生きづらさから脱け出す覚悟の決め方

 

試練を乗り越えられないイメージ

 

人生の原液を飲んで生きる

 

第9回
明けない夜もある

 
生きづらさを感じている
あなたの目の前には。
 
今、大きな試練が、
立ちはだかっているかもしれません。
 
過去にも、
あなたはいくつもの試練を
乗り越えてきたでしょう。
 
そしてこれからも、
試練は容赦なくあなたの前に、
姿を現すでしょう。
 
あなたは、
そんな試練に出くわすたびに。
 
もう無理だ。
 
なぜ自分ばかりに、
こんな試練が訪れるのか。
 
今度こそは、
乗り越えられない。
 
苦しすぎる。
 
ツラ過ぎる。
 
誰か助けて欲しい。
 
そんなうめき声を、
あげてしまうのかもしれません。
 
そして実際に、
誰かに助けを求める。
 
その時、あなたが
助けを求めた人の中には、
 
こんな励ましをくれる人が
いるかもしれません。
 
「あきらめちゃダメ」
 
「日はまた昇るから」
 
「明けない夜はないんだよ」
 
そして、
 
「乗り越えられない試練なんてない」
 
と。
 
そうあなたを励してくれるのです。
 
希望の持てる、
温かい言葉です。
 
絶望のふちに立つあなたへの、
精一杯の励ましです。
 
だからあなたは頑張る。
 
最後の力を振り絞る。
 
そして、
試練を乗り越えようとする。
 
でも。
 
やっぱり乗り越えられない。
 
それどころか、
どんどん苦しくなってしまう。
 
そう。
 
そろそろあなたも
気がついているはずです。
 
申し訳ないけれど、
その励ましは完全に、
 
『デタラメ』
 
であると。
 
だって実際にこの世界には、
 
『乗り越えられない試練』
 
がたくさんあるのですから。
 
治せない病、障害、
逃れらない暴力、
戦死、虐待死、事故死…。
 
数え切れないほどの、
『明けない夜』があるのです。
 
だから。
 
あなたを励ましたその人も、
最後には、
 
「確かにどうしようもない時はある」
 
「考え方次第でどうにかなるという意味だよ」
 
「時にはあきらめも大事だけど」
 
「乗り越えられないと認めるのも、
 一つの試練の乗り越え方なのよ」
 
そんな“例外”を口にするのです。
 
つまり、
 
“乗り越えられない試練がある”
 
と結局は認めてしまうわけです。
 
もし、
乗り越えられない試練がないと、
本気で思うのなら。
 
今まさに虐待を受け、
殴られ蹴られ殺されそうに
なっている子供に向かって、
 
「やり返してごらん!
 逃げ出してごらん!
 大声で助けを呼んでごらん!
 乗り越えられない試練はないんだよ!」
 
そう言えるはずです。
 
でも。
 
当然、言えないですよね…。
 
それがどれほど、
無責任な嘘なのか。
 
誰もが解っているからです。
 
乗り越える方法があることと、
それを実行できるかどうかは、
まったく別のことです。
 
そして、
あきらめて別の道を選ぶことと、
乗り越えることも、
まったく別のことなのです。
 
だから。
 
少しでも、
本気で生きたことがある人なら。
 
たとえどんな場面であっても、
そんな適当な励ましは、
とても口にはできないでしょう。
 
「日はまた昇る」
 
「明けない夜はない」
 
「乗り越えられない試練はない」
 
どれも結局は適当な
言葉遊びに過ぎないということ。
 
言い換えれば。
 
乗り越えられるものを
試練と呼んでいるだけなのです。
 
気持ちの問題で
何とかなるものを
試練と呼ぶだけなのです。
 
しかしあなたはそれを、
真に受けてしまった。
 
自分の努力が
足りないだけなのだと。
 
そして懸命に、
試練を乗り越えようとしてしまった。
 
余計に苦しくなってしまった。
 
しかし、
治せないものは治せない。
 
戻らないものは戻らない。
 
逃げられないものは逃げられない。
 
死んでしまう時は死んでしまう。
 
そう。
 
どんなに夜明けを待っても、
 
『明けない夜』
 
があるのです。
 
それが人生の原液です。
 
私たちの住むこの世界ですら、
太陽もいずれは朽ち果て、
朝は永遠に訪れなくなる。
 
実際に、
『明けない夜』が来るのです。
 
確かに、
希望を持つことは必要です。
 
苦しい時には、
時として励してもらうことも、
必要でしょう。
 
しかしだからと言って、
 
『明けない夜はない』
『乗り越えられない試練はない』
 
という幻想を、
真剣に受け入れる必要はありません。
 
たとえあなたに
希望を持たせようと
していたとしても、
 
それは明らかに、
 
『言い過ぎ』
 
でしかないのです。
 
人間に不可能はないと、
言っているに等しい。
 
励ましにはふさわしくない、
根拠のいちじるしく欠けた、
虚言であり妄言でしかないのですから。
 
あなたにも、私にも、
 
人間には、
どうしようもできないことが、
山ほどあります。
 
人生のほとんどが、
それで埋め尽くされている。
 
『明けない夜』がたくさんあり、
 
『明けない夜』は、
いつまで待っても明けないのです。
 
『日はまた昇る』とは、
限らないのです。
 
だからこそ。
 
この夜を懸命に生きる。
今この時を懸命に生きる。
 
それしかできない。
 
そのことを覚悟するのです。
 
もしかしたら、
明けるかもしれない。
 
もしかしたら
明けないかもしれない。
 
その夜が明けるかどうかは、
朝が来たときに初めてわかるのですから。
 
 
Brain with Soul代表
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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