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もっとクヨクヨ考えよう

 

生きづらい人生の歩き方 第34回 もっとクヨクヨ考えよう

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生きづらい人生の歩き方

 

第34回
もっとクヨクヨ考えよう

 
私は、昔からものごとをクヨクヨと考えるタチです。
 
あなたはいかがでしょうか?
 
「クヨクヨ考える」という言葉は、ふだんあまりいい使われ方をすることはありませんよね。
 
言葉のうちに、「考え過ぎ」であるとか「根に持つ」とか「暗い性格」といったネガティブな意味が含まれているからでしょう。
 
そのため、落ち込んでいる人に向けた、
 
「クヨクヨ考えるなよ!」
 
という声がけも、純粋な励ましという場合はとても少ない。
 
むしろ、考えても無駄なことをネチネチと悩むんじゃないという、お叱りである場合が多いのではないでしょうか。
 
しかし私は、クヨクヨ考えることに強い意義を感じています。
 
なぜなら、クヨクヨ考えることは、人生を成熟させてくれるからです。
 
以前、こんなことがありました。
 
私がいつもどおり、犬の散歩をしていたときのことです。
 
散歩は私にとって、貴重な考えごとの時間です。
 
また我が家の犬は、過去に突然噛まれた経験があり、犬同士の交流が苦手です。
 
そこに、
 
「あ、同じ種類のワンちゃん!お友達よ!」
 
と、犬を連れて笑顔でかけ寄ってきた女性がいました。
 
夫と思われる男性が後ろからついてきました。
 
私は、軽く会釈をしてとおりすぎようとしました。
 
でも、その女性はかまわず犬同士を接触させてきたのです。
 
案の定、犬たちはすぐに吠え合う状態となりました。
 
私はすぐに犬を引っ込めたのですが、女性はいつまでも笑顔で目の前をどいてくれません。
 
しだいに興奮した相手のワンちゃんが、吠えた拍子に、
 
「パクッ」
 
と我が家の犬の手をくわえてしまったのです。
 
幸い噛まれてはいなかったのですが、相手にそのことを告げると、
 
「うちの子は大丈夫ですよ!」
 
とニコやかに言って、まだ立ち去ろうとしません。
 
いえいえ噛まれそうになったのはうちの方です、と伝えたところ、ずっと気まずそうにしていた旦那さんが女性をうながしてくれました。
 
女性は、不思議そうな顔をしながらも、ようやく目の前をどいてくれました。
 
私は、そのあとにクヨクヨと考えました。
 
こちらがとおり過ぎようとしているのに、なぜわざわざ近寄ってくるのだろう。
 
迷いなく笑顔で立ちふさがったり、うちの子は大丈夫だとか、いったいどこまで前向きなのだ。
 
でも、向こうも悪気があるわけではないし、それだけ犬同士の交流が好きなのだろう。
 
こちらの犬が、そこまで交流が苦手であることも知らなかったわけだし。
 
俺も、もう少し愛想よくすればよかっただろうか。
 
うちの犬にも悪いことをした。
 
次に会ったときには、どう対処するのがいいだろうか?
 
それにしても、どうして犬の飼い主というものは、犬を見ると「あ、お友達よ!」とうれしそうに言うのだろうか。
 
はじめて会ったのだから友達なわけないだろう。
 
犬の立場にもなってみなさい。
 
だいいち、我々人間というものは、いつも自分の世界観を他の生命にも当てはめて、まったくの疑問を持とうともしない。
 
そもそも人間同士であっても、意識の共有は…。
 
と、延々とクヨクヨ考えていたわけです。
 
結果として、今後同じようなことが起きた場合の対処法はもちろんのこと、これからの人生に役立つ多くのアウェアネスを得ることができました。
 
その二日後。
 
まんまと同じ飼い主さん御一行にバッタリ会ってしまったので、あいさつをしてとおり抜けようとしたそのとき。
 
その女性が、
 
「あ、同じ種類のワンちゃん!お友達よ!」
 
と、まったく同じセリフと笑顔で犬を連れてかけ寄り、目の前に立ちふさがったのです。
 
おっと二日前の事件をもうお忘れかと驚いているところを、旦那さんが気づいてくださり、女性はああそうでしたっけと笑顔で立ち去っていきました。
 
それを見て、たいへん失礼ながら私は思ったものです。
 
「もっとクヨクヨ考えようよ」と。
 
この飼い主さんは、交流好きで、前向きで、引きずらない性格。
 
それ自体は、私も一つの貴重な性格だと感じます。
 
場が明るくなり、状況によっては求められる機会も多いでしょう。
 
しかし、今回の状況にかんして言えば、あきらかにその女性の中に見当たらないものがあるのではないでしょうか。
 
それは、
 
「葛藤」
 
です。
 
クヨクヨ考えるということは、まさに葛藤すること。
 
葛藤しつづけることです。
 
その葛藤が、成熟した視点や答えを生みだす。
 
人生そのものを成熟させていくのです。
 
反対に、クヨクヨ考えなければ葛藤は生じません。
 
つまり、迷いがない。
 
迷いなく自分の思いを実行にうつせるのですから、本人は大変気分よく過ごせるでしょう。
 
周囲で誰が傷ついても、本人は気にせず心すこやかに生きていくことができます。
 
それも一つの生き方です。
 
ただ少なくとも私は、やたら前向きになって、自分だけ無邪気でのん気に生きていくくらいなら、クヨクヨ考えて葛藤する人生を選びたい。
 
クヨクヨ考えて、葛藤によって自分を少しでも整え、相手を理解しようとし、状況を活かし、解決力を育み、人生を成熟させていきたいと考えています。
 
たしかに、やみくもにクヨクヨ考えることは、人生をうす暗い粘着質な空間にかえてしまうでしょう。
 
周囲の人も迷惑です。
 
しかし、的確にクヨクヨ考えるその方法さえ身につけてしまえば、「クヨクヨ思考」は人生を発展させる強力な武器にすらなるのです。
 
カウンセリングの場でも、自分を苦しめる「クヨクヨ思考」を上手に自分の味方へと変えていかれる方がおられます。
 
それによって、人生が色を変え、みずからも成熟していくことができるのです。
 
クヨクヨ考えることは、必ずしも悪いことではない。
 
人生を変えていく重要な糧となるのです。
 
だから、私はこの場を借りてあえて言いたい。
 
もっとクヨクヨ考えよう!
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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