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誰にも理解されない苦しみの乗り越え方

 

理解されない苦しみを表現した画像

 

わかりにくい不幸

 

第4回
超ファインプレー

 
わかりにくい不幸の一つに、
「~~が恐い」
「~~が気持ち悪い」
という苦手なものがあるというパターンがありますよね。
 
それも、ちょっと苦手というレベルではなく、
それが目の前にあるだけで食事が出来ない、
眠れないほどのレベルで苦手なのです。
 
明らかに生活に支障がでるほど苦手なもの。
 
あなたにも、
そのような苦手なものがありますでしょうか?
 
この苦手な “もの” や、
苦手な “レベル” が、
他の人と解り合えるものならば、
とても大変ながらも何とか乗り切ろうと
勇気をふりしぼれるかもしれません。
 
しかしこの苦手な “もの” や “レベル” が、
他の人と解り合えない場合。
 
わかりにくい不幸の
最大のパターンにハマっていくわけです。
 
つまり、
 
『苦手なもの、嫌いなものがあるという不幸』。
 
さらにそれを
 
『人に理解してもらえない不幸』
 
という、二重の不幸です。
 
例えば、
 
「カーテンが恐い、どうしても気持ち悪くて
直接見ることすらできない」
 
という女性がいるとします。
 
そう、あの窓にかけてあるカーテンです。
 
どんなに努力をしても、
この恐さや気持ち悪さは
改善されるものではないと、
彼女自身が心の底から
認めざるを得ない “レベル” です。
 
彼女はまず、
このどこにでもあるカーテンというものを
とても気持ち悪く感じることで年がら年中
強烈に不愉快な思いをするという不幸を抱えています。
 
会社、レストラン、デパート、喫茶店、
どこに行っても強大な恐怖や気持ち悪さが
待ち構え、追いかけてきます。
 
道を歩いていても、
家やビルの窓に不愉快さが顔を出します。
 
行きたい場所に行けないこともあれば、
ホテルや旅館を使って、
泊りがけで出かけることもできません。
 
テレビや映画も、
知らず知らずのうちに目を細めて見ていて、
カーテンが映りそうになったら目をそらさざるを得ません。
何度となく克服する努力を重ねてきましたが、、
それをする度に不眠におちいったり、
逆に夢にまでカーテンが出てくるようになり
恐くて気持ち悪い悪夢にうなされてしまうのです。
 
もちろん、
自分の部屋にもカーテンがかけられず、
毎日まぶしさや暑さ寒さを我慢しています。
 
防犯上住まいの窓は曇りガラスか
2階以上の部屋でないとで危険で住めないため、
住まい選びにも苦労してしまいます。
 
こんな風にカーテンが苦手なために、
彼女に直接おこる不幸だけでも
たくさんあるわけです。
 
でもここまでは、
自分自身の中であきらめたり
工夫を重ねたりして
解決していくことができるかもしれません。
 
しかし、
さらにここに強烈な不幸といえる
 
『苦手なものを理解してもらえない不幸』
 
が加わるわけです。
 
レストランに入って、
事情を話して席を替えてもらおうとしても、
真剣には取り合ってもらえないこともあります。
 
カーテンが苦手、ですか?
へー、変わってますねぇと、
 
ケラケラと笑われることも、しばしば。
 
会社の上司や同僚も
理解を示してはくれるものの、
仕事に支障が出る時があれば
 
「そんな程度のことで、ワガママを言うな」
 
と注意や叱責を受けます。
 
彼女はそのたびに、
幼少の頃を思い出します。
 
小学校の頃。
 
窓際にあるカーテンを
視界から振り払うように
黒板を見つめる。
 
寒気に襲われながら授業を受け、
恐怖とおぞましさを押さえ込みながら
何とか給食を口へと運ぶ毎日。
 
ガマンしてガマンして
みんなと変わらぬように過ごす日々。
 
そんなある日の席替えで、
ついに自分の席が窓際になってしまう。
 
それでも何とかガマンする。
 
毎日、冷や汗が背中をつたう中、
授業も給食も手につかなくなる。
 
ついには、泣き出してしまう。
 
彼女はここまで、
ガマンにガマンを重ねてきた。
 
みんなに迷惑をかけまいと、
必死でみんなに合わせてきた。
こらえてきた。
 
でも限界がきた。
 
意を決して先生に相談する。
 
「席を替えて欲しい、
 カーテンが恐いから、気持ち悪いから」
 
先生に呼ばれて話をする。
先生は言った。
 
「あなたのためだけの席替えじゃないのよ。
 学校にはみんながいるの。
 一人だけワガママを言ってはダメ。
 そんなのどこでも通用しないのよ。
 これくらいのことガマンできないでどうするの?」
 
彼女は絶望する。
誰も解ってくれない。
この世界にいる人は、
みんな私と違う景色を見ている。
 
まるでまったく自分の言葉が通用しない
危険な異国に迷いこんだような恐怖感・・・。
 
強烈な孤独感。
 
みんなが窓際で揺れるカーテンのそばで
楽しく語らい笑いあう“異様”な姿が、
彼女を現実から引き離していく。
 
大人になっても彼女は、
同じような場面を繰り返し、
その度にこの時の絶望感を思い出す。
 
そして、『怒り』の感情も。
 
自分の苦しみを
決して理解しようとしない人々。
不幸だと認めようとしない人々。
 
いつか彼女は年を重ねるごとに、
その怒りや恨みの対象を
社会全体へと広げていってしまう・・・。
 
あなたは、
「こんな人本当にいるの?」
と思いましたでしょうか?
 
それともあなたには、
この苦しみが痛いほど
理解できてしまったでしょうか?
 
彼女は、
懸命にみんなに合わせてきました。
 
毎日毎日工夫を重ね、
幼い心を奮い立たせて、
まわりのみんなに合わせてきたのです。
 
言ってみればそれは、
 
『超ファインプレー』
 
として周囲から賞賛されてもいいほどの
行為を重ねてきたのではないでしょうか。
 
しかし、ついに力尽き、
相談をした相手から発せられた言葉は
真逆の
 
『ワガママを言うな』
『もっとみんなに合わせろ』
 
という叱責や、
さらなる強要だったわけです。
 
ガマンしてガマンして、
こらえてこらえて、
合わせて合わせて、
その結果が叱責や、
さらなる我慢の強要であれば、
怒りや恨みを覚えるのは無理もありませんよね。
 
でも、彼女は解っています。
 
レストランの店員さんも、
上司や同僚も、
学校の先生も、
誰にも非がないということを。
 
ただこの不幸のことが
「解らない」だけなんだと。
 
彼女は、それを知っているのです。
 
解らないことを理解してもらおうとすれば、
破綻するだけです。
 
これがわかりにくい不幸の大原則でしたよね。
 
あなたがもし、
同じような経験をされているのなら。
同じような苦しみを抱えているのなら。
 
せめて、あなたは認めてあげましょう。
 
自分の 『超ファインプレー』 を。
 
誰にも遠慮はいりません。
 
だって他の人には、
解らない不幸なのですから。
 
堂々と『超ファインプレー』なのだと
認めてあげていいのです。
 
人に解らない不幸のはずなのに、
 
「そんなの超ファインプレーでも何でもない」
 
と言う人のことを受け入れてしまうのは、
ムジュンしていますよね?
 
あなたにしか解らない不幸なのですから、
それが超ファインプレーかどうかを
決める“決定権”はあなたにあるのです。
 
いえ、
 
あなたにしかないのです。
 
苦手なもの、嫌いなもの、恐いもの。
それを乗り越えてきたあなたの強さ。
 
誰も認めてくれなくてもいい。
解ってくれなくてもいい。
 
ただあなただけは、
あなたの『超ファインプレー』を
認めてあげましょう。
 
褒めたたえてあげましょう。
 
もしあなたが私に、
あなたの『超ファインプレー』について
語ってくださることがあったら。
 
私は、あなたに最大の敬意とともに
こう伝ええるでしょう。
 
あなたほどの『人生の名選手』はいない、と。
 
 
Brain with Soul代表
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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