どうしても人に嫌われてしまう
嫌われてよかった
第2回
どうしても人に嫌われてしまう
この日本の社会の中には、
「人に嫌われる」
ということについて悩んでいる人が、本当にたくさんいます。
あの人に嫌われた、この人に嫌われたと、実際に嫌われてしまったことについて悩み、また、あの人に嫌われているかもしれない、この人にも嫌われているかもしれないと、嫌われている可能性についてまでも悩んでいます。
誰もが一度は悩むであろう、この「人に嫌われる」という問題。
その中でも、切実にかつ長いあいだその問題と取り組まざるを得ない人たちがいます。
それは、
「どうしても人に嫌われる」
という問題を抱えた人たちです。
とにかく周囲の人から、すぐに嫌われてしまう。
学校や職場など、人が集まり共同生活する場に身を置いていると、たいした時間も必要とせずに、あっさり嫌われて一人になってしまう。
打ちとけて仲よくなれたなと思う人がいても、関係が深まっていくとまた嫌われてしまう。
その中でも、長いあいだつき合いがつづいて、この人なら大丈夫と思った人にさえ、やっぱり嫌われてしまう。
そのような人を、ここでは、
「嫌われ上手」な人
と呼ぶことを、前回のコラムでご紹介しました。
今回は、この「嫌われ上手」な人とはいったいどのようなものなのかについて、少し詳しく見ていきたいと思います。
「嫌われ上手」な人とは、文字どおり人から嫌われることがとってもうまい人。
「嫌われる勇気」なんて持つ必要もなく、とくに努力をしなくても、ただ人と日常をともにしているだけで、簡単に、スムーズに人に嫌われることができてしまう。
それが「嫌われ上手」な人です。
ただし、そのような、「どうしても人に嫌われる」という問題に直面していても、それについてあまり悩んでいない人もいますよね。
たとえば、人から嫌われたことをたいして気にもとめず我が道を行ける人。
もし気になったとしても、自分を嫌った周囲に対して腹を立てて、すべてを自分以外の人のせいにできる人。
また、中には周囲の人から嫌われているにもかかわらず、それに気づかずに、反対に、人気者だとすら思っている人もいます。
このような人たちは、このコラムで述べていく、「嫌われ上手」には含まれません。
「嫌われ上手」な人は、あくまでも嫌われていることに心の底から悩んでいる人。
嫌われていることを自分の性格の悪さや、自分の心の弱さのせいだと強く感じ、何とかそれを解消したいと思っている人。
そして、日々一人で過ごすことにさびしさを感じ、できることなら人と楽しく語らって過ごしたいと思っている人。
つまり、「人に嫌われてしまう自分」を受け入れられずに、自分を責め、自分を変えようとしている人です。
また、おとなしい性格のために、周囲から孤立しているという人も、「嫌われ上手」には含まれません。
これもたいへん切実な悩みではあるのですが、このようなケースは、コミュニケーションを上手にとることができないことが原因となっている場合が多く、「どうしても人に嫌われる」という問題とは、根本的に違う問題になるからです。
このようなケースでは、「嫌われている」ということについては、本人の気にしすぎや思い込みであったり、また、フタを開けてみたら、本人と周囲の人の双方が、互いに気をつかい合ってしまっていただけというパターンが多く見られます。
そのため、よくあるヒット曲の歌詞のように、
「自分が思っているほど人はあなたのことを気にしてはいないし、嫌ってなんかいない。あなたが心を開けば、きっと相手も心を開いてくれるよ。」
という対処法がピッタリと当てはまり、苦労を重ねながらもそのとおりに問題が解決していきます。
しかし、「嫌われ上手」な人の場合には、そのようなハッピーエンドは待ち構えてはいません。
気にしすぎでや思い込みなんかではなく、本当に嫌われている。
それどころか、フタを開けてみたら、自分が想像していた以上に嫌われていた。
しかも自分が考えもしていなかった人にまで嫌われていて、自分はこんなにもたくさんの人から、こんなにも嫌われていたのかと、これでもかと思い知らされる結果になるのです。
次回はその「嫌われ上手」な人を、7つのタイプに分けて、詳しく見ていきたいと思います。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
おかげ様でコラム数500本突破!