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すぐに役立つセロトニン基礎知識(5)

 

セロトニンと脳の画像

 

すぐに役立つセロトニン基礎知識

 

1.セロトニンを増やす食事

 
ここからは『セロトニンを増やす食事』についてご説明したいと思います。
 
特に、どんな 「食べ物」 がいいのか、そして、どんな「“食べ方」 がいいのかという2点を中心にご紹介いたします。
 
まずは、どんな 「食べ物」 がいいのかをご紹介しますね。
 
セロトニンが体内で作られるためには、主に三つの栄養成分が必要になります。
 
私はこれを、
 
『セロトニン三種の神器』
 
と呼んでいます。
 
一つ目の神器は、必須アミノ酸の一種でセロトニンの原料となる『トリプトファン』。
 
二つ目は、トリプトファンからセロトニンを合成するのに必要なエネルギー源『炭水化物』。
 
三つ目は、トリプトファンからセロトニン合成を促進させる『ビタミンB6』。
 
この『三種の神器』が入った食べ物をしっかり食べることで、脳内のセロトニン合成が活発になるのです。
 
せっかくセロトニンを増やす方法をおこなっても、セロトニンの“原料”が無ければ、十分な効果が期待できなくなってしまいます。
 
でも、そんなに心配しないで大丈夫。
 
無理に大量の『三種の神器』をとろうとしなくても毎日の食事の中に少しずつ含めていけば、十分な量をとることが可能なんです。
 
それでは、実際にどんな食べ物に含まれているのかをご紹介しますね。
 
●第一の神器 『トリプトファン』
・ 大豆製品(豆腐、納豆、味噌、醤油、枝豆、豆乳、きなこなど)
・ 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
・ 鶏卵
・ 魚卵(タラコ、スジコ、明太子など)
・ ゴマ、ナッツ
・ カツオ節
・ アボカド
・ バナナ
 
●第二の神器 『ビタミンB6』
・ 魚類(サケ、サンマ、イワシ、マグロ、カツオ、サバなど)
・ バナナ
・ にんにく、しょうが
・ 未精製の穀類(玄米、胚芽パンなど)
・ 豆類(大豆、ヒヨコ豆、レンズ豆など)
 
●第三の神器 『炭水化物』
・ 穀類(ご飯、麺類、パンなど)
・ いも類
・ 果物(バナナなど)
 
以上が、『三種の神器』が含まれた食べ物です。
 
ご覧の通り、特別な食べ物はありません。
 
ぜひ、毎日の食事の中に意識的にふくめていくようにしてみてください。
 
特にバナナは『三種の神器』が全て入っている「セロトニンフード」とも呼べる食べ物です。
 
朝食やオヤツなどに、気軽に取り入れてみましょう。
 

2.一口20回以上噛む

 
次に、どんな 「食べ方」 がいいのかをご紹介いたします。
 
といっても、なにやら難しい調理法のお話をする訳ではありません。
 
ただ単純に『よく噛む』というだけのお話なんです。
 
といっても、消化を良くするために『よく噛む』のではありません。
 
食事をリズム運動にするためのトレーニング方法なんです。
 
セロトニンが、咀嚼運動(噛む運動)によって脳内で増えることはすでにご紹介したとおりです。
 
だから食事の時に、一口ごとに『よく噛む』ことは、立派なセロトニンを増やす方法になるのです。
 
5分以上のトレーニングで、セロトニン神経が活性し始めると言われています。
 
だから、ササっとご飯をかき込んでしまっては、トレーニングの効果が期待できません。
 
最低でも、一口20回以上は噛むようにして、5分以上かけてゆっくり食べるようにしましょう。
 
またセロトニンを増やすには、『リズム運動』に 集中する”ことも必要でしたよね。
 
したがって、おしゃべりしながら、テレビを見ながらの食事では、『よく噛む』ことの意味が薄れてしまいます。
 
一日に一度は、目の前に毎日食べ物があるという「奇跡」に思いを馳せながら、一人で集中して食事をとるようにしてみてはいかがでしょうか。
 

3.肉がいいか?魚がいいか?

 
次に、セロトニンを増やす食事メニューにおいて「肉がいいのか魚がいいのか」についてご説明をしたいと思います。
 
セロトニン第一の神器である、セロトニンの原料『トリプトファン』は、たんぱく質に多く含まれています。
 
たんぱく質の代表といえば「肉」ですよね。
 
「肉」には動物性たんぱく質が多く含まれています。
 
実はこの動物性たんぱく質が、トリプトファンを脳に取り込みにくくするといわれているのです。
 
そこで 「魚」 の方がよい、ということになりそうですが、「魚」 にももちろん動物性たんぱく質が含まれています。
 
「魚」 の種類によっては、「肉」 よりも多く含まれているものもあります。
 
セロトニンのための食事という点では、「肉」 も 「魚 」も、とり過ぎには注意した方がよさそうですね。
 
ただ、「魚」の方が、第二の神器である 『ビタミンB6』が多く含まれています。
 
総合してみてみると「肉」と「魚」では、「魚」を選んだ方がいいと言えるでしょう。
 
これらの動物性たんぱく質とは逆に、トリプトファンを脳内に取り込みやすくしてくれる栄養素として、第三の神器である 『炭水化物』をご紹介しましたよね。
 
したがって、たんぱく質を控え目にして、お米、麺類、パンなどの『炭水化物』中心の食事にすることが、あくまでも脳内のセロトニンを増やすのには好都合と言えるでしょう。
 
参考文献
有田秀穂「脳からスッキリストレスを消す辞典」PHP研究所
信夫克紀「セロトニン活性を成功させる三理一体の法則 - うつ病、PTSD、ボタノフォビア諸症状緩和の考察」2014
 
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