引き戻そうとする強い力がはたらくのです。
 
それを私は、
 
「心の引力」
 
と呼んでいます。
 
現実変更線に差しかかった人の心には、次の一歩を踏み出そうとすると、「心の引力」によって、
 
「できない理由」
 
がこれでもかと浮かんでくるのです。
 
「自分には経験がないから」
「この年齢じゃ無理だから」
「お金の目処が立っていないから」
「もう少し準備を整えた方がいいから」
「本当にやりたいことじゃない気がしてきたから」
「以前も試したことがあるから」
「友達がやめた方がいいと言っていたから」
「親に迷惑がかかるから」
「あの人が困るから」
「この人が怒るから」
「その人が悲しむから」
 
ありとあらゆる方向から、現実変更線を越えさせないように「心の引力」がはたらくのです。
 
なぜこのような力が存在するのかと言えば、私たち人間には「行動パターン」を保とうとする性質があるからです。
 
これは、心理学的ホメオスタシスと呼ばれています。
 
参考文献:川島誠一郎「ホメオスタシス」『コトバンク』朝日新聞社
 
そもそも「ホメオスタシス」とは、体温調節や血糖値の調節など、「体内の生理のバランス」を一定に保とうとする性質のことですよね。
 
生理学者であるウォルター・B・キャノンが命名した、人間のもつ強い本能です。
 
参考文献:ウォルター・B・キャノン「からだの知恵 この不思議なはたらき」講談社学術文庫
 
同じように、心理学的ホメオスタシスは、自分の行動が一定のパターンからはみ出さないようにして、危険を避け、自らを守ろうとします。
 
つまり「心の引力」の正体は、自分の身を守るために「今までの生き方」のバランスを保とうとする本能の呼び声なのです。
 
強力なわけですよね。
 
カウンセリングの現場でも、ご相談者様の「心の引力」と向き合わせていただく機会が毎日のようにあります。
 
ご相談者様が変わりはじめ、いよいよ現実変更線を越えようかというそのとき、せきたてられるように次から次へと「できない理由」が挙げられていく。
 
一緒に行動計画を立てていても、セッションの終了時間が近づくと、一気に「できない理由」があふれ出てきて、ご自分で決めた計画をなかったことにしようとなさる場合もあります。
 
また、「問題の引き戻し」をくり返すケースも珍しくありません。
 
今までのカウンセリングの中ですでに解決した問題をあらためて取り出して、はじめて取り組む問題かのように何度も解決なさろうとするのです。
 
もちろん「心の引力」のことは、多くの場合ご相談者様に事前にお伝えしてあります。
 
でも、気づかぬうちに強大な本能に引き寄せられ「できない理由」や「解決済みの問題」を使って、現実変更線を越えなくて済むように振るまってしまうのです。
 
ただしこれは、私たち人間にとって当然のこと。
 
心理学的ホメオスタシスという本能です。
 
「今までの生き方」から「新たな生き方」に移行することは、とても怖いことですよね。
 
未知の場所へと踏み出すわけですから、スムーズに乗り越えられる人は誰一人としていないのです。
 
かく言う私も、新しい講座やサービスをはじめようとすると、毎回「心の引力」の強い力を感じます。
 
いざ準備を開始する日の朝になると、
 
「夜の方がいいアイディアが浮かぶから」
「もっと時間に余裕があるときの方がいいから」
「月末にはじめた方がお客さんに知らせやすいから」
「コラムの執筆の方を優先した方がいいから」
 
とかなんとか言って、あらゆる「できない理由」を挙げはじめる。
 
つまり、新しい講座やサービスを開始することで、日常生活の「行動パターン」が大幅に変わり、未知のできごとがたくさん起こることを、本能が全力で嫌がるわけです。
 
とはいえ、おかげさまでそのような「心の引力」に飲み込まれることなく、しっかりと予定どおりに準備を開始することができています。
 
それは、「心の引力」と距離をとっているため。
 
「心の引力」を客観的にながめて、マネジメントしているからです。
 
ご相談者様もカウンセリングの中で、ご自分の「心の引力」に何度も遭遇することで、だんだんと上手にその力に対処できるようになっていかれます。
 
あなたも、人生を変える局面で「できない理由」が浮かんできたら、「心の引力ではないか?」という視点をお持ちになることをオススメします。
 
もちろん、本当に現実変更線を越える必要がないと思っている場合もありますので、慎重に判断することは大切です。
 
でも「心の引力ではないか?」と客観的に見ようとすることで、「心の引力」と距離をとることができるようになります。
 
やがて強い力に飲み込まれることなく、上手に「心の引力」に対処し、「今までの生き方」から「新たな生き方」へと移行することができるようになっていくはずです。
 
現実変更線を越えるための具体的な方法については、私の著書「生きづらさから脱け出す実践法」の中で詳しく説明しておりますので、どうぞご参照ください。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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読むと心が強くなるコラム

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