扁桃体が丈夫か、敏感か
葛藤の分岐点
第2回
扁桃体が丈夫か、敏感か
┃人間関係の「葛藤の種」とは?
人間関係には、葛藤が生じる「六つの分岐点」があります。
その「第一の分岐点」は、
“扁桃体が丈夫か、敏感か”
です。
扁桃体とは脳の一部。
自分にとって、目の前のできごとが危険であるかどうかを判断する、最初の判定員です。
見えたもの、聞こえた音などから一瞬で状況を判断し、私たちに怒りや恐怖という感情をもたらします。
参照記事:「生きづらい原因は脳の扁桃体?」
すなわち、扁桃体が敏感な人は、怒ったり怖がったりしやすいということ。
人間関係で悩みやすいのです。
たとえば道を歩いていて、人と肩が軽くぶつかっただけでも、猛烈に腹が立ったり、怖くなって怯えてしまう。
それは、ぶつかったあと振り返って見た相手の態度が気に入らなかったとか、その顔が恐ろしかったからということではありません。
扁桃体は、「頭」で考える余裕なんて与えてはくれない。
ぶつかった瞬間に、私たちのなかに自動的に「不愉快な感情」を湧き上がらせるのです。
それは、もちろん脳の故障でもなければ、脳の嫌がらせでもありません。
生き延びるために「今、自分は危険な状態にいる」ということを、脳が教えてくれている。
つまり、「不愉快な感情」という警報を鳴らして、私たちに危機を知らせてくれているのです。
しかし、そのとき生み出される「不愉快な感情」こそ、このあとあらゆる葛藤を生じさせる出発点。
「葛藤の種」だと言えるでしょう。
そして、この「葛藤の種」を大木へと育て上げるかのように、人間関係の悩みは、大きく複雑になっていくのです。
┃扁桃体が敏感な人はハンデを負っている
扁桃体が敏感な人は、第一の分岐点で「葛藤の種」をかんたんに、そしてたくさん生み出してしまいます。
これに体調が悪いとか落ち込んでいるといった条件が重なると、当然怒りや恐怖のタガがはずれやすくなります。
それを抑えるだけでも一苦労です。
つまり扁桃体が敏感な人は、扁桃体が丈夫な人にくらべて、日々これらの苦労を乗り越えながら人間関係を築かなくてはならないという、ハンデを負っていると言えるでしょう。
たとえるなら、きれいに舗装された道の上を楽々ジョギングしている人の横で、ドロにまみれながら障害物競争をやらされているようなものです。
そして、「葛藤の種」が生み出された人は、このあと「第二の分岐点」で、じっさいに大きな葛藤に直面します。
次回は、その「第二の分岐点」について、詳しく見ていきたいと思います。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
おかげ様でコラム数500本突破!