考え方のパターンを変える技術
思考のアミダくじ書きかえ法
第3回
焦り、義務感、後悔の静め方
前回、“感情の暴走” を止めるために、
『心のアンテナ』をいたわる仕組みをご紹介いたしました。
そのための実践法が、
『感情マネジメント』でしたね。
今回はその『感情マネジメント』を使って、
実際に『心のアンテナ』をいたわる方法
をご紹介したいと思います。
その方法とは、
“したがわない”
という方法です。
コラム 『しない努力』でも
ご紹介したとても強力な方法です。
“したがわない” とは、
何でもかんでも人の言うことに
反発するということではありません。
『反射的にしたがわない』 ということ。
つまりあなたが、
『考えてから自分で選ぶ』
ことによって『心のアンテナ』をいたわる方法です。
精神論・根性論ではありません。
脳が好む “手順” と
言ってもいいかもしれません。
実は、『心のアンテナ』(扁桃体)は、
「どうにもできない」「させられた」という
“自分でコントロールできない状況” に
とても敏感に反応してしまいます。
これが何よりも苦手なのです。
例えば、
あなたが仕事に追われている時、
上司から別の案件について、
「あの企画書、早く出して」
と指示されたとします。
反射的に
「ハイ、今すぐ取り掛かります」と
したがってしまえば、
「早くしなければ」 と
自動的に焦ってしまいます。
「企画書を出さねばならない」 と
義務感にしばられます。
さらに
「スケジュール見て返事すればよかった」 と
後悔することにもなります。
“反射的にしたがう” ことで、
『焦り』 と 『義務感』 と 『後悔』
が同時に自然発生してしまいますよね。
そのために、
『心のアンテナ』が強烈に刺激されて、
上司に対する “怒り” や、
いつ帰れるのかわからない “不安” や、
間に合わない “恐怖” といった、
ネガティブな感情が発生し、
それに振り回されることになるです。
では、実際のところ
上司の指示を断れるのかと言えば、
それも難しい問題です。
そこで、
『考えてから自分で選ぶ』
のです。
上司から、
「企画書、早く出して」
と指示される。
あなたはここで返事をする前に、
『前頭前野で一度考えてから選ぶ』
という “手順” を入れてみましょう。
今は他の仕事で忙しい。
ただ、ここでいきなり断るほど忙しくはないかな…。
2時間くらいの残業なら、手当ても出るし、やっても悪くないか。
かといって今の仕事を遅らせるのも避けたいな。
ただ上司もお客さんからせかされて落ち着かないのかもしれない。
ハッキリ言って嫌だけど、ちょっと優先してあげるか。
よし引き受けよう。
「ハイ、今すぐ取り掛かります」
結果的には同じ返事、同じ行動を
とるかもしれません。
しかし、それを
『反射的に選ぶ』 のではなく、
『考えてから自分で選ぶ』
という “手順” が必要なのです。
無理やり考え方を変える必要はありません。
無理に感謝したり、
無理に前向きにとらえたり、
無理に自分の責任だと思おうとする
必要はありません。
『考えてから自分で選ぶ』
だけでいいのです。
『自分で選んだ』という自覚があるだけで、
「どうにもできない」 「させられた」 という情報が弱まり、
「早くしなきゃ」(焦り)
「ねばならない」(義務感)
「ああしておけばよかった」(後悔)
という
『思考のアミダくじ』の“横棒”が
自然と勝手にはずれてくれるからです。
つまり、
結果としてとる行動は同じでも、
『思考のアミダくじ』が書き換われば
『心のアンテナ』をいたわることができ、
最後にたどり着く感情が勝手に変わるのです。
そのためには、
『思考のアミダくじ』がスタートする瞬間を
とらえられるようになる必要があります。
そこで、したがわない“練習”をしたいですよね。
ただし、この“練習”を
いきなり人間関係の中でおこなうのは、
なかなか難しいかもしれません。
なぜなら、
ただの前向き思考のヤセ我慢になって
もっと苦しくなる可能性があるからです。
そこで次回は
『思考のアミダくじ』がスタートする瞬間を
とらえられるようになる
“ある強力な練習法”
をご紹介いたしますね。
とっても簡単で、
でも効果抜群の練習法ですよ。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
おかげ様でコラム数500本突破!