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この世界を知り、生きづらさから脱け出す

 

Brain with Soul現象

 


第8回
あなたの意志のありか

 
前回までの内容で、私たちの人生は何も決まっていないも同然だということを、一緒に確認してきました。
 
しかし、意識の正体がただの受動的な機能だとしたら。私たちに『意志』はあるのか?
 
さらに『自由な意志』などありうるのか?
 
あるとすればいったいどこにあるのか?
 
心配になりますよね。
 
それがわからなければ、あなたもこの世界の法則と『ゆらぎ』によってただ流されるしかないことになってしまいます。
 
でも大丈夫。
 
私たちには、しっかりと『意志』が存在します。
 
その『意志』が存在する場所。
 
それは、
 
『遺伝子と脳』
 
です。
 
ただしこれは、この物理空間において『意志という役割』を説明するなら、遺伝子と脳がそれにふさわしいという程度の意味です。
 
または、人間が感知できる物理空間という場において、遺伝子と脳波そう表現されているというだけのお話です。
 
さて、あなたの遺伝子には、あなたの体の作り方はもちろんのこと、基本的な性格や行動の仕方まで、こうするときにはこう振る舞うという「傾向」が書きこまれています。
 

<引用>
しかし今や、分子生物学の発展およびその成果により、性格も行動も、その根底に遺伝子支配があることは疑う余地がないところまできている。 

(引用元:都築政起「心も遺伝子に支配されている?」)
 
これを私は、
 
『潜在意志』
 
と呼んでいます。
 
さらに、私たちはここに脳の働きによって新たな「判断基準」を加えていきます。
 
そして、ものごとを決定し決断するわけです。
 
このはたらききの方を、
 
『表面意志』
 
と呼ぶことにしましょう。
 
この二つが合わさったものが、私たちの『意志』です。
 
つまり『意志』とは、『ゆらぎ』に決定事項を受け渡すまでの『遺伝子』と『脳』のはたらきと言えるでしょう。
 
私たちが普段感じている意志は、『表面意志』の方です。
 
一方、
 
「なぜ生きるのか」
「なぜ死にたくないのか」
 
といった、なかなか答えようのない意志が『潜在意志』です。
 
言うなれば、否応なしに決められている意志です。
 
だから答えようがないのです。
 
生命維持に密接にかかわっている『脳幹』などの部位は、『潜在意志』の代表だと言えるでしょう。
 
だから、その『意志』をなかなかうまく意識に表現することができません。
 
ただ、『潜在意志』であっても、私たちの意識に表現されやすい脳部位があります。
 
それは『扁桃体』です。
 
扁桃体の『意志』は、「恐怖」や「怒り」として意識に表現されますが、そのスピードは速く、意識に表現されるよりも先に私たちを動かします。
 
そのため扁桃体は、『潜在意志』とも言えるし、 『表面意志』の最深部とも言えるかもしれません。
 
扁桃体の性質については、またしっかりとのちほど章を割いて解説していきますね。
 
では逆に、意識にもっとも表現されやすい『意志』はいったいどこになるのでしょうか?
 
それは『前頭前野』です。
 
でも、その決定力はとても不安定。
 
さまざまな局面に柔軟に対応するために、直前の決定や外からの刺激の影響をあっさり受けて、ゆらいでしまいます。

なにかを決めようとすると、神経細胞から神経細胞への合図(発火)が不規則になってしまうのです。

<引用>
「前頭前野には、問題解決、つまり、最終目標を達成するための具体的行動目標の決定に対応して、発火頻度の選択性を変化させる細胞が存在する」

「その選択性の変化に先立ち発火ゆらぎが上昇する」

「神経回路の分岐に伴い発火の不規則性は上昇しうる」

「これらの結果は、前頭前野の柔軟な意思決定の背後には、前頭前野の神経回路自身が相転移・分岐を通して柔軟に状態を変化させていることを示唆している。」

(引用元:坂本一寛「問題解決の前兆としての前頭前野神経活動ゆらぎ」)
 
つまり、表面意志は、決定に至るための「理由」や「迷い」が見えやすい。
 
そのため、私たちの意識に「意志」として表現されるわけです。
 
このように、私たちの体の中にある『遺伝子』と『脳』が、みずからものごとを決めているのです。
 
だから、あなたにはちゃんと意志があります。
 
ご安心いただけましたでしょうか?
 
「いやいやしのぶさん、 これだとやっぱり、“私”はなにも決めてないってことでしょ?」
 
なるほど、たしかにそう思えるかもしれません。
 
では、ここで質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?
 
あなたの『意志』は、あなたの『遺伝子』と『脳』の中にあります。
 
では、その『遺伝子』と『脳』は、あなたのものではないのでしょうか?
 
もし、あなたのものでないとしたら、いったい誰のものなのでしょうか?
 
あなたの『遺伝子』と『脳』が決めたのなら、それはあなたが決めたということ。
 
それが、
 
『あなたの意志』
 
だということです。
 
その結果を、意識が受け取っているのです。
 
たしかに違和感があります。
 
でも意識は、決定事項を受け取る 『受け皿』に過ぎません。
 
あとから現象を感じ取っているに過ぎない。
 
『あなたの』の意志のはたらきは、『あなた』の遺伝子と脳にあるのです。
 
その結果を、意識があとから感じ取っているだけなのです。
 
この感覚、なかなか慣れないかもしれません。
 
でも、この意志と意識の関係を、心の底から理解してしまえば、これほど心強いものはありません。
 
なぜなら、「生きづらい」という意識がなぜ生まれるのかが理解できるからです。
 
次回はいよいよ、その生きづらい意識が生まれる仕組みについて解説させていただきたいと思います。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
 
参考文献
キース・E・スタノヴィッチ「心は遺伝子の論理で決まるのか」みすず書房
都築政起「心も遺伝子に支配されている?」化学と生物 Vol 39,No.10,2001
坂本一寛「問題解決の前兆としての前頭前野神経活動ゆらぎ」生物物理 55(1)2015
 
 
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