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好きなことを仕事にする…?

 

好きなことを仕事にする…? 生きづらい人生の歩き方 第36回

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生きづらい人生の歩き方

 

第36回
好きなことを仕事にする…?

 
好きなことを仕事にしよう。
 
そんな魅惑的な言葉をよく見かけます。
 
たしかに、「好きなこと」がそのまま収入につながるのだとしたら、人生においてこれ以上の素晴らしい環境はないように思えます。
 
だから、じっさいに多くの人がチャレンジしているのでしょう。
 
しかし、生きづらさを抱えている人は、「好きなことを仕事にする」というこの言葉を、あまり真に受けない方がいいかもしれません。
 
なぜなら生きづらい人は、のめり込むような「好きなこと」をもともと持っていない場合が多い。
 
さらに、以前「趣味、やりたいことが見つからない」でご説明したとおり、生きづらい人は「好きなこと」を見つけにくい性質を持っているからです。
 
そのため、「好きなこと」を手に入れようと探しはじめると、あっという間に「好きなこと探しの迷宮」に入り込んでしまいます。
 
結果として、「私は、自分の好きなことすら見つけられない…」という自己嫌悪におちいってしまうケースが多いのです。
 
にもかかわらず、本やネット、セミナーなどをとおして「好きなことを仕事にしよう」と、私たちに語りかけてくる人が、たくさんいます。
 
もちろんその人がビジネスマンであれば、そう語っていたとしても、とくに問題はないでしょう。
 
多少なりともビジネス的な成功に興味がある人に向けて語っているわけですし、受け取る側もそのつもりで聞くはずです。
 
しかし、なかには「心理カウンセラー」と名乗っている人まで「好きなことを仕事にしよう」と平然と語っているので、あまり本気にさせられないよう、注意する必要があるでしょう。
 
誰もが「好きなこと」を持っているわけではない。
 
かんたんに見つけられるわけでもない。
 
だからこそ、多くの人が苦しんでいるのですから。
 
そもそも「好きなことを仕事にする」という発想は、リア充的であると言えるかもしれません。
 
「好き」という自我を中心に、ものごとを考えているわけです。
 
もちろん、それ自体は悪いことではないですよね。
 
しかし、生きづらい人はそこに安易にのめり込むことができない。
 
「つまらない」「虚しい」と感じてしまう人が多いのです。
 
だからこそ苦しんでいる。
 
そこで私は今まで、実存を充実させる「ジツ充」という生き方をご紹介してきました。
 
その「ジツ充」を、仕事をとおして実現するためには、どうしたらいいでしょうか?
 
それは、この世界において自分が担うことのできる「役割」について考えてみることです。
 
生きづらさを感じるほどの真面目な人は、「好きなこと」という浮かれた感覚を追い求めるよりも、自分の「役割」について考える方がよほど真剣に取り組めるはずです。
 
参照:「苦しみの使い方」
 
では、生きづらい人は「好きなことを仕事にする」ことを、あきらめなくてはならないのでしょうか?
 
もちろん、そんなことはありません。
 
なぜなら「役割」を見つけ、それをつづけていくことで、「好き」という感情につながるからです。
 
たとえばあなたが、みずからの「役割」を見出したとき。
 
まだよくわからないなりに、それを仕事としてはじめてみたとします。
 
すると、必要な情報や身につけるべきことが、だんだんとわかってくるはずです。
 
そして、必要な情報の収集や、身につけるべきことの体得に取り組んでいく。
 
そのようにして「役割」を少しずつ育んでいくと、その仕事の魅力がわかってくる。
 
愛着が湧いてくる。
 
やがて、その仕事を「好き」になっていくのです。
 
ちなみに、私も「好きなこと」だからカウンセラーをはじめたわけではありません。
 
ただ、自分にとっての「役割」を考えていったら、自然とカウンセラーにたどり着いたに過ぎません。
 
じっさいにはじめてみたら、思ったよりも向いているかなと感じ安心した点もありましたが、それ以上に、本当に向いていないなと思うことがたくさんありました。
 
それでも、時間をかけて「役割」を育んでいくうちに、だんだんとカウンセラーという仕事の魅力がわかってきました。
 
愛着が湧いてきた。
 
そして、熱烈ではないにしても、今ではカウンセラーという仕事が「好きだ」と言えるようになりました。
 
「しのぶさんは、好きなことを仕事にできたからいいですね」と言われることがあります。
 
でも実は、さかさまなのです。
 
「好きなこと」を仕事にできたわけではなく、できる仕事を育てていたら「好きになった」のです。
 
私たちは、「好きなことを仕事にする」という言葉に、あまり踊らされないようにしたいものです。
 
無理をしてまで「好きなこと」なんて見つけようとしなくていい。
 
「好きなことを仕事にしよう」なんて思わなくていい。
 
まずは「役割」について考えてみる。
 
その「役割」という木の苗を、ほんの少しずつでいいから本気で育ててみる。
 
そうして大切に愛でた木の枝に、やがて小さな「好き」という実がなるのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの? 
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです 
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
154.自己憐憫のススメ
 


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