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誰にも理解されない苦しみの乗り越え方

 

理解されない苦しみを表現した画像

 

わかりにくい不幸

 

第7回
安心を失った世界

 
「死ぬかと思った~」というのは、
日常的によく使われる言葉ですよね。
 
でも本当に死ぬかと思ったかと言えば、
ほとんどの場合はそんなことないですよね。
 
「それくらいビックリした」
という比喩表現として使われているわけです。
 
「死」というものを実感するのは、
想像ではなかなかできないものですよね。
 
でも、その「死」を、
最大の恐怖をともなって実感した経験をもつ人がいます。
 
それは、
 
『人に殺されそうになった人』
 
です。
 
「確かにいるだろうけど・・・、
 戦時中じゃあるまいし、そんな人、
 たくさんはいないでしょう?」
 
と思いますよね。
 
でも実際には、
「殺される」という恐怖を味わった人は、
多く存在しています。
 
家族からの虐待、いじめなど、
身近で報道されているような暴力事件で、
『人に殺される恐怖』 を多くの人が体験しているのです。
 
この恐怖は、
そう簡単にはぬぐえないでしょう。
 
テレビや映画、小説などで、
似たような場面を見ただけで
殺される恐怖がぶり返してしまう。
 
夢に何度も出てきては、
うなされて恐怖のあまり目をさます。
 
それだけでも、
とても大きな不幸ですよね。
 
ましてや親や兄弟姉妹という肉親から
「殺される」と感じた恐怖は、
人生をまったく別の世界に変えてしまうでしょう。
 
なぜなら、その人の人生からは、
『安心』というものが存在しなくなるからです。
 
『安心』が存在しないという、
過酷な世界で生きていくことになるのです。
 
にわかには想像できない、
とてもわかりにくい不幸ですよね。
 
あなたがもし、
このようなわかりにくい不幸を抱えていらっしゃるのなら、
その過酷さを身に染みて感じていらっしゃるでしょう。
 
どこにいても、
誰に対しても安心できず、
恐怖してしまう。
 
もっとも安心できるはずの家庭という場所で
もっとも安心できるはずの家族という相手に
本気で殺されそうになったのです。
 
いったい他に、どこで安心すればいいのでしょう。
 
いったい他に、誰を相手に安心すればいいのでしょうか。
 
とても無理ですよね。
とてもできないですよね。
 
安心できなくて当然なのです。
 
そう。
 
もう安心しなくていいんです。
 
安心しようとして苦しまなくていいんですよ。
 
安心できないこと、
それ自体でも苦しいことですよね。
 
さらに、安心できないのに安心しようとして
苦しみ続けることは例えようのないほどの苦しみです。
 
せめて、後者だけは手放しましょう。
 
安心できないのに安心しようとして
苦しみ続けることはやめましょう。
 
今日までよく生きてきましたね。
今日までよく命を投げ出さずにきましたね。
 
安心を失ったこの世界、いや、
この過酷な戦場で生きてきたあなた。
 
あなたは、生き延びてきただけで奇跡です。
日々を生きるだけで、毎日奇跡をおこし続けているのです。
 
誰が何と言おうと、
私には、あなたが英雄に見えますよ。
 
『安心を失った戦場』 を生き抜いている英雄に。
 
 
Brain with Soul代表
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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