この世界を知り、生きづらさから脱け出す
Brain with Soul現象
第26回
ウォントユニット
『 ニードユニット』が活性すれば、『 モラルユニット』がしずまってきます。
ただし、前回ご説明させていただいたとおり、『ニードユニット』のもたらす「静かで穏かな落ち着き」だけでは、社会生活に対応し切れません。
そこで活躍するのが『ウォントユニット』です。
つまり、なにかを欲しがるときにはたらくユニットです。
ではいったい、なにを欲しがるときに『ウォントユニット』は活性するのでしょうか?
それは『かいらく』です。
ふだん使われる「快楽」という言葉のなかでも、『ニードユニット』の手助けをしてくれる「快楽」。
それをここでは、ひらがなで「かいらく」と呼びたいと思います。
そもそも「快楽」は、あまりよいものとしてとらえられていないですよね。
ただし「快楽」が悪いものになるのだとしたら、それはあくまでも質と量の問題ではないでしょうか?
適切な質と量の「快楽」。
つまり、『ひつよう』という料理を、よりおいしくしてくれるスパイスとなるもの、それが「かいらく」というわけです。
『ひつよう』がもたらす「静かで穏かな落ち着き」だけでは、 モラルが重視される社会生活のなかにおいて、どうしても吸引力が弱いと言わざるをえないでしょう。
なぜなら、モラルに反することをすれば、なんらかの不愉快な「罰」がまっているからです。
「罰」は、脳の「強化学習」という仕組みによって、意志を決定する力を強めていきます。
だから、モラルを無条件に守ろうとする気もちが強く湧いてくる。
つまり、学校や組織という場において、私たちは長年にわたり『モラルユニット』を活性するクセをつけられてきたということになるでしょう。
だから、『ニードユニット』だけでその力に対抗しようとしても難しい。
そこで『ウォントユニット』に加勢してもらう。
つまり「かいらく」を利用するわけです。
私たちの脳は「報酬」によっても「強化学習」をします。
かんたんに言い換えてしまえば、「ご褒美」をもらえることで、意志を決定する力が強まるということですよね。
その仕組みを利用して『ニードユニット』を応援するわけです。
『ニードユニット』と『ウォントユニット』が手を取り合って活性していれば、『モラルユニット』は、はたらく場を失っていき自然としずまっていきます。
使われなくなったユニットは、やがて活性しにくくなってきます。
すると『 意識画素』は、『ニードユニット』と『ウォントユニット』から生み出されるものが中心になってきます。
つまり意識のなかが、「生きるためにひつようなこと」がもたらす「静かで穏やかな落ち着き」と、それに彩りをそえる「適度なかいらく」に満たされていく。
そして、生きづらい人生が心地よい人生へと変わっていくのです。
ただし、『ウォントユニット』を活性させるには、ある「宿命」があることを充分に理解する必要があります。
それは、どのような「宿命」なのか?
次回、ご説明をさせていただきたいと思います。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)

「Clinical Neuroscience 2014 Vol.32.1 Decision Making - 意思決定・行動選択の神経科学」中外医学社
Brain with Soul現象 <目次>
1.生きづらさから脱け出す物語
2.意志と感情の源泉をさがして
3.濃さの違い
4.ネットワークの結果
5.内側から伸びる世界
6.意識の正体
7.何も決まっていない
8.あなたの意志のありか
9.生きづらい意識が生まれる仕組み
10.生きづらさ、その第二の源泉
11.生きづらい思考回路
12.精神
13.Brain with Soul現象
14.扁桃体が世界の性質を決める
15.扁桃体の本質
16.強烈な幸せ
17.心の空間
18.意識内世界と意識外世界
19.意識画素
20.意識の内容が決まる仕組み
21.『ものごころがつく』とは?
22.モラルユニット
23.モラルユニットをしずめる準備段階
24.しずめる?しずまる?
25.ニードユニット
26.ウォントユニット
27.ウォントユニットの宿命
28.クリアカットできない
29.今っぽいもの
30.時間とは?
31.信号
32.物理空間プログラム
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読むと心が強くなるコラム
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