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迎合を止める方法(2)

 

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虐待の後遺症

 

第13回
迎合を止める方法(2)

 
迎合を止めるために、前回紹介した「許可を出す」という方法でもおさまることのない強い迎合の衝動がある場合。
 
そんなときは、「許可をする範囲」を広げてみましょう。
 
先ほどの言葉がけとは、反対側の選択肢も許可してあげるのです。
 
「話しかけてもいいんだよ。」
「機嫌をとってもいいんだよ。」
「息苦しくなってもいいんだよ。」
「相手の表情を気にしてもいいんだよ。」
「不安になってもいいんだよ。」
 
こんな言葉をかけて、どんどんと自分を自由にしてあげるのです。
 
これでさらに、心を抑えつける圧力が弱まっていくはずです。
 
「許可をする範囲」が広がったことで、行動の選択肢も広がり、不自由を嫌う脳の扁桃体の反発が、よりしずまりやすくなるのです。
 
その結果、もしかすると話しかけたり機嫌をとるといった、迎合する行動を選んでしまうかもしれません。
 
しかし、それは自分の意志で選択した行動。
 
つまり、自分で自由に選んだ行動になります。
 
「迎合したくなかったのに、また気づいたら迎合してしまっていた…。」
 
という状況とは、行動という結果は同じでも、とおったプロセスがまったく違うのです。
 
だから、話しかけたり機嫌をとったりしても、その後にもたらされる自己嫌悪の苦しさを格段に減らすことができるでしょう。
 
ここで紹介した『許可』を出すという方法。
 
もちろん、この方法で、はじめからすべての迎合の衝動を解消させることは、なかなかできないかもしれません。
 
上手に衝動をしずめられるようになるには、やはりくり返しの練習が必要になってきます。
 
ただし、回を重ね手ごたえを得ていくことで、やがて強い迎合の衝動が現れても、それに動じることなく冷静に対応できるようになっていきます。
 
そして、上手に許可を出し、徐々に迎合してしまう回数を減らしていくことができるようになるでしょう。
 
それと同時に、あなたの中である大切なものが育まれていきます。
 
それは、あなたの自尊心です。
 
虐待によってつぶされてしまい、しおれていた自尊心が頭をもたげて立ちあがってくるのです。
 
虐待の後遺症による迎合は、自分でとりたくてとっている行動ではありません。
 
あなたの意志とは無関係に、とらされている行動だと言えるでしょう。
 
それによってあなたの自尊心は、常に頭を抑えつけられているのです。
 
その抑えつける圧力をはずし、自らの意志で自由に行動を選ぶことで、自尊心が顔を出し、徐々に力をつけていくのです。
 
自尊心を育むためには、「する」ことよりも「しない」こと。
 
自信をつけようとしたり、強気な性格に変わろうとするなど、特別に何かを「する」のではない。
 
迎合「しない」ことによって、自尊心はみずからムクムクと力強く起き上がってきてくれるのです。
 
さて、もし迎合「しない」ための練習をくり返ししているにもかかわらず、まったく変わることなく突き上げるような衝動がもたらされる迎合のパターンがあるならば。
 
それはもはや『Don’t』ではなく『Can’t』だと判断してもいいかもしれません。
 
つまり、『やらない』のではなく『できない』。
 
その迎合は、もはや自分の努力では止められないのです。
 
そして、そのような『Can’t』の迎合に対しては、また別の手段を講じていく必要があります。
 
次回は、そのための考え方と方法についてご紹介します。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
 

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