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好かれる条件を間違える

 

嫌われてよかった第7回好かれる条件を間違える

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嫌われてよかった

 

第7回
好かれる条件を間違える

 
前回まで見てきたとおり、「嫌われ上手」な人は、人に好かれようとしてそれが逆効果となり、より人に嫌われていってしまいます。
 
それは「人に好かれる条件」を間違っていることが、大きな原因の一つだということが解ってきました。
 
ではなぜその「条件」を間違えてしまっていることに、「嫌われ上手」な人は気がつくことができないのでしょうか?
 
それは大きく分けて二つの理由があるでしょう。
 
まず一つ目は、その「条件」を家庭や学校など、過去に所属していたコミュニティの中でこれでもかと身につけてしまったからということ。
 
つまり、「嫌われ上手」な人の脳に、その間違った「条件」が、強く深く焼きついてしまったからだということです。
 
親がそうしているのを見つづけてきたのかもしれませんし、自分がそうせざるをえない立場に置かれるような環境で、長いあいだ過ごさなければならなかったからかもしれません。
 
いずれにせよ、
 
「相手に好かれるためにはこうする必要がある」
 
という間違った「条件」を、肌身に染みるようにして覚え込んでしまったのです。
 
たとえば、子供に対して、
 
「何だ、そんなものも持てないのか?俺なんて、こうだぞ。ほら、簡単。」
 
と自分の力を連日のように顕示して、
 
「すごい」
「かっこいい」
 
と、やたらと子供から褒めてもらおうとする父親や、いそがしく家事をこなしながら、
 
「お母さんは、座ってご飯を食べるヒマもないの。でも、あなたたちのためだから、へっちゃらへっちゃら!」
 
としょっちゅうアピールしては、
 
「ありがとう」
「大変だね」
 
と、子供にやたらと感謝とねぎらいを求めてくる母親がいる家庭。
 
また、仕事帰りに頼んでもいないものを買ってきて、子供が、
 
「やったー!」
 
とよろこばないと、
 
「なんだよぉ、よろこぶと思ってせっかく買ってきたのにぃ。なんだよぉ。」
 
とすねて見せる父親や、
 
「あなたにだから話すけど…」
 
と子供に向かって夫婦のあいだの愚痴をこぼしては、
 
「かわいそう」
 
と同情を買おうとする母親のいる家庭。
 
このように自分の子供を、
 
「理想のママ」
 
がわりにしている、大人になりきれない親がいる家庭に育った人は、今見たような「不自然」さをともなうアピールや、それへの返答こそが、人と好意を伝え合う当たり前の方法なのだと感じ、知らず知らずのうちに「好かれる条件」を間違えて身につけてしまいます。
 
それゆえに、どれだけ人に嫌われても、
 
「好かれる行動をとっているはずなのに…」
 
という感覚から脱け出せないのです。
 
そして「好かれる条件」を間違えて覚えてしまったもう一つの理由。
 
それは、ここまで紹介してきたような「不自然」な行動が、
 
「自分がされたらうれしいこと」
 
だということです。
 
大げさに褒めてもらったり、何かあるとからんできたり、うじうじと頼られたり、誰かの悪口を持ちかけられたり、相談しろと言い寄られたり…。
 
一般的にはうっとうしいと感じられる行動でも、その人にとっては、
 
「ああ、自分に親しくしてくれてるな…」
「こんなにも自分に気を許してくれてるな…」
 
と思えてしまう。
 
なぜなら、そうして欲しいほどに、心が傷ついてしまっているのです。
 
嫌われ上手」な人の心には、何かしらの大きな傷が刻み込まれています。
 
そして孤独を感じています。
 
そのために、「不自然」なほど相手が自分の領域に入り込もうとしてきても、そこにうれしさすら感じてしまいます。
 
そして相手も同じように感じるであろうと考えてしまい、「好かれる条件」を間違えてしまい、それに気がつくことができないのです。
 
いえ、もしかすると誰もがそうではないということに、もはやどこかで気づいているのかもしれません。
 
こんな感じ方をしているのは、自分だけかもしれないと、うすうすわかっているのかもしれません。
 
だからこそ、相手にもそうであって欲しい、自分と同じように心の傷に打ちのめされ、孤独を感じている人であって欲しい。
 
そう思って、「不自然」な行動という「サイン」を送ってしまうのかもしれません。
 
自分の「仲間」であって欲しいという願いとともに…。
 
そんなふうに、自分の傷を癒そうとして、さらに嫌われて傷を深くしていく。
 
悲しい「悪循環」。
 
今見てきたとおり、「嫌われ上手」な人が、「好かれる条件」を間違っていることに気づけないのは、主に、
 
「過去にその条件を徹底的に身につけてしまったから」
 
ということと、
 
「自分がされたらうれしいことだから」
 
という理由があるからでした。
 
そのために、逆効果だと気がつくことができずに、嫌われ上手の7つのタイプを次々と横断する「悪循環」をつづけてしまっていたのです。
 
それにしても「嫌われ上手」な人は、そもそもなんで人に嫌われるような態度をとりはじめるようになってしまったのでしょうか?
 
努力しても嫌われていくという「人に嫌われるパターン」にハマり込むのは、もともと嫌われ上手の7つのタイプのうち、最低でも一つは持っていたからです。
 
それによって嫌われてしまったという状況を改善するために、悲しい悪循環に突入したわけです。
 
ではその「もともと持っていた人に嫌われる要素」、つまり嫌われる「発端」となるものは、いったいどこからやってきたのでしょうか?
 
次回は、その発生源について見ていきたいと思います。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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