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生きづらさから脱け出す覚悟の決め方

 

すべてのものは一つではないイメージ

 

人生の原液を飲んで生きる

 

第15回
『すべてのものは一つ』ではない

 
人類みな家族。
生命みな家族。
宇宙みな家族。
 
私たちは一つ。
 
そんな言葉をよく耳にします。
 
確かに、
生命も物質も。
 
その誕生の瞬間に迫れば、
すべては同じエネルギーを
親として持っているのかもしれません。
 
そう思えれば、
 
誰にでも、どんなものにでも、
優しく接することができそうですよね。
 
すべてのものは、
みんな一つである。
 
そんな温かな言葉を、
いつも胸にしのばせておくことで、
 
傷つけ合ういことも、
いがみ合い争うことも、
きっとなくなるだろう…。
 
だって、
一つのものが争うということは、
自分で自分を傷つけること。
 
そんなバカなことは、
もうしなくなるはず。
 
誰もがそう思いますよね。
 
でも。
 
一つになったからといって、
本当に傷つけ合うことが、
なくなるのでしょうか?
 
きっとなくならないでしょう。
 
実際に、あなたもそれを、
日々体験しているはずです。
 
あなたは一人の人間です。
 
言ってみれば、
あなたは『一つ』なわけです。
 
しかし、
 
あなたの体内のホルモンが、
あなたの臓器を攻撃することもあります。
 
あなたの意志で食べ過ぎて、
あなたの胃腸を壊すこともあります。
 
あなたは
自分の失敗を責めつづけて
自分で自分の心を
痛めつけることもあるでしょう。
 
たとえ、
『一つ』であったとしても、
 
私たちは、
容易に傷つけ合ってしまうのです。
 
その前に。
 
傷つけ合うというこは、
傷つける対象がいるということ。
 
そう考えるとそれは、
実は『一つ』になれていないということ。
 
つまり、私たちは、
 
もともと『一つ』には、
なれないということです。
 
たとえ『一つ』に見えても、
決して『一つ』ではない。
 
命ある限り、
意識ある限り、
どこまでも個別の存在。
 
あなたも、私も。
 
それが人生の原液です。
 
人間が認識できる範囲として
『一つ』になるという意味なら。
 
たいていのものは、
コンクリートミキサーに入れれば、
『一つ』に混ざるのかもしれません。
 
しかし、
恐ろしいことですが、
人間をそこに入れれば、
当然死んでしまいます。
 
つまり、
意識は消滅してしまいます。
 
意識は混ざらない。
 
これではとても、
『一つ』になったとは言えないでしょう。
 
また、
インドのガンジス河のように、
死体を焼き、灰を河に流せば。
 
すべての体は、
人の目から見れば、
 
『河』
 
という一つになったのかもしれません。
 
しかしここでも、
意識は含まれていません。
 
つまり、
生きて『一つ』になることができない。
 
意識を持って『一つ』になることは、
どうしてもできない。
 
たとえ体が『一つ』になったとしても、
意識は二つある。
 
二人の意識が、
『一つ』なったとしても、
 
対話が生じてしまえば、
相手がいるということ。
 
それは意識が二つ以上あるということ。
 
それでは、
『一つ』にはなれていません。
 
そうなのです。
 
私たちは、
生きている限りどうしても、
『一つ』にはなれないのです。
 
「いや、意識の外において一つになっているのだ」
 
「物理世界ではない精神の世界において一つなのだ」
 
なるほど、
 
確かにそこでは、
物質も意識も分けへだてなく、
同時に存在することができるでしょう。
 
ただ、そもそも、
『一つ』は数です。
 
数は人間の概念であり、
意識の外では存在しようがありません。
 
存在しようのない『一つ』
になることはできないはずです。
 
そして、
 
『一つ』になっているというは、
『一つ』以外の数があって、
はじめて認識され得ることです。
 
『一つ』になっていると
認識できてしまうということは、
 
『一つ』以外の状態も、
存在しているからです。
 
つまり、
『一つ』と『その他の数』が
同時に表現されている状態ということ。
 
それは私たち人間が
『一つ』と表現する状態とは
まったく別の性質の状態です。
 
そして。
 
そのような状態は、
意識によって確認しようがありません。
 
やはり私たちは、
意識を持つ限り、
 
つまり生きている限り、
『一つ』にはなれないのです。
 
もし死んで灰となり、
自然と混ざり合ったとしても、
 
それは『一つ』とは違う、
まったく別の状態なのです。
 
『すべてのものはみんな一つ』ではない。
 
私もあなたも、
まったく別の存在であり、
決して『一つ』になることはない。
 
決して『一つ』にはなれないのです。
 
だからこそ。
 
常に互いを理解しようとし、
常に互いをいたわる必要がある。
 
決して『一つ』にはなれない私たちは、
 
そうしなければ、
容易に関係が崩壊してしまう。
 
つながっていることができないのです。
 
そういう“定め”を持っているのです。
 
その定めが、人生の原液。
 
理解し合えない私たちは、
理解しようとすることしかできない。
 
いたわることしかできない。
 
だから、
完璧でなくてもいい、
許せなくてもいい、
今できる限りでかまわない。
 
どんなに苦しくても、
どんなに不条理であっても、
 
相手を理解しようとしつづけ、
いたわりつづけること。
 
生きづらさから
脱け出すためには、
 
どうしても、
その覚悟が必要なのです。
 
 
Brain with Soul代表
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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