この世界を知り、生きづらさから脱け出す

 

Brain with Soul現象

 


第31回
信号

 
前回私は、この世界は『時間』という『手段』を使って意識に表現されているとお話しさせていただきました。
 
『時間』の流れがまずあって、そこに私たちの住む空間が乗っかり、一緒に流れているのではない。
 
この世界がまずあって、それを目印やルールにのっとって並べたもの。
 
それが、意識において『現実』として表現される。
 
時間は、そのための『手段』に過ぎないということ。
 
私たちは、その並べられた世界を観ることで、『時間』の流れを感じ、あたかも『時間』が
存在するかのように感じているというわけです。
 
あなたも、器用なクラスメートが教科書のハシに書いたパラパラマンガを見たことがあるのではないでしょうか?
 
もしかしたら、ご自分で書かれたこともあるかもしれません。
 
ページを素早くめくりつづけることで、まるでその絵が動いているように見える。
 
そして、そこに『時間』を感じるわけです。
 
ただし、すべての絵は、すでにそこにあります。
 
すでにあるのです。
 
しかし、それが一つの物語として表現されるためには、
 
どうしても『時間』という『手段』が必要なのです。
 
では、私たちの意識において、パラパラマンガの『絵』にあたるものとは、いったいなんなのでしょうか?
 
『時間』という『手段』を使い、意識はいったいなにを並べているのか。
 
意識は、いったいなにを映し出しているのか。
 
つまり、私たちの意識なかには、いったいなのが読み取られているのでしょうか?
 
それは『信号』です。
 
私たちは『信号』を読み取って、それを意識のなかに表現をしているのです。

ここで、ひとつ気をつけたいことがあります。

それは決して、この世界がデジタルでできていると考えることではありません。
 
つまり、目の前の世界が、映画『マトリクス』のように、プログラムされた別の意識空間だと言っているわけではないということです。
 
はじめに申し上げたとおり、このコラムは、生きづらさを脱け出すために、自然史に当てはめて、この世界の仕組みを理解するという目的をもっています。
 
だから、『信号』という言葉も、あくまでも私たちがこの世界の仕組みを理解するめに必要な、一つの表現技法に過ぎない。
 
その程度でお考えいただければ幸いです。
 
さて、私たちは日々、目覚めているあいだ、絶えることなくさまざまなものを見て、音を聞いていますよね。
 
においも嗅ぎますし、食べものも味わい、ものにも触れるでしょう。
 
私たちが感じている、そのすべてが『信号』です。
 
たとえば、あなたの目の前に「赤いカップ」があるとします。
 
これは、「赤いカップ」がじっさいに目の前にあるのでしょうか?
 
つまり、カップが、赤い色をしているのでしょうか?
 
そうではありませんよね。
 
光がカップにあたり、赤以外の色を吸収し、赤だけが反射した結果、あなたに赤く見えているわけです。
 
つまり、「なんの色もないカップ」に、光が当たって「赤く見えている」だけ。
 
カップが「赤い信号」を発しているに過ぎません。
 
その『信号』をあなたの目が受信して、意識のなかに「赤いカップ」として表現しているわけです。
 
では、あなたの目の前には「なんの色もないカップ」という、なんだか不気味な物体が置いてあるということでしょうか?
 
そしてその不気味な物体が、カップの形をして、その位置に置いてあるということでしょうか?
 
いえ、そうではないと言えるでしょう。
 
「形」も「位置」も、やはり『信号』なのです。
 
その「形」であるという『信号』と、その「位置」にあるという『信号』。
 
その『信号』をあなたが読み取って、意識のなかに「その形で、その位置にある、赤いカップ」として表現しているのです。
 
それは「音」も「におい」も「味」もそう…、
 
すべては『信号』なのです。
 
すべては、『信号』という状態でこの世界に存在しているのです。
 
言うなれば、私たちは常に信号にさらされて生きているということになるでしょう。
 
人間は、それを読み取って、意識に表現しなおしているのです。
 
これを日常生活でたとえると、人間は「温度計」のようなものだと言えるかもしれません。
 
温度というものは、目に見えませんよね。
 
手に取ることもできません。
 
そこにあるのは「状態」です。
 
つまり『信号』があるだけです。
 
それを温度計が読み取り「26℃です」という数字で表現しなおす。
 
つまり、『信号』を受け取り、別の形で表現しなおしているのです。
 
まさに、人間とこの世界の関係ととても似ていますよね。
 
この世界には『信号』が満ちあふれている。
 
その『信号』を人間が読み取り、意識という「別の形」で表現しなおしているわけです。
 
それを、『時刻』という目印に合わせて一定のルールで並べることによって、意識において『現実』が映し出され、そこに『時間』の流れが感じられるようになる・・・。
 
つまり、一定のタイミングで無数の『信号』が集まった効果が『意識』だということです。
 
前回も申し上げたとおり、このような考え方は突拍子もないと思われるかもしれません。
 
しかし、私たちの根源を成す「生命」というものをひも解いてみても、同じようなことが言えるのではないでしょうか。
 

<引用>
生命現象のすべてはエネルギーと情報が織りなすその「効果」のほうにある。つまり、このようにたとえることができる。テレビを分解してどれほど精密に調べても、テレビのことを真に理解したことにはならない。なぜなら、テレビの本質はそこに出現する効果、つまり電気エネルギーと番組という情報が織りなすものだからである。そしてその効果が現れるために「時間」が必要なのである。

 
(引用元:福岡伸一「動的平衡」
 
では、いったい私たちの意識に『現実』を映しだし、『時間』の流れを感じさせるその「一定のルール」とは、いったいなのでしょうか?
 
次回はそこに迫ってみたいと思います。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 
参考文献
福岡伸一「動的平衡 - 生命はなぜそこに宿るのか」小学館

 
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