生きづらさから脱け出す覚悟の決め方

 

自殺はできないという覚悟を決める画像

 

人生の原液を飲んで生きる

 

第8回
自殺はできない

 
生きるのがつらい時。
苦しい時。
 
私たち人間は、
 
「いっそ死んでしまいたい」
 
そう思うことがあります。
 
誰も助けてくれない。
 
こんな苦しい思いをするのなら、
自ら命を断ってしまおう。
 
そうすれば、
すべてを終わりにできる。
 
この苦しみからも、
逃れることができる。
 
人生に翻弄されてきたこの命。
 
せめて最期の瞬間くらい、
自分で選びたい。
 
だから自殺をしよう、と。
 
もしかすると。
 
それがあなたにとって、
最後の切り札かもしれません。
 
あなたにとっての最後の自由。
 
苦しい人生に対抗する、
最終兵器なのかもしれません。
 
確かに自殺ができれば、
人生において、
これ以上のインパクトはありません。
 
文字通り、
すべてを終わりにできるのですから。
 
自分を苦しめてきた、
運命という見えない悪魔に対して、
引導をわたすことができるのです。
 
自分の最後の自由を行使するには、
これ以上ない使い方のように思えます。
 
しかし私はあなたに、
真実を伝えねばなりません。
 
人生の原液として、
こう伝えねばなりません。
 
自殺はできない。
 
あなたにも、私にも、
自殺はできないのです。
 
たとえ、
首を吊ったとしても、
高いところから飛び降りても、
薬をたくさん飲んでも、
 
死ねるとは限らない。
 
電車に飛び込んでも、
手首を深く切っても、
ピストルで頭を撃ち抜いても。
 
心臓が止まるとは限らない。
 
あなたが確実に死を迎える、
心臓が止まるという作用は、
 
さまざまな作用が、
複雑に絡み合って決まります。
 
血液内の水分量や重力や、
風の抵抗や気温や湿度や摩擦力など…、
 
それらがたまたま、
条件を満たせば心臓は止まる。
 
条件を満たさなければ、
心臓は止まらない。
 
つまり。
 
あなたが確実に死を迎える
その瞬間そのものに対して。
 
あなたは何もできないのです。
 
首をつろうが、
高いところから飛び降りようが、
薬をたくさん飲もうが、
電車に飛び込もうが、
手首を深く切ろうが、
ピストルで頭を撃ち抜こうが、
 
それは、
死ぬ確率を高める行為を
とっているに過ぎない。
 
本当に自分が死ぬ瞬間は、
あなたには決められない。
 
あなたに自由はない。
 
どんなに頑張っても、
 
『死の決定』
 
に対して私たちは無力なのです。
 
つまり、
自分を殺すことはできない。
 
自殺なんてできないのです。
 
にもかかわらず。
 
私たちは、
自殺をできると思っている。
 
自分の命を断てると思っている。
 
自分の最期を、
自分で選べると思っている。
 
なんという、
驕りたかぶった考え方でしょうか。
 
なんという、
恥知らずなのでしょうか。
 
私たち人間は、
まるで自動ドアに向かって、
 
「開け!」
 
と言って、
自分で開けたとイキがっている、
大変恥ずかしいやつらなのです。
 
思い上がりもはなはだしい。
 
私たちにできることは、
 
『死ぬきっかけ』
 
を作るまでです。
 
それを無理やり
自殺だと呼ぶのならば。
 
首を吊ったり、
高いところから飛び降りる
ということだけではなく、
 
酒を飲むことも、
脂肪分を食べることも、
横断歩道を渡ることも、
あらゆるスポーツをやることも、
 
すべて自殺になります。
 
すべての行為は、
死ぬきっかけになり得るのですから。
 
そう考えると。
 
もっとも大きな
死ぬきっかけとは何でしょうか?
 
死ぬきっかけの原点とは、
いったい何でしょうか。
 
それは、
 
『生誕』
 
です。
 
あなたは、
産まれたことをきっかけに、
死に向かってまっしぐら。
 
一直線に
進んでいるわけです。
 
私たちが
通常使う意味での
自殺ということであれば、
 
“生まれた瞬間が自殺”
 
だということです。
 
精子が卵子へと飛び込むのは、
 
“死へのダイブ”
 
だということです。
 
その時点ですでに、
自殺しているのです。
 
生まれたと同時に、
すでに最大の死ぬきっかけを
作っているのです。
 
そう考えたら。
 
今さら死ぬきっかけを
作ったところで。
 
昨日焼きあげた焼肉を、
さらに焼いて、
 
「今焼いた」
 
と言い張っているようなものです。
 
さらにその前に。
 
私たち人間には、
肉が焼けないのです。
 
肉が焼けるかどうかは、
世界の作用が決めるのです。
 
だから。
 
自殺という言葉は、
他人が焼いた焼肉を持って、
 
「私が焼いた」
 
と言い張っているようなもの。
 
めちゃめちゃ恥ずかしい
言葉なのです。
 
生きるのがつらい。
苦しい。
誰も助けてくれない。
 
こんな苦しい人生、
終わらせてしまいたい。
 
せめて最期の瞬間くらい、
自分で選びたい。
 
最後の自由を行使したい。
 
もし今あなたが、
そう思っていたとしても。
 
自殺はできません。
 
私たちにそんな尊大な力は
与えられていないのです。
 
ならば覚悟は一つ。
 
死ねないなら生きるしかない。
生きるなら強くなるしかない。
 
これが私たちの飲み干す、
人生の原液なのです。
 
 
Brain with Soul代表
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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