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更新日:2021年1月10日

私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群

 

私の「すべて」をわかってもらいた - わかってもらいたい症候群

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生きづらい人生の歩き方

 

第104回
私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群

 

┃わかってもらいたい症候群とは?

 
苦しい。
 
この苦しみをわかってもらいたい。
 
私は仕事がら、そんな切ない願いを数えきれないほどお聴きしてきまいた。
 
生きづらい人は、とくにそのような願いを抱えてしまいますよね。
 
なぜなら、その苦しみが他人からは見えにくい「わかりにくい不幸」だからです。
 
そのために、わかってもらえない体験を日々重ねざるをえない。
 
本当に苦しい体験です。
 
そして、だんだんと「わかってもらいたい」という思いが強く、激しくふくらんでいく。
 
だから、たとえわかってくれる人が現れたとしても満足できなくなる。
 
あそこをわかってくれていない。
 
ここもわかってくれていない。
 
もっとちゃんとわかってほしい。
 
やがて、そんな思いがふくらみすぎて「ある願い」を抱えることになるのです。
 
その願いとは「私のすべてをわかってもらいたい」という願い。
 
わかってもらえない体験をしすぎたあまり、誰も自分の存在を見ていないような気がしてくる。
 
私を見て欲しい。
 
私を知ってほしい。
 
その結果「私のすべて」をわかってもらうことを、いつのまにか望んでしまうようになるのです。
 
それは「わかってもらいたい症候群」ともいえる状態。
 
自分も周囲の人も、まるでドロ沼にハマるように、その粘っこい「わかってもらいたい」という願いに引きずりこまれていってしまうのです。
 
 

┃「理解」と「共感」は違う

 
このような「わかってもらいたい症候群」にハマる人は。
 
じつは、ある一つの「違い」に気づいていないことが多いと言えるでしょう。
 
それは、「理解」と「共感」の違いです。
 
「理解」とは、文字どおり、相手の言うことの理屈をわかることです。
 
一方「共感」は、理解したうえで同じ思いになること。
 
相手の言うことに納得し、感情を分かちあうことです。
 
「わかってもらいたい症候群」にハマる人は、わかってもらうとは「共感」してもらうことだと考えています。
 
「理解」を超えて同じ思いを分かちあって欲しい。
 
同じ痛みを分かちあって欲しい。
 
そう考えている場合が非常に多いのです。
 
しかし・・・。
 
話を聴いている側の人は、当然すべてのことに「共感」できるわけがありません。
 
「理解」しかできないことがある。
 
いえ、ほとんどの場合「理解」にとどまることばかりでしょう。
 
だから、わかってもらいたい症候群の人は、いつも、
 
「あなたはわかってくれていない!」
 
と不満を感じてしまう。
 
どんなに相手が「理解」を示してくれていても、「共感」をしてくれなければ、わかってもらえなかったと感じてしまうのです。
 
その結果、せっかく「理解」を示してくれた人さえも、やがて離れていってしまうのです。
 
 

┃わかってもらいたい症候群の人が本当に求めているもの

 
私たちの使う「わかってもらいたい」という言葉には、じつは一つの特徴があります。
 
それは、楽しいときにはあまり使われないということ。
 
苦しいときに使うわれる場合がほとんどなのです。
 
これは「わかってもらいたい症候群」の人に、とくによく見られる傾向です。
 
楽しいことは、とくに分かちあえなくてもいい。
 
苦しいことを、分かちあって欲しい。
 
苦しいことに、「共感」して欲しい。
 
つまり、ハッキリ言ってしまえば「同情」して欲しいのです。
 
「かわいそうだね」
 
「悪いのはすべて相手のほうだよ」
 
そんなふうに「同情」してもらいたい。
 
そうしてはじめて「わかってもらえた」と感じることができるのです。
 
「わかってもらいたい症候群」の人は、言葉のすみずみにその願いがにじみ出てしまう。
 
苦しさのあまり、どうしてもその願いを隠しきれないのです。
 
だからこそ、なかなか、わかってもらえる人に出会えなくなってしまう。
 
なぜなら、自分自身を「悲劇のヒロイン」だと憐れんでいる人を、まともに相手にしてくれる人はいないからです。
 
わかってもらいたい症候群の人は、こんな切なく苦しい矛盾を抱えて生きているのです。
 
 

┃本当に「すべて」をわかってもらっていいのか?

 
わかってもらいたい症候群の人は、「私のすべてをわかってほしい」と感じています。
 
しかし、本当に「すべて」をわかってもらいたいわけではないのです。
 
今見たように、その「すべて」のなかに、楽しいことやうれしいことは含まれていません。
 
そして、その「すべて」のなかに含まれていないことが、じつはもう一つあるんです。
 
いったいなんでしょうか?
 
それは「自分にとって都合の悪いところ」です。
 
これは「自分の醜いところ」ではありません。
 
わかってもらいたい症候群の人は、逆に「自分の醜いところ」を積極的にさらけ出そうとします。
 
「そんな私でも受け入れてくれますか?」と相手を試すかのように、自分の醜いところをアピールしてしまうのです。
 
でも「自分にとって都合の悪いところ」はひたすら隠しとおそうとします。
 
たとえば・・・。
 
わかってもらおうとしているばかりで、自分は他人をわかろうとしていないこと。
 
苦しんでいるのは他人の責任だけではなく、じつは自分にも責任があること。
 
つまり、それを言ったら「同情」を得られなくなるところ。
 
そこは必死で隠す。
 
自分でも見て見ぬふりをする。
 
いえ、はじめから見ようともしない。
 
そして、そんな「身勝手」で「ズル賢い」ところも、必死で隠そうとする。
 
だから、わかってもらいたい症候群の人にとっての「すべて」とは、「自分にとって都合のいいすべて」にすぎないということ。
 
自分が「かわいそう」でいられるところだけを「すべて」と呼んでいるにすぎないのです。
 
もしあなたのまわりに「私のすべてをわかって欲しい」と願っている人がいるなら。
 
こうたずねてみてください。
 
「本当にあなたのすべてをわかっていいの?」と。
 
 

┃「わかってもらいたい症候群」から脱け出す方法

 
そしてもし、あなた自身が「わかってもらいたい症候群」におちいっておられるのなら。
 
ご自分にこうたずねてみてください。
 
「そもそも、私は私のすべてをわかっているのか?」と。
 
「すべて」を知らなければ、それが「すべて」かどうか判断できません。
 
「日本」しか知らない人が、これが「世界のすべてだ」と言ったとしても誰も耳を傾けないでしょう。
 
他人に「すべて」を求めるなら、それが本当に「すべて」なのか把握していなければならない。
 
だから・・・。
 
まずは自分で自分をわかってあげてください。
 
とことんまで、自分で自分に「共感」してあげてください。
 
人から同情を誘う「かわいそうなところ」だけではなく、楽しいところも、うれしいところも。
 
そして、優れているところも、恵まれているところも。
 
そして、自分も人をわかってあげていないところも、自分にだって責任があるところも。
 
そして、身勝手なところも、ズル賢いところも。
 
みんな「共感」してあげてください。
 
そうしてはじめて、あなたはあなたの「すべて」に近づくことができる。
 
「わかってもらいたい症候群」から脱け出していくことができるのです。
 
それでもやっぱりあなたは、自分の「すべて」をわかってあげることはできないでしょう。
 
なぜなら・・・。
 
あなたの「すべて」をわかってくれる人は、自分もふくめてこの世に存在しないから。
 
誰だって、一人の人間の「すべて」をわかることなんて、できやしないのですから。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.AI時代に生き残る仕事
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.これからのビジネスの成功法則
4.善人なんていない
5.お金は好きですか?
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.「リア充」を目指すより
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.人に拒絶されると傷ついてしまう
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.仕事は三つもつ
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
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51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.居場所がない
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.苦手なことへの適切な対処法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
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82.著名人と自分を比べてしまう
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84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
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95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
 


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