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心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点

 

心が敏感な人たのめの対処法から抜け落ちている視点

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生きづらい人生の歩き方

 

第79回
心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点

 

┃心の敏感さを計る三つの尺度

 
「心が敏感で悩んでいる」という人がいます。
 
カウンセリングでもよくうかがうご相談です。
 
たとえば…、
 
・少し注意されただけで相手が怖くなってしまう
 
・冗談でバカにされても傷ついてしまう
 
・ささいなことで腹が立ち顔に出てしまう
 
・小さなミスでもひどく落ち込んでしまう
 
・音や匂い、光が気になってイライラしてしまう
 
などなど…。
 
他の人が気にしないようなことが気になってしまう。
 
そして大きく感情が揺さぶられてしまうのです。
 
そんな心が敏感な人のために、多くの対処法が提案されています。
 
どれも理にかなったとても素晴らしい手法。
 
にもかかわらず、取り組んでみてもなかなか楽になれない。
 
相変わらずかんたんに感情が大きく揺さぶられてしまう。
 
それは、もしかするとその対処法から「ある視点」が抜け落ちているからかもしれません。
 
その視点とは「心の敏感さを計る三つの尺度」です。
 
その尺度を無視してやみくもに対処しようとしても、なかなか楽にはなれないのです。
 
 

┃心の敏感さは「感度」と「強度」と「エリア」でとらえる

 
心の敏感さは、次の「三つの尺度」でとらえてみることが大切だと私は考えています。
 
1.感度
 
2.強度
 
3.エリア
 
一つずつご説明いたしますね。
 
「感度」は、どれだけかんたんに反応してしまうかという敏感さです。
 
相手がチラッとこちらを見ただけで「怖い」と感じてしまう。
 
それは「感度」が高いということです。
 
「強度」は、その反応にどれだけ大きく感情が揺さぶられるかという強さです。
 
「強度」が高い人ほど、深く感情が揺さぶられ、持続する。
 
ですので「深度」と言い換えてもいいかもしれません。
 
最後の「エリア」は、どのような出来事に反応してしまうかという範囲です。
 
「エリア」が広い人ほど、日常のあらゆるものごとに反応してしまいます。
 
またその広さは、「過去」や「未来」といった時間の広さにも当てはまります。
 
「過去」にすでに起きたことや「未来」に起こるかもしれないこと。
 
つまり、今現実に起きていないことにも反応してしまうのです。
 
この「三つの尺度」の組み合わせによって、心の敏感さは構成されていると言えるでしょう。
 
だから、「感度」が高くて「強度」の低い人もいます。
 
また、「感度」は低いけど「強度」の高い人もいます。
 
さらに「感度」も「強度」も高く「エリア」の広い人もいます。
 
加えて、それらの度合いは日によっても違うでしょう。
 
寝不足だとイライラしやすくなったり、怖い夢を見たあとにビクビクしてしまうことは、あなたもご経験があるのではないでしょうか。
 
にもかかわらず、「心の敏感さ」について語られるとき、多くの場合これらの多様性がいっさい無視されていると言わざるをえません。
 
そして「敏感な人はこうした方がいい」という「かんたんな論調」に集約されてしまう。
 
だから、なかなか楽になることができないと私は考えています。
 
 

┃心が敏感な人が社会で生きていく方法

 
では、じっさいにどのように対処していけばいいのでしょうか?
 
大きく分けると、次の3つのパターンで考えていくとわかりやすくなるでしょう。
 
まず「感度」が高い場合は「避ける」。
 
熱いものを触ったら熱いように、針で刺されたら痛いように、心も「反応」します。
 
その「反応」が出ないようにすることは容易ではありません。
 
それをかんたんにできるかのように述べられている対処法を、本当に多く見かけますよね。
 
やってみる価値はあると思いますが、やはり限界があります。
 
あまりに苦しくなるようであれば、無理せず「避ける」に切り替えていくことを考えた方がいいでしょう。
 
次に、「強度」が高い場合は「食い止める」。
 
反応してしまったあとの対処をするわけですから、深い感情の闇に引きずり込まれないように食い止めることが大切です。
 
反応してしまったあとにもかかわらず「怖がっちゃダメだ」「気にしちゃダメだ」と、みずからを追い込んでしまう方はとても多いのではないでしょうか。
 
そのような感情の「コントロール」ではなく、感情を遠巻きに管理する「感情マネジメント」に切り替えることが大切でしょう。
 
そして最後の「エリア」が広い場合は、「チカラに変える」ことを考えていきましょう。


つまり、心の敏感さを活かして生きる道を見出していくということです。
 
「感度」が高く、「強度」が強く、「エリア」が広い人。
 
言うなれば「あらゆることに感情を揺さぶられる」という人。
 
それは「心が敏感」なのではありません。
 
「感受性が高い」のです。
 
そのような人が、わざわざこの雑多で無神経な社会に馴染もうとするのは、現実的ではないでしょう。
 
そして、私たちの住むこの社会は、日々避けたり、食い止めたりしながら、とても苦しい無理をしてまで一方的に合わせてあげなければならないほど、立派なものでもありません。
 
だから、その「感受性」の方を中心にした生き方を本気で探してみる。
 
その「感受性」の高さを活かす道を本気で考えてみる。
 
もしあなたが「感受性」が高いと感じているのなら。
 
その「感受性」のおかげで、人より多くの感動を得た経験はないでしょうか?
 
なんてことはない映画やマンガの一場面で、滝のような涙を流した経験はないでしょうか?
 
心を痛めた人を見て、自分のことのように共感してあげられたことはないでしょうか?
 
その「感受性」を磨き上げて生きる道はないか。
 
その「感受性」を誰かの役に立てる道はないか。
 
つまり、その「感受性」を「チカラ」に変える道はないか。
 
真剣にみずからに問い直してみるのです。
 
カウンセリングでも、よくそのワークに取り組みます。
 
敏感な心を無理やり抑えつけて、社会の側に合わせてあげるのではない。
 
感受性の高さを「チカラ」に変えて、みずからの生きる場所を見出していくのです。
 
それを見て「社会から逃げるのか」と言う人もいるでしょう。
 
とんでもない話です。
 
みずから生きる場所を見出し、みずからの「感受性」を活かす世界を創り上げること。
 
そしてその感受性を「チカラ」に変えて、誰かの役に立つこと。
 
それは、まぎれもなく「チャレンジ」です。
 
社会から逃げるどころか、社会の枠をみずからの感受性合わせて広げるという「チャレンジ」。
 
そしてその「チャレンジ」は、感受性が豊かな人にしか与えられない機会。
 
誰でも挑戦できるわけではない。
 
心が敏感だからこそ挑戦できる、貴重な人生の冒険なのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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