向かい風を追い風にする生き方

生きづらい人生の歩き方

第38回
向かい風を追い風にする生き方

前回のコラムで、「苦しみの使い方」を見出せば、この世界における自分の「役割」を見つけることができるとお話しました。

言うなればそれは、向かい風を追い風にする生き方。

人生の逆転法です。

しかし、いったいどうすれば自分の「役割」を見つけることができるのか？

そう悩んでいる方が多くおられます。

つまり、「苦しみの使い方」を見出すには、具体的にどうすればいいのかということです。

たしかに、自分の中にある苦しみをどう使うか考えてみようと言われても、とまどってしまいますよね。

じつは、「苦しみの使い方」を見出すさいに、とても役に立つ明確な手がかりがあります。

それは、

「両極」

です。

ここで言う「極」は、たんなる特徴というレベルを越えた、その人の持つ強烈な性質のこと。

つまり「両極」とは、正反対の極端な性質のことです。

生きづらさを感じている人は、たいていの場合「両極」をもっています。

この「両極」こそが、「苦しみの使い方」を見出す重要な道しるべとなるのです。

「両極」とは、たとえば…、

驚くほど積極的なのに、恐ろしいまでに傷つきやすい。

ささいなことで激怒するのに、すさまじく恐怖心が強くて怒りを表現できない。

散らかっていると死ぬほど気分が悪くなるのに、整理整頓がなによりも苦手。

ミスをするとものすごく落ち込むのに、ありえないほど慎重さに欠ける。

果てしなく称賛を求めるのに、とてつもなく面倒くさがりで結果が出せない。

仕事で活躍したい欲求がものすごく強いのに、人と接することが猛烈に怖い。

異常なまでに性欲が強いのに、女性が怖くてまったく声をかけられない。

人間関係を築くのが何よりも苦手なのに、いつもリーダーを買って出て人気者になろうとする。

あきれるほどせっかちなのに、それに負けないくらいこだわりが強くて作業が進まない。

向上心が激しく強いのに、自尊心がかぎりなくしおれていてやる気がつづかない…。

もしあなたが、このような「両極」を抱えているとしたら。

「両極」のはざまで、死ぬほど苦しんできたはずです。

そして、その苦しみをなんとか解消しようとしてきたはずです。

どちらかの「極」を消そうとしたり、「両極」とも無くしてしまおうと努力したり。

しかし、どんなに努力しても「両極」は完全には無くならなかった。

結果として、その「両極」を抱えながら生き抜いてきたはずです。

あなたなりの考え方や生き方で、「両極」と折り合いをつけ、「両極」に飲み込まれないように工夫し、ときに「両極」を利用してきた。

そして、「両極」と向き合うことから大きな気づきを得て、今日まで生きてきたはずです。

それは言うなれば、

「両極」を包み込んで成熟させてきた

ということにほかなりません。

その成熟の果てに出てきた考え方や生き方とは、いったいどんなものだったのでしょうか？

どんな工夫や利用方法があったのでしょうか？

どんな気づきがあったのでしょうか？

そこには、あなたしか知らない多くの知恵が眠っている。

それはあなたにとって当たり前になり過ぎていて、今までその価値に気づけなかったかもしれない。

しかし、じつはあなたの中には多くの知恵が渦巻いている。

「両極」を包み込んで成熟させたあなただからこそたどり着いた「答え」が、あなたの中にたくさん眠っているのです。

あなたの実体験から生み出されたその「答え」こそが、「苦しみの使い方」を見出す鍵となります。

カウンセリングの場でも、その「答え」を見出すためのワークをおこなうことがよくあります。

あなたがどんな「両極」を抱えているのか見つめてみてください。

その「両極」を成熟させた先に生まれた「答え」に目を向けてください。

その「答え」は、誰のために、なんのために活かすことができるでしょうか？

それが、あなたの「苦しみの使い方」となる。

生きづらいと感じ、「両極」を抱えているあなただからこそ、明確な「苦しみの使い方」を見出すことができるのです。

Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり（信夫克紀）