平常心を保つためのちょっとしたコツ
しない努力
第4回
動じない努力
┃「動じない努力」とはなにか?
「動じないなんて無理!」
まったく、そのとおりだと思います。
「動じない努力」というタイトルをつけておきながら、大賛成です。
たとえば、物音にビクっとして平常心を失う。
動悸がはやまる。
動じるのは、脳の扁桃体が引き起こす自然現象です。
(参照:「扁桃体が世界の性質を決める」)
だから、どうしても動じてしまいます。
というよりも、動じるおかげで、私たちは危険を察知できるわけです。
「私の体さん、動じてくれてありがとう」と感謝してもいいくらいですよね。
それでも今回のテーマは「動じない努力」です。
ではいったい、なにに対して「動じない努力」をするのか?
それは「動じた自分に動じない努力」をしていくことをオススメしたいんです。
ちょっとややこしいですね。
くわしくご説明します。
┃平常心を失っていくパターン
あなたは、生きづらさから脱け出すために、これまでさまざまな努力を重ねてこられたと思います。
今も、ネガティブな感情に飲み込まれず、平常心でいられるように、いろいろな工夫をされているのではないでしょうか。
そのような平常心を保つ努力をつづけていると、心が乱れてしまったときに、すごく動揺してしまうことはありませんか?
「平常心を保つ努力をしているはずなのに、なぜ動じてしまったのだ!?」と、動じてしまうのです。
つまり、「動じてしまった自分に動じてしまう」のです。
ストレスを感じないはずなのに、ストレスを感じてしまった。
冷静でいられるはずなのに、冷静でいられなかった。
つまり、動じてしまった。
だから「ああ、動じてしまった!」と動じる。
「何とかしなければ!」と焦る。
さらに「なんでできないだ!」と自分を責める。
動じたことに動じつづけて、自分を自分で追い詰めてしまい、より平常心を失ってしまうのです。
平常心を保つための努力や工夫を重ねていたはずなのに、これでは逆効果ですよね。
だからいったん、動じた自分を認めてしまいましょう。
心が乱れた自分を認めてしまいましょう。
受け入れがたいかもしれませんが、平常心を保てなかった自分を認めてしまいましょう。
つまり「動じた自分に動じない努力」をするのです。
┃平常心を保つとは「動じた自分」を受け入れること
たしかに、せっかく努力してきたことが出来なかったら、誰だって動じてしまいますよね。
しかしいくら焦っても、自分を責めても、動じてしまったことを取り返せるわけではありません。
時間も巻き戻せません。
「なんで動じてしまったんだ!」と、動じれば動じるほど、ストレスを感じ、さらに冷静さを失っていくだけです。
だから、せめて「動じたことに動じること」だけは手放してしまいましょう。
平常心を保てるということは、「まったく何も感じなくなる」ということではないですよね。
ストレスを感じることもあります。
そんな「動じた自分」を受け入れて冷静に対応できる心が、「平常心」なのではないでしょうか。
「動じた自分」を、動じずにしっかりと受け止めてあげましょう。
認めてあげましょう。
それが「動じない努力」です。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
しない努力 <目次>
1.なんだかわからない焦りの解消法 - しない努力のススメ
2.ストレスがたまる一方なのは感謝のし過ぎ? - 「感謝しない努力」
3.ネガティブな感情に振りまわされない方法 - 「自分のせいにしない努力」
4.平常心を保つためのちょっとしたコツ - 「動じない努力」
5.怒りをしずめることに疲れ果てたら - 「怒りをしずめない努力」
6.自然と怒りがわいてこなくなる方法 - 「期待しない努力」
7.自信はつけるものではなく出てくるもの - 「迎合しない努力」
8.他人を攻撃するのは自信がないから - 「攻撃しない努力」
9.自己顕示欲が強いのは劣等感があるから - 「自己顕示しない努力」
10.焦り、義務感、後悔を同時に予防する方法 - 「したがわない努力」
11.腹の立つ相手のことが頭から離れないとき -「対峙しない努力」
12.他人を本当に理解することはできるのか? - 「理解しない努力」
13.どうしても許せない人がいるのなら -「許さない努力」
14.あのときこうすればよかった… -「後悔しない努力」
15.生きづらさを突破する最後の手段 -「あきらめない努力」
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