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人の顔色をうかがってしまう

 

人の顔色をうかがってしまう

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アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法

 

第51回
人の顔色をうかがってしまう

 
私には、こんな古い記憶があります。
 
幼稚園の頃のできごとです。
 
教室のなか、子供たちが輪になって座っていました。
 
中心には、担任教師の女性「O先生」がいます。
 
そして、こんなことを話しているのです。
 
「どうしてあなたたち私の言うこと聞かないの?」
 
「そんなに私の言うこと聞きたくないなら、他の先生のところに行ってもいいのよ?」
 
「ほら、誰のところに行きたいの?」
 
「言いなさい。早く言いなさいよ。」
 
言葉、そして表情に静かに怒りのオーラを発しながら、O先生は子供たちに向かって質問しました。
 
私は、黙りこくり、緊張しながら座っていました。
 
しかし、同級生たちは無邪気に、かつ笑顔でいっせいに質問に答えたのです。
 
「K先生!」
 
「M先生のところ~!」
 
「S先生がいい~!」
 
その瞬間、私は青ざめながら思いました。
 
<おい!そんなこと言ったらとんでもないことになるぞ!>
 
次の瞬間。
 
「そんなに行きたいなら他の先生のところ行きなさいよ!早く行きなさいよ!ほら早く行きなさいよ!ほら行きなさい!行きなさいよっ!!!!!!!」
 
O先生はヒステリックに絶叫しました。
 
子供たちはみな泣き出し、私は黙りこくったままその光景を見ていました。
 
ほとんどの同級生は、こんなふうに質問をしてきて、ヒステリーを起こし、絶叫する大人を見たことがなかったのでしょう。
 
だから無邪気に答えたのでしょう。
 
でも、その無邪気な反応にこそ私は驚きました。
 
反対に、O先生の反応にはまったく驚きませんでした。
 
なぜなら、先生の反応は、私の母親そっくりだったからです。
 
質問の仕方も、怒るタイミングも、ヒステリーの起こし方も。
 
O先生は、食べるのが遅いからと地下の食堂に子供を一人残し、電気を消して真っ暗にして出ていってしまうことがありました。
 
また、オナラをした子供を「エンガチョ~!」と言って「〇〇君オナラしたよ~!」と教室中に言い放つような人でした。
 
ありえないですよね。
 
でも、当時の社会はのん気なもので、そんな人でも、なんのおとがめもなく幼稚園の先生をしていました。
 
私は、母親の次に毎日身近に接した大人の女性が、O先生でした。
 
だから、大人とは、そして女性とはこのようなものなのだと思い込んで成長していったような気がします。
 
この記憶から思うのは、私は幼稚園児のときに、すでに人の細かい顔色を読み取っていたということです。
 
周囲の同級生がなんの危険も感じていなかったときに、私は危険を察知して緊張していた。
 
そしてこのような体験は、アダルトチルドレンと自覚している方であれば、たいていの人がもっているエピソードなのではないでしょうか。
 
もしかするとあの教室のなかには、私と同じようにO先生が静かに質問をはじめたとき、すでに凍りついていた同級生がいたのかもしれません。
 
その同級生も、4歳にして人の顔色をうかがっていたのであれば、きっとその後の人間関係で苦労しつづけたことでしょう。
 
ただ、私はこの性質を身につけたおかげで、生きづらさ専門カウンセラーになれたと思っています。
 
よく混同されがちですが、「人の顔色をうかがう」というのは、「人の目を気にし過ぎてしまう」ということとは別のことです。
 
人の目を気にし過ぎてしまう」のは、自分がどう思われているか気になるということ。
 
他人の目をとおして自分に興味が向きすぎている状態ですよね。
 
一方、「人の顔色をうかがう」というのは、危険を未然に防ごうとしている「防衛反応」。
 
周囲のすべての人をとりあえず「敵」とみなし、「攻撃」されやしないかと見極めようとしている状態です。
 
カウンセリングでお話をうかがっていても、アダルトチルドレンと自覚している方には、このような「防衛反応」が身についている方が多くおられます。
 
だからこそ、アダルトチルドレンの克服法でよく目にするような、
 
「周囲がすべて敵ではない」
 
「あなたはそこまで危険ではない」
 
「誰もがあなたを攻撃するわけではない」
 
「あなたは安全な世界で生きている」
 
「味方はたくさんいる」
 
という視点を身につけようとします。
 
たしかにこのような視点をもつことで、人の顔色をうかがうことがなくなっていく人も多いでしょう。
 
じっさい、あらゆるすべての人が一人残らず自分を「攻撃」してくるという状況は、大人になってからはあまりないはずです。
 
しかし、なにを「攻撃」だと感じるかは、扁桃体の敏感さによっても左右されてしまいます。
 
頭でいくら「危険ではない」と言い聞かせても、自動的に「攻撃」だと感じてしまうできごとはたくさんある。
 
そのため、「危険ではない」「攻撃されていない」という考え方を、すべての人が受け入れられないことも事実です。
 
たとえば、とがったものに恐怖を感じる人であれば、シャーペンを向けられただけでも「攻撃」になってしまいます。
 
同じように、アダルトチルドレンであれば、自分の親に似ている人から話しかけられただけでも「攻撃」になってしまうことがあるのです。
 
つまり、「味方」だと思っていた人からだって、容易に「攻撃」されてしまう。
 
それはことのほかつらいことですが、なかなか理解してはもらえません。
 
周囲は、それを「甘え」と呼ぶからです。
 
まともに話を聴いてはもらえない。
 
結局、人の顔色をうかがことで「防衛」するしかなくなるのです。
 
そうなんです。
 
人の顔色をうかがうというのは、アダルトチルドレンにとってのサバイバル術。
 
別に恥ずかしいことでもなんでもありません。
 
アダルトチルドレンにとって、この世界はそれだけ「危険」に満ちているのです。
 
重要なのは「安全」か「危険」かではない。
 
世界には、いつでもなにかしらの「危険」があります。
 
完全な「安全」など、この世界に存在しません。
 
とりあえずの「安全」しかないのです。
 
だから、人の顔色をうかがってしまうという悩みから解放されたければ。
 
あえて、相手が「敵」か「味方」かどうかだけに焦点を絞る。
 
言いかえれば、あなたにとってその人が、顔色をうかがう必要がある人なのかどうかということだけに焦点を絞ってみるのです。
 
ただしこれは、「敵と味方をはっきり分けよう!」という意味ではありません。
 
この世界は「敵」と「味方」の二つの存在しかいないわけではありませんよね。
 
周囲の人をよく見まわしてください。
 
そのなかに、あなたの生活を一瞬で根幹から揺るがすほどの力をもつ人、つまり「敵」はどれくらいいるでしょうか?
 
たとえば、なんの力もない幼稚園児における「O先生」ほどの力をもつ人です。
 
一方、あなたのことを親身に理解しようとし、その身を費やしてまでもあなたに力を貸してくれる人、つまり「味方」はどれほどいるでしょうか?
 
じっくり見てください。
 
ながめてください。
 
そして、本気で見極めてみてください。
 
そのときあなたは気がつくはずです。
 
周囲にいるほとんどの人は「敵」でも「味方」でもない。
 
顔色をうかがう価値もない。
 
あなたにとって、
 
「どうでもいい人」
 
なのだと。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
 


アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法 <目次>

1.アダルトチルドレンを「本気」で克服する方法
2.なぜ克服したはずの問題をくり返してしまうのか?
3.今までのアダルトチルドレン克服法が取りこぼしてきた盲点とは?
4.扁桃体が敏感だと自覚する
5.「あなたは強い」という事実
6.親を捨てる
7.アダルトチルドレン克服に欠かせない必要なこと
8.恩着せがましい親
9.一生懸命育てたのに!
10.あなたは本当に親不孝者なのか?
11.親にすべてをブチまけようと思う
12.親が子育ての非を認められない理由
13.親への仕返しが止められない
14.アダルトチルドレン克服の優先順位
15.親との対決に必要な覚悟
16.好きなこと、やりたいことがわからない
17.誰もわかってくれない
18.燃え尽き症候群をくり返してしまう
19.親子関係を良好にしたい
20.「してあげた」という親心
21.リラックスできない
22.体を整える
23.つき合う人を変える
24.ナイーブさを捨てる
25.人に批判されるのが怖い
26.自尊心が低い
27.アダルトチルドレンの「克服」とは?
28.感情をうまく表現できない
29.鬼のような親
30.人からの評価が気になる
31.自信よりも必要なもの
32.嘘をついてしまう
33.承認欲求が強い
34.仕事で手を抜けない
35.自己肯定感を高めたい
36.親と同じことをしてしまった
37.なぜ焦ってしまうのか?
38.不登校が許されなかった人
39.今の仕事が向いていない
40.勇敢であるということ
41.人間関係がうまくいかない
42.孤独を磨き上げる
43.努力しても嫌われつづける人
44.いつも自分ばかり残業している
45.快楽と上手につき合おう
46.自分のなかに基準がない
47.面倒くさがりをなおしたい
48.自分に合った働き方を見つけたい
49.他人に興味がもてない
50.自分に興味がもてない
51.人の顔色をうかがってしまう
52.私は変われるでしょうか?
53.どこに行っても同じだぞ!
54.自分がわからない


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