不登校が許されなかった人

 

アダルトチルドレンを本気で克服する方法第38回 不登校が許されなかった人

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アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法

 

第38回
不登校が許されなかった人

 
日々カウンセリングをしていると、ある傾向に気がつきます。
 
それは、アダルトチルドレンと自覚されている方で、私と同年代の人は、「不登校」を経験した人が少ないということです。
 
私は、いわゆるロスジェネと言われる世代です。
 
その頃は不登校とは言わず、「登校拒否」という「本人のワガママ」という雰囲気を含んだ言葉が使われていました。
 
つまり登校しないのは、「学校に行けない」のではなく、「学校に行かない」と一方的に決めつけられていたわけです。
 
結果として、不登校を許す親は子供を甘やかしていると思われ、子供の側も甘やかされて育ったと思われていた。
 
今よりも不登校に対する理解は、かなり浅い時代だったと言えるでしょう。
 
じっさい不登校には、いろいろなパターンがあります。
 
親がこういうタイプで、子供はこういうタイプといちがいには決められません。
 
いじめがあるという明確な原因があるケースもあれば、本人すらも原因がわからないケースもあります。
 
ワガママどころか、本人は罪悪感を持ちながら部屋に引きこもり、誰にも理解されないなか、恐怖心や虚しさと一人戦っているケースも多く見られます。
 
もちろん、本当に甘やかし過ぎていることが大きな原因となっている場合もあります。
 
また、かなりの放任主義で、「今週は学校休もう」と本人が決めてしまい、親も無関心という場合もあります。
 
それも育児放棄に近いケースもあれば、「本人の意志をなによりも大切にして自由に育てる」という強い信念を持っているご家庭もあります。
 
また本人が親と先生とみっちりと話し合い、自分の主張としてしっかりと不登校を「勝ち取った」というケースも見られます。
 
本当にさまざまです。
 
ただ、私の世代のアダルトチルドレンに多いのは、いかなる理由があっても学校に行かされたという人。
 
つまり、不登校が許されなかった人です。
 
いじめがあっても、それを親に相談しても、決して休ませてはもらえない。
 
ましてや「本人すらも原因がわからない」という苦しい心理状態など、まったく聞く耳を持ってもらえない。
 
だから、「不登校」が許されるという状況がまったく理解できないという人が多いのです。
 
ここで誤解のないように、あらかじめハッキリと述べておきたいことがあります。
 
ご懸命なあなたにはご理解いただいていることと思いますが、このコラムは、不登校ができた人は不登校が許されなかった人に比べて楽だったということを述べているわけではありません。
 
あくまでも、「不登校が許されなかった」という、今まで焦点のあたりにくかった苦しみを持つ人に、しっかりと焦点をあてることを目的としています。
 
その点をぜひご理解いただければ幸いです。
 
アダルトチルドレンは、学校での人間関係に苦しんでいることが多いものです。
 
じっさいに次から次へとトラブルを起こして、学校に居場所がなくなっていることも珍しくありません。
 
そこで学校に行くのがつらくなる。
 
それどころか、生きていること自体をつらいと感じている人もいます。
 
そのような状況のなかで学校に行くのは、激しい苦行以外のなにものでもありません。
 
しかし、不登校という選択肢が出てこない。
 
なぜなら、苦手な状況を回避したり、そこからいったん逃げるという感覚を持っていないからです。
 
そこで、無理をしてでも学校に行くけれど、やがて限界が来る。
 
どうしても学校に「行けない」と感じる。
 
ついに勇気をふりしぼって両親に打ち明けてみるけれども、鼻で笑われ、軽くあしらわれてしまうのです。
 
なかには、親が時間をとって話を聞いてくれることもあります。
 
でも、自分が少しなにかを言いかけただけで、
 
「そのくらいのこと気にしなきゃいいだろう」
 
「それは甘えだよ」
 
「そんなことでは将来生きていけないわよ」
 
「逃げても解決しないぞ」
 
と上からかぶされて、否定され、嘲笑され、しかられ、まともに聞いてもらえないのです。
 
つまり、自分の苦しみを苦しみとして認めてもらえない。
 
その苦しみは、ただたんに自分の甘えであり、状況から逃げているだけだということで片づけられてしまう。
 
不登校する理由を、一瞬のうちにすべて奪い去られてしまうのです。
 
これは自分の苦しみを、解決する「問題」としてテーブルにすらあげてもらえなかったことを意味します。
 
当然、そのあとに残されているのは「学校に行きつづける」という道しかありません。
 
なぜなら、解決すべき「問題」が存在していないことになっているからです。
 
そして、どんなに苦しくても、甘えたり弱音を吐くことは許されないのだという意識だけを強めていく。
 
さらに、自分の精神力だけで状況を改善させようと、たった一人で努力や我慢をつづけることになるのです。
 
でも悲しいことに、まだ人生経験の少ない子供や若者の、努力と我慢は空まわりし、より人間関係を悪化させていってしまう。
 
結果として、人間関係の苦しい記憶を積み重ねてしまうことになり、社会への恐怖心や不信感を強めていってしまうのです。
 
たしかに、そんなに苦しいのなら、自分の部屋から出ないなり、学校に行くふりをしてどこか別の場所にいけばいいと思う人もいるでしょう。
 
しかし、アダルトチルドレンの多くの方は、それができない。
 
「家庭の雰囲気」が、それを許さないのです。
 
解決する「問題」が存在しないのだから、それに関係する行動はいっさい起こすことができないのです。
 
これはじっさいに体験した人にしか、わからない感覚かもしれません。
 
もちろん、部屋にこもったり学校をさぼったら、親から激しく殴られるというケースもあります。
 
でも、必ずしもそのような誰から見てもわかる明確な圧力がかかっているとは限りません。
 
親が中心なってかもしだす「家庭の雰囲気」が、見えない圧力となって日常に充満しているのです。
 
このとき、苦しんでいる本人が「我が家では問題が存在しないことにされている」と自覚できている場合があります。
 
そのような方は、のちの人生において、比較的早い段階でご自分の人生を取り戻せる場合が多い。
 
一方、「本当に問題が存在しなかった」と思い込まされてしまった人は。
 
その後の人生において、本当に長いあいだ苦しい人生を歩むことになる場合が多い。
 
なぜなら、自分を苦しめた「問題」を自覚できていないから。
 
すべて、自分の甘えと弱さのせいだと信じ込まされているからです。
 
そして、私のところにカウンセリングに来られる方のほとんどは、そのような方ばかりなのです。
 
「人間関係はつらかったです。でも不登校することもありませんでしたし…」
 
と皆さんおっしゃられます。
 
つまり、たいした「問題」ではなかったということなのかもしれません。
 
でも、本当にそうだったのでしょうか?
 
本当に「問題」ではなかったのでしょうか?
 
本当は、死ぬほど苦しかったのではないでしょうか?
 
にもかかわらず不登校しなかったのは、ただ、不登校が許されなかっただけだったのかもしれません。
 
不登校しなかったことは、学生時代の自分の苦しみが「たいした問題ではない」という証明にはならないのです。
 
あなたは毎日苦しんできた。
 
学校という名の戦場で、たった一人で戦い抜いてきた。
 
その事実を、しっかりと受け止めましょう。
 
あなただけは認めてあげましょう。
 
あなたの身に起きた「問題」を。
 
あなたの味わった苦しみを。
 
なぜなら…。
 
あなただけがその戦場をともに駆け抜けた、たった一人の戦友なのですから。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
 


アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法 <目次>

1.アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法
2.なぜ克服したはずの問題をくり返してしまうのか?
3.今までのアダルトチルドレン克服法が取りこぼしてきた盲点とは?
4.扁桃体が敏感だと自覚する
5.「あなたは強い」という事実
6.親を捨てる
7.アダルトチルドレン克服に欠かせない必要なこと
8.恩着せがましい親
9.一生懸命育てたのに!
10.あなたは本当に親不孝者なのか?
11.親にすべてをブチまけようと思う
12.親が子育ての非を認められない理由
13.親への仕返しが止められない
14.アダルトチルドレン克服の優先順位
15.親との対決に必要な覚悟
16.好きなこと、やりたいことがわからない
17.誰もわかってくれない
18.燃え尽き症候群をくり返してしまう
19.親子関係を良好にしたい
20.「してあげた」という親心
21.リラックスできない
22.体を整える
23.つき合う人を変える
24.ナイーブさを捨てる
25.人に批判されるのが怖い
26.自尊心が低い
27.アダルトチルドレンの「克服」とは?
28.感情をうまく表現できない
29.鬼のような親
30.人からの評価が気になる
31.自信よりも必要なもの
32.嘘をついてしまう
33.承認欲求が強い
34.仕事で手を抜けない
35.自己肯定感を高めたい
36.親と同じことをしてしまった
37.なぜ焦ってしまうのか?
38.不登校が許されなかった人
39.今の仕事が向いていない
40.勇敢であるということ
41.人間関係がうまくいかない
42.孤独を磨き上げる
43.努力しても嫌われつづける人
44.いつも自分ばかり残業している
45.快楽と上手につき合おう
46.自分のなかに基準がない
47.面倒くさがりをなおしたい
48.自分に合った働き方を見つけたい
49.他人に興味がもてない
50.自分に興味がもてない
51.人の顔色をうかがってしまう
52.私は変われるでしょうか?
53.どこに行っても同じだぞ!
54.自分がわからない


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