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生きづらさは誰のせい?

 

生きづらさは誰のせい?

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生きづらい人生の歩き方

 

第59回
生きづらさは誰のせい?

 
「24時間死者数」という言葉があります。
 
事故発生から24時間以内に亡くなった方を「交通事故死者」とする。
 
極端に言えば、24時間1分目で亡くなった方は、
 
「交通事故のせい」
 
で命を失ったのではないということ。
 
「今日は交通事故で何人が亡くなりました」と警視庁が発表しているのは、この人数です。
 
あくまでも統計上のお話しですが、なんとなくスッキリしないものを感じる人もいるかもしれません。
 
「~のせい」とは、そんな不条理なものではない。
 
「あいつのせい」「このできごとのせい」とハッキリと突きつけられるものだ、と。
 
では、こんなお話をご存知でしょうか。
 
それは私がしたことなのか - 行為の哲学入門」(古田徹也:著)のなかで紹介されている実話です。 
 
ある小学生が、校庭でサッカーをしていました。
 
そのボールが校外に出て、バイクに乗っていた高齢の男性がそのボールを避けようとして転倒。
 
足を骨折しました。
 
治療のため入院しましたが、認知症の症状が出はじめ、一年半後、食べ物が誤って肺に入り、残念ながら肺炎で亡くなったのです
 
男性の家族は、1年半前にボールを蹴った少年に男性を死亡させた責任があると主張。
 
少年の保護者を相手に損害賠償を求める民事訴訟を起こしたのです。
 
じっさいの裁判の結果は、大阪地裁が、
 
「少年のせい」
 
であると認めて1,500万円の損害賠償を命じる判決が出ました。
 
少年の保護者は控訴をしましたが、大阪高裁でも1,100万円の損害賠償を命じる判決となりました。
 
ここまでお読みになって、あなたはどう思われたでしょうか?
 
「24時間」と「1年半」。
 
「~のせい」という性質の、言いようのないむずかしさをお感じになったかもしれません。
 
生きづらさを感じている人は、苦しみの原因を「誰かのせい」にしたいと、毎日悩んでいます。
 
もちろん、すべてを「自分のせい」だと感じている人もいます。
 
しかしあまりの苦しさに、「誰かのせい」にせずにはいられなくなる。
 
カウンセリングの現場でも、その恨みや憎しみをこれでもかと吐き出す方がたくさんおられます。
 
親のせい、兄弟のせい、姉妹のせい、夫のせい、妻のせい、子供のせい、親戚のせい、学校のせい、クラスメイトのせい、会社のせい、上司のせい、部下のせい、同僚のせい、社会のせい…。
 
「誰のせい」なのか、ハッキリさせたい。
 
そうしなければ、この苦痛からは逃れられない。
 
それほどまでに生きづらい
 
苦しい。
 
ただ、やがて気づくのです。
 
「~のせい」という延々とつづく鎖の長さに。
 
親のせいにしたら、親はまたその親のせいにしてしまう。
 
その親は、そのまた親のせいにし、その親はそのまた親のせいにする。
 
いくらでもどこまでも、過去のせいにすることができる。
 
ゆくゆくは石器時代を超え、アメーバのような原始生物にたどりつく。
 
そして、どんなできごとであっても、相手が誰であっても、すべては、
 
「ビッグバンのせい」
 
にいきついてしまう。
 
本当に、「誰かのせい」であると決めることなんてできるのだろうか?
 
そんなふうに感じはじめる方が多いのです。
 
許すか、許さないか」でも述べたとおり、かかわるとろくなことにならない問題というものがあります。
 
生きづらさについて「誰のせいか?」と問いつづけることも、まさにそのなかの一つと言えるかもしれません。
 
これは、誰も恨んではいけないということではありません。
 
また、「誰かのせいにしても、その人も誰かのせいでそうなっているんだよ」と無理やり相手を思いやろうという道徳でもありません。
 
単純に、
 
「きりがない」
 
ということです。
 
日々感じる生きづらさについて、
 
「誰かのせいにしなければやっていられない」
 
という思いと、
 
「誰かのせいにしてもはじまらない」
 
という思いの板ばさみに葛藤し、その問い自体を手放せたとき。
 
私たちは、生きづらさから脱け出す出口に、一歩近づくことができるのかもしれません。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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