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すぐに役立つセロトニン基礎知識(2)

 

セロトニンを増やす方法

 

2.セロトニンを増やす方法

 

1.なぜセロトニンが減るのか?

 
セロトニンを増やす方法があることは、さまざまな研究結果からもわかっています。
 
その方法をお伝えする前に、そもそもなぜセロトニンが減るのかという、セロトニンが減ってしまう理由について解説していきたいと思います。
 
それは、セロトニンの発生源と関係があります。
 
セロトニンは、脳の縫線核(ほうせんかく)というところにある『セロトニン神経』から分泌されています。
 
セロトニン神経は、私たちが起きているあいだ絶え間なく活動して、幸せ物質であるセロトニンを発射しています。
 
そのセロトニン神経が苦手なものがあります。
 
それは、
 
『ストレスを感じ続けること』
 
です。
 
セロトニン神経は、長い期間ストレスを感じ続けていると、どんどん弱っていってしまい、セロトニンを発射する回数が減っていってしまいます。
 
つまり、脳内のセロトニンがどんどん減っていってしまうのです。
 
肝っ玉母さんセロトニンの大ピンチです。
 
すなわち、私たちの大ピンチですね。
 
肝っ玉母さんセロトニンがあまり活躍してくれなくなったら・・・。
 
私たちは心と体のバランスをくずし、
 
・必要以上に不安を感じたり
・欲求に振り回されたり
・無駄にドキドキしたり
・やる気がなくなったり
 
日常生活に大きな支障が出るようになるのです。
 
だから、セロトニン神経が弱らないように。
 
普段からセロトニン神経を鍛える方法を実践することが大切ですよね。
 
それがまさに、
 
『セロトニンを増やす方法』
 
になるわけです。
 

2.太陽の光を浴びる

 
セロトニンを増やすには、主に3つの方法があります。
 
つまり、肝っ玉母さんセロトニン大好物があるわけです。
 
まず一つ目は、
 
『太陽の光』
 
です。
 
太陽の光がセロトニン神経を活性させるスイッチになるのです。
 
セロトニン神経は、主に日中、私たちが起きている間だけ活動するという特性があります。
 
太陽光を浴びることで、その活動のスイッチが入ると考えられているのです。
 
目の網膜に光が入ることが重要なので、肌を太陽光にあてる必要はありません。
 
また夏のように日差しが強い季節は、長時間の日光浴はストレスとなってしまいます。
 
長時間のストレスは、逆にセロトニンを減らす原因になります。
 
光を浴びる時間は5分程度でかまいませんので、毎日つづけることが大切です。
 
また、外での直射日光ではなく、室内での日光浴でも十分に効果があると言われています。
 
曇りの日でも、カーテンを開ければ十分な明るさの太陽の光を取り入れることができます。
 
セロトニンを増やすためには、2,500ルクス~3,000ルクスの光が必要です。
 
100~500ルクス程度しかない通常の電灯では、効果が得られません。
 
窓際に机を置くなどの工夫で、できるだけ太陽の光を浴びる機会を日常生活の中に増やしていきましょう。
 
と言っても、太陽を直接見る必要はありません。
 
光を感じる程度でかまいません。
 
早速、明日の朝から、目が覚めたら真っ先にカーテンを開けるようにしてみましょう。
 
これを習慣にし続けるだけでも、セロトニンを増やすことができます。
 

3.リズム運動

 
セロトニンを増やす方法、2つめは『リズム運動』です。
 
『リズム運動』とは、筋肉をゆるめ、緊張させることを一定のリズムにのってくり返す運動です。
 
たとえばウォーキング、ジョギング、自転車こぎ、ダンス、また座禅やヨガなどが、セロトニンを増やすのに効果的ということが、さまざまな研究結果からあきらかになっています。
 

<参考文献>
坐禅の呼吸法がセロトニン神経を活性化させる
自転車こぎがセロトニン神経を活性化させる
ガムを噛む運動がセロトニン神経を活性化させる

 
「座禅やヨガもリズム運動なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
 
実は、セロトニンを増やすリズム運動には『呼吸』も含まれているのです。
 
正しい呼吸法を身につければ、座禅のような一見座っているだけに見える行動でも、しっかりとセロトニンを増やせることが実験結果からも明らかになっています。
 
ウォーキングやジョギングなども、ただおこなうだけではセロトニンを増やすことはできません。
 
意識の集中が必要で、おしゃべりしながらなどの『ながら運動』では効果は期待できないのです。
 
また、疲れない程度の軽い負荷でおこなうことも大切とい言われています。
 
疲れやストレスはセロトニンの敵だからです。
 
リズム運動の時間は、5分~30分程度おこなうのが基本となります。
 
リズム運動を始めてから5分くらいするとセロトニン神経の活性が始まり、20分から30分でピークをむかえると言われています。
 
3ヶ月間継続するだけで、セロトニン神経の構造が、セロトニンを分泌しやすい状態で脳に定着し始めることが期待できます。
 
そのためにも疲れない程度に、ストレスを感じない程度に、日々続けていくことができる自分に合ったリズム運動を選ぶことがとても大切なんです。
 
セロトニンを増やす方法の1つ目としてご紹介した「太陽の光を浴びる」と合わせて、ぜひ生活の中に取り入れていきたい習慣ですね。
 
次は3つ目のセロトニンを増やす方法をご紹介いたします。
 

4.グルーミング

 
セロトニンを増やすための3つめの方法。
 
それは、『グルーミング』です。
 
『グルーミング』とは、日常生活の中でおこなうスキンシップ、触れ合いのことです。
 
グルーミングをおこなうと、私たちの脳の中にある脳下垂体という部位から
 
『オキシトシン』
 
という物質が放出されます。


このオキシトシンが、
セロトニン神経にまで届き、
 
「セロトニンを出してください」
 
という合図をしてくれるのです。
 
セロトニン神経には、その合図をもらうための『オキシトシン受容体』というものが備わっているのです。
 
まさに「幸せの連携プレー」といえるかもしれませんね。
 
グルーミングで、心がほぐれたり、なんとなく幸せな気分になるのも、このオキシトシンのおかげと言われています。
 
直接の触れ合いはもちろんのこと、気の置けない人たちとの楽しい会話や、赤ちょうちんで同僚と語り合うのもグルーミングになります。
 
また、人間同士だけではなく、ペットと触れ合うのも効果的です。
 
夫婦でお互いにマッサージや肩たたきをしてあげる。
 
子供や孫と一緒に遊ぶ。
 
親しい友人と握手やハグをする。
 
触れ合うのが嫌な相手でなければ、どんな触れ合いでもセロトニンを増やすことにつながります。
 
セロトニンを増やす方法である「太陽の光を浴びる」「リズム運動」と同じく、日常習慣にしやすい方法ですよね。
 
オキシトシンとセロトニンの「幸せの連携プレー」を意識しながらグルーミングしてみると、より幸福感がUPするかもしれませんね。
 
以上が、セロトニンを増やすと言われる3つの方法です。
 

5.セロトニンを増やす方法の注意点

 
ここまで、セロトニンを増やす方法を3つご紹介いたしました。
 
じつは、これらの方法、1度やっただけでは一時的な効果しか得られないので注意してください。
 
脳内のセロトニン量を保つためには、毎日つづける必要があります。
 
ただし、まずは一日5分の習慣にするだけでOKです。
 
この手軽さが魅力ですよね。
 
筋肉を鍛えるのと同じです。
 
セロトニン神経も、少ないトレーニング量からコツコツと毎日習慣化していくことで鍛えられます。
 
そして、だんだんとセロトニンの放出量を増やしていくのです。
 
最初は5分から始めて、徐々に時間を延ばしていきます。
 
最終的には、毎日30分程度を習慣にするのが理想的です。
 
またセロトニン神経の構造を変えるためには、最低でも3ヶ月のつづけることが必要です。
 
といっても、3ヶ月目に突然調子が良くなるわけではありません。
 
少しずつ調子がよくなることを考えると、その効果を日々楽しみながら続けていくことができますよね。
 
ただし習慣にし始めて数日目から一時的に調子が悪くなってしまう場合があります。
 
この点も注意してください。
 
これはセロトニンの量が増えたことを脳が感知したことによって、一時的にセロトニンの放出をおさえてしまうためと考えられています。
 
つまりそのまま習慣化していけば、セロトニンが増えた状態がスタンダードとなって不調は消え、好調の波に乗っていくことができるというわけです。
 
そして心と体の調子が良くなってきたあとも、そこで油断しないようにしましょう。
 
先ほどご紹介したように、セロトニン神経の構造変化が私たちの脳に定着するのには、3ヶ月程度かかります。
 
そのままセロトニンを増やす習慣を生活の一部としていくことが大切です。
 

参考文献
成田正明他「Clinical Neuroscience Vol.21 (03年) 06月号 セロトニンをめぐって」中外医学社
有田秀穂「セロトニン欠乏脳」NHK出版
信夫克紀「セロトニン活性を成功させる三理一体の法則 - うつ病、PTSD、ボタノフォビア諸症状緩和の考察」2014
Yu X,et al「Activation of the anterior prefrontal cortex and serotonergic system is associated with improvements in mood and EEG changes induced by Zen meditation practice in novices」『International Journal of Psychophysiology 2011; 80』
Fumoto M,et al「Ventral prefrontal cortex and serotonergic system activation during pedaling exercise induces negative mood improvement and increased alpha band in EEG」『Behavioural Brain Research 2010;213』
Mohri Y,et al「Prolonged rhythmic gum chewing suppresses niciceptive response via serotonergic descending inhibitory pathway in human」『Pain 2005;118』
シャスティン・ウヴネース モベリ他「オキシトシン: 私たちのからだがつくる安らぎの物質」晶文社
セロトニンDojo「脳ストレスが消える!セロトニン&オキシトシン生活」宝島社

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