起業したいけど「やりたいこと」が見つからない

脱世間起業への道
第6回
起業したいけど「やりたいこと」が見つからない
┃「やりたいこと」と「起業」は切っても切れない関係?
起業に興味をもっておられる方から、よくお受けするご相談があります。
それは「起業したいけど、やりたいことが見つからない」というお悩みです。
このお悩みは、本当によくお聴きします。
すでに起業に向けて準備を進めている方でも、起業直前になると必ず、
「これが本当に自分のやりたいことなのか、疑問がわいてきました」
というご相談をたくさんいただくのです。
そして、起業へ向かっていた足がピタリと止まってしまう・・・。
たしかに、「やりたいこと」は「起業」とは切っても切れない関係だと感じますよね。
かく言う私も、そうでした。
脱世間起業しようと思っても、「やりたいこと」が見つからない。
だから、なかなか手をつけられない。
これかなと思って進めてみても、途中で「これが本当にやりたいことなのか?」と疑問に思い、なんどもはじめから考え直していました。
そして前へと進めなくなってしまったのです。
┃起業は「やりたいことを実現する場」ではない
「やりたいこと」が見つからなくて、起業に踏み出せない。
本当に「やりたいこと」なのかわからなくなって、最後の最後で起業できない。
じつは、ここにに大きな「誤解」が含まれています。
その「誤解」のせいで、足が止まってしまう。
なかなか起業に向けて前に進めなくなってしまうのです。
では、その「誤解」とはいったいなんでしょうか?
それは「起業とはやりたいことを実現する場だ」という誤解です。
つまり、「やりたいこと」を仕事にして、毎日元気にイキイキと前向きに働く。
それが起業だという「誤解」が、日本中に蔓延しているのです。
なぜそのような大きな「誤解」が広まってしまったのでしょうか?
それは、20年くらい前から日本で盛んになった自己啓発ブームのなかで、
「やりたいことを仕事にしよう!」
とあおる人たちの言葉が流行したためです。
その流行を受けて多くのビジネス講師が、
「やりたいことで起業しよう!」
という起業セミナーばかりやるようになった。
なかには、そのブームに乗じて、心理カウンセラーと名乗る人間たちまでもが、
「お金を借りてでも好きなことで食っていこう!」
とあおり出し、自分の高額な資格講座を売り出すしまつ。
結果として「起業とはやりたいことを実現する場だ」という「誤解」が日本中に蔓延してしまったのです。
しかしじっさいには、起業の目的は人それぞれです。
「やりたいこと」をやるために起業した人は、むしろ少数派だと言えるでしょう。
その証拠に、独立したWEBデザイナーや飲食店のオーナーに、なぜその仕事で起業したのか聞いてみるといいでしょう。
多くの方は、
「身に着けた技術を活かせるから」
とか、
「知り合いから食材を安く仕入れられるから」
といった現実的な答えが返ってくるはずです。
またネジの生産工場の社長や、近所の八百屋の店主に聞けば、
「集団就職で入ったのがこの業界だったから」
といった現実的な答えも返ってくるでしょう。
つまり「やりたいこと」と「起業」は、本来はまったく別の問題。
一部の人間とメディアが生み出した大きな「誤解」なのです。
「起業」をする前に、このことを正しく知っておく必要があります。
┃その起業は「解放感」を手に入れられるか?
もちろん「やりたいこと」を仕事にするという選択肢があるのは、とても素晴らしいことだと思います。
そのような考えをもっている人も、私は全力で支援させていただきます。
ただ「やりたいことがないから起業できない」という「等式」は成り立たないということなんですね。
これは「脱世間起業」でも同じです。
脱世間起業をするにあたって、「やりたいこと」があるかどうかは、まったく問題になりません。
では「やりたいこと」を実現するほかに、いったいどんな目的で脱世間起業するのでしょうか?
それは「解放感に満ちた人生を手に入れる」ために他なりません。
なによりもそれを最優先にする。
「やりたいこと」を仕事にしてもいいけれど、それは二の次、三の次の条件だということです。
いろいろなところでお話しさせていただいておりますが、私自身、カウンセラーをやりたいと思ってカウンセリング業をはじめたわけではありません。
また、起業塾の講師をやりたいと思って、脱世間起業塾Adicをはじめたわけでもありません。
失礼に聞こえてしまったら本当に申し訳ないのですが、それが事実なんです。
私にとって本当に重要なのは、その仕事が「やりたいこと」なのかどうかではなかった。
その仕事が「一人」でできるか。
その仕事が「解放感」を手に入れられるか。
その仕事が「自由」であるか。
それが本当に私の求めているものだったのです。
そのことに気づいてから、私の起業はスルスルと進んでいきました。
「一人」「解放感」「自由」。
それが脱世間起業の基準です。
そして、その基準のおかげで、今私は解放感に満ちあふれれた毎日を生きることができています。
好きな時間に映画を見て、読みたい本を読む。
天気のいい日はノートパソコン片手に下り列車に飛び乗り、森や草原のなかで仕事をする。
そしてなにより、イヤな上司も、無神経な同僚も、生意気な部下もいない。
あらゆる人間関係のしがらみから脱け出し、たった「一人」、自分のペースで「自由」に仕事に没頭できる。
この突き抜けるような解放感は、一度手にしたら「絶対」に手放せなくなるものです。
だから、もしあなたが「やりたいこと」がないと悩んでおられたとしても。
脱世間起業では、まったく不利な条件にはならないので、どうぞご安心くださいね。
「一人」「解放感」「自由」。
「やりたいことをやる」よりも、それを切実に望む心こそが「脱世間起業」では重要なのです。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶ かつのり(信夫克紀)
脱世間起業への道 <目次>
1.正社員になることは本当に「安定」なのか?
2.「起業しないリスク」が急激に高まっている
3.会社勤めはもう限界、でも起業も無理…
4.「バリバリ稼ぐ」か「静かに暮らす」か?
5.早めに起業に踏み出す絶大なメリットとは?
6.起業したいけど「やりたいこと」が見つからない
7.まずは「自分のため」に起業しよう
8.起業が成功するたった一つの条件
9.起業のための「最低限のやる気」を出す方法
10.「仕事が楽しくない」を解決する方法
11.なかなか起業に踏み切れない本当の原因とは?
12.起業の失敗で負うダメージが怖いとき
13.ビジネス本を読んでも稼げない理由
14.起業したいけどビジネスに興味がもてない
15.起業したいけどクレームが恐い
16.起業しても本当に食べていけるだろうか・・・
17.準備不足で起業すると「人生の財産」が手に入る
18.なぜ今が起業の絶好のタイミングなのか?
19.なぜ理由もなく「起業は怖い」と感じてしまうのか?
20.「会社員」と「起業」どっちがお得?
21.情報発信したいけどネタも自信もないとき
22.脱世間起業すると自分の「正解」が迷いなく見える
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