起業しても本当に食べていけるだろうか・・・

脱世間起業への道
第16回
起業しても本当に食べていけるだろうか・・・
┃すぐに「安定した収入」が得られるか不安がある
「起業後の収入が心配だ」というご相談をよくお受けします。
つまり、起業後のお金の問題ですね。
せっかく起業しても、すぐに安定した収入が得られるか不安になる。
あっという間に食べていけなくなるんじゃないだろうか。
なんなら借金や支払いに追われることになるんじゃないか。
会社勤めの方がマシだったと後悔することになるんじゃないか。
果たして本当に、起業してすぐ事業を「軌道に乗せる」ことができるのだろうか?
考えれば考えるほど心配になる。
だから、なかなか起業する勇気がもてない。
そんな方がとても多いのです。
たしかに、せっかく起業したのに生活ができなくなってしまったら、もとも子もないですよね。
起業をためらってしまうのも当然だと思います。
多くの起業塾では、このような質問をすると、
「そんな心配はいりません!」
「最初からバッチリ稼げるテクニックをお教えします!」
といった答えが返ってくることが多いでしょう。
つまり、誰でもいきなり「軌道に乗せる」ことができると言うわけです。
そしてふたを開けてみると、よほど鈍感な人にしかできない「飛び込み営業」さながらの強引なSNS戦略を教えられる。
または「一夜にしてすべての悩みを解決するマル秘情報を一斉暴露!」といったえげつないセールストークを書かされる。
とにかく、無理やりにでも「軌道に乗せる」ためになんでもやらせようとしてくるのです。
┃本当にすぐ起動に乗ってもいいんですか?
ちなみに私は、そのようなイケイケの回答をすることはありません。
起業後すぐに安定した収入を得られるかとご相談を受けたら、必ずこうお答えするようにしています。
「本当にすぐに安定した収入が入ってきていいんですか?」
つまり、「すぐに軌道に乗せてしまっていいんですか?」とおたずねするのです。
なぜなら、収入が安定するということは、それだけ数多くのお客様が来るということです。
開業してすぐ、そんなにも多くのお客様が来てしまったら、よほどの達人でないかぎりサービスの質が保てません。
つまり、練習も慣らし運転もなく「いきなり本番」になるために、仕事のレベルが極端に下がってしまうのです。
そして、お客様に満足していただけずに、悪い噂だけが広まってしまう・・・。
じっさいに数年前、近所の繁華街でラーメン屋さんがオープンしました。
大々的に広告し、開店と同時にいきなり満席。
私がたまたま通りがったとき、お客さんの一人が「もう二度と来るか!」と怒鳴りながら店から出てきました。
店内をのぞいてみると、商品の提供が間に合っていないらしく、他のお客さんも店員さんに文句を言っています。
文句を言われている店員さんたちは謝るヒマすらなく、呆然とした表情でひたすら作業をせざるをえないような状況でした。
私は、さすがにその後そのラーメン店にいくことはありませんでした。
開店当初にいった膨大な数のお客様も、二度といくことはなかったでしょう。
結果。
わずか数か月で、そのラーメン店はなくなってしまいました。
┃「軌道に乗せる」よりも大切なこと
起業後に収入を安定させたければ、大切なのは「軌道に乗せる」ことではありません。
「徐々に慣れていく」ことです。
いきなり激務にならぬよう、少しずつ慣れていけばいいのです。
とくに人間関係が苦手な人であれば、なおさらそうした方がいいでしょう。
そうしてサービスの質を保ちながら、業務になじんでいき、徐々にサービスの質を高めていく。
こうすることで、お客様が定着してきてくださり、末永く収入が安定していくのです。
もちろん、世間ではもっと派手に起業をして、いきなり「軌道に乗せる」ことにやっきになっている人たちがいます。
ただ、それが起業の「スタンダード」だと勘違いしてしまうと、収入を安定させるどころか、せっかくの起業が台無しにすらなってしまいます。
だから、まずはしっかり地に足をつけて、少しずつ「軌道に乗せる」ことが理想です。
そのために重要なのは、会社を辞めて一か八かで起業しないこと。
現在会社に勤めているのなら、そこでの収入を確保しながら、できる範囲で少しずつ起業していく。
規則や時間の関係でそれがむずかしいなら、副業可能な会社やアルバイトに転職をして、一定の収入と自由を確保しながら起業していくのもひとつの戦略でしょう。
一時的に収入は下がるかもしれませんが、しっかり「軌道に乗せる」努力をつづければ、結果的には収入が安定していくはずです。
その後は、そのまま会社勤めやアルバイトをつづけてもいいし、自分の事業の数を増やしていき、会社やアルバイトの方をやめてもいい。
つまり、収入源をひとつに限らないという生き方。
いわゆる「副業」ならぬ「複業」ですね。
柔軟な発想をもつことが、起業後の収入の安定につながってきます。
というか、そうしなければ収入が安定しない時代が来ているのです。
┃起業のための借金はしない
さらに、起業後の収入を安定させるために重要なのが「借金をしないこと」です。
お金を借りて起業すれば、当然、返済しなければならなくなります。
なにがなんでも、返済日までにお金を手に入れなくてはなりません。
つまり、いきなり「軌道に乗せる」必要が出てきてしまうのです。
だから、よほどのやりたいことがないかぎり、借金をして起業することは避けたほうがいいでしょう。
私の主宰する「脱世間起業塾」では、借金をしないことを第一の信念にして事業を組み立てていきます。
なぜなら、いきりなり軌道に乗せるよりも、
「一人で自由に仕事ができる環境」
をつくっていくことを、なによりも大切にしているからです。
起業後の収入を安定させたいなら。
お客様は少しずつ増やしていけばいい。
少しずつ「軌道に乗せて」いけばいい。
派手な結果を求めずに、たんたんと、たんたんと、末永くおつき合いさせていただけるお客様を増やしていく。
そのための具体的な方法を身につける。
それが結果的に、収入を安定させることになるのです。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
脱世間起業への道 <目次>
1.正社員になることは本当に「安定」なのか?
2.「起業しないリスク」が急激に高まっている
3.会社勤めはもう限界、でも起業も無理…
4.「バリバリ稼ぐ」か「静かに暮らす」か?
5.早めに起業に踏み出す絶大なメリットとは?
6.起業したいけど「やりたいこと」が見つからない
7.まずは「自分のため」に起業しよう
8.起業が成功するたった一つの条件
9.起業のための「最低限のやる気」を出す方法
10.「仕事が楽しくない」を解決する方法
11.なかなか起業に踏み切れない本当の原因とは?
12.起業の失敗で負うダメージが怖いとき
13.ビジネス本を読んでも稼げない理由
14.起業したいけどビジネスに興味がもてない
15.起業したいけどクレームが恐い
16.起業しても本当に食べていけるだろうか・・・
17.準備不足で起業すると「人生の財産」が手に入る
18.なぜ今が起業の絶好のタイミングなのか?
19.なぜ理由もなく「起業は怖い」と感じてしまうのか?
20.「会社員」と「起業」どっちがお得?
21.情報発信したいけどネタも自信もないとき
22.脱世間起業すると自分の「正解」が迷いなく見える
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