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結果だけで判断される社会

 

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生きづらい人生の歩き方

 

第87回
結果だけで判断される社会

 

┃「苦労」と「努力」には目を向けようとしない社会

 
あなたは、誰かにプレゼントをもらったことがあると思います。
 
たとえば、それが腕時計だったとします。
 
その腕時計をもらうとき、相手から「偶然そこで拾ったから」と言われたら、あなたはどんな気分がするでしょうか?
 
反対に、もしその相手が、あなたにプレゼントを贈るために日夜苦労して働き、努力して努力して、その腕時計を手に入れたとしたら・・・。
 
たとえまったく同じ腕時計だとしても、あなたは、きっと心からよろこびを感じるのではないでしょうか?
 
「腕時計をもらった」という「結果」だけ見れば、まったく同じことです。
 
にもかかわらず、まるでぜんぜん違うできごとのように感じる。
 
それは、「結果」ではなく、相手の「苦労」と「努力」に目を向けているからです。
 
しかし、私たちの社会は、それとはまったく別の価値観によって動いています。
 
ビジネス、スポーツ、学校の成績・・・。
 
そのどれもが、「苦労」と「努力」ではなく「結果」だけで判断される過酷な世界。
 
これは生きづらさにおいても、同じことが言えます。
 
どんなに生きづらさを抱えていたとしても、誰も、その人が背負っている「苦労」と「努力」には目を向けようとしない。
 
そして、目の前にある「結果」だけを見て、弱い、怠けている、劣っていると、容赦のない判断をくだしてくるのです。
 
 

┃ミスが多いほど尊敬に値する?

 
あなたの職場に、ミスがとても多い人がいるとします。
 
そのミスのせいで、みんなに迷惑がかかる。
 
だからみんな腹を立て、なんの躊躇もなく注意したり、叱りつけたりするでしょう。
 
でも、もしこの人の「結果」ではなく、「苦労」と「努力」に目を向けたとしたらどうでしょう。
 
そのミスが多い人は、もしかすると周囲の人の数十倍、ミスをしないように気をつかっているかもしれません。
 
なんとかミスを減らせるように、いろいろな本を読み、毎晩遅くまでネットで情報を集め、病院にも通い、さまざまなミスを減らす方法を試し、毎日ミスを起こさないように、あらゆる工夫をする「努力」を重ねているかもしれません。
 
その上、その人はミスしたことで周囲から責められながら仕事をするという「苦労」を背負っています。
 
ましてやそのミスのせいで、当然自分自身の作業にも悪影響が出て、その悪影響を乗り越えて仕事をしなければなりません。
 
それでも文句を言わず、ただひたすらに周囲の人に謝りながら毎日仕事をつづけている・・・。
 
そのことを知ったあとに、その人のミスに接したとしたら、あなたはどう感じるでしょうか?
 
きっと、「結果」だけで判断していたときとは違う感情がそこに芽生えるはずです。
 
腹を立てるどころか、反対に尊敬すらすることもあるでしょう。
 
もちろん、エゴのかたまりである私たち人間は、やっぱりその人に腹を立て、できれば他の部署に行ってくれないかなと願ってしまうかもしれません。
 
それでも、きっとその人のミスを見たとき、少なくとも、ストレートに注意したり、叱りつけようとは思わなくなるのではないでしょうか。
 
結局、「結果」だけでものごとを判断するというのは、どちらにでも評価がかんたんに転んでしまう、とてもいい加減な行動でしかないのです。
 
 

┃「納得した人生」を送るために

 
これは、自分自身においても同じことが言えます。
 
私たちは、社会から「結果」で判断されて育ってきました。
 
テストの点数、競技の順位、通知表、偏差値、入試の合否、採用の合否、売上金額、成約数、こなした案件の数、有名な賞を取ったかどうか・・・。
 
だから、ついつい自分自身においても、「結果」だけで自分の評価をしてしまうのです。
 
そして、自分が「生きづらい」という重荷を背負っていることを忘れてしまうのです。
 
「生きづらい人」は、ただたんにその「結果」を出したわけではない。
 
生きづらさを背負うという「苦労」と、それを日々なんとかやりこなすという「努力」を重ねて「結果」を出したのです。
 
あなたは、その自分の「苦労」と「努力」に、しっかりと目を向けてあげているでしょうか?
 
あなたは、生きづらさを背負った自分が出した「結果」にばかり注目してはいないでしょうか?
 
そして、自分の「苦労」と「努力」を軽くみてはないでしょうか?
 
「生きづらさ」を乗り越えて生きている自分を甘く見てはいないでしょうか?
 
たしかに、学校の成績やビジネス、スポーツの世界では、「頑張ったけどよくやった」なんて価値観は通用しないでしょう。
 
ただ、それを人生全般にまで当てはめて考えているのが、今の日本の社会なのです。
 
果たして、「結果」だけで判断するというその安っぽい価値観に、あなたの人生をすべてゆだねてしまってもいいのでしょうか?
 
「苦労」と「努力」に目を向けると、世界が変って見えてきます。
 
人への接し方が変わってくる。
 
自分への接し方も変わってくる。
 
ミスをしたからといって、それだけで責めたりすることもなくなる。
 
逆に、どんなに良い「結果」を出しているからといって、その人をむやみやたらに尊敬したり、憧れたり、うらやむこともなくなります。
 
どんなに「結果」が素晴らしくても、納得した人生を送ることはできない。
 
拾ったダイヤに、いったいどんな価値があるというのか?
 
「苦労」し、「努力」して掘り当てたダイヤだからこそ、そのダイヤはダイヤ以上の価値をもつのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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