死んでも世界はつづくのか?
生きづらい人生の歩き方
第10回
死んでも世界はつづくのか?
人間はいつか死ぬ。
それは私たちが「肉体」を失い、現在感じている「意識」も永遠に失うということ。
その後も、世界は何事もなかったようにつづいていくのでしょうか?
それとも「私」の死とともに、世界もなくなってしまうのでしょうか?
あなたも、一度はこの疑問をお持ちになったことがあるかもしれません。
カウンセリングの場でも、話題になることがあります。
生きづらいと感じている方は特に、このような問いにハマりこみやすい傾向にあると言えるかもしれません。
自分が死んだあとも世界はつづくのか?
この問いの答えを求めるヒントとなる言葉があります。
脳内で「意識」が発生する仕組みについて書かれた一冊の本、
『意識はいつ生まれるのか』
(マルチェッロ・マッスィミーニ/ジュリオ・トノーニ:著)
の中にある次の言葉です。
「もし、脳が体の表面に出ていたら、〔物体に意識が宿る〕という謎が、つねに目に入ってくるはずだ。」
つまり、
脳という「物体」に「意識」が生じるというとても不思議な現象。これにもっとみんな興味を持とうよ!
ということでしょう。
たしかに、ただの脂肪やたんぱく質のかたまりである脳に、なぜ「意識」が発生するのかとても不思議ですよね。
しかし、実はここに重要なポイントが隠されています。
それはこの言葉が、
「物体に意識が宿る」
ということを前提として語られているということ。
つまり「物体」が先にあって、そこに後から「意識」が生じるということが前提になっているということです。
もしそうであるならば、私たちが死によって「意識」を永遠に失っても、「物体(世界)」はそのままつづくことになるでしょう。
この感覚は、現代の日本社会でもスタンダードなのではないでしょうか?
遺言を残すことは当たり前ですし、死後のために先にお墓を買う人もたくさんいます。
それを見て「おかしなことはやめなさい!」と止める人は、あまりいないはずです。
しかし…。
もしかすると「意識」が先にあるのかもしれない。
その「意識」が「物体」という幻影を見ているだけかもしれません。
言うなれば、「意識」の中に世界があるということです。
この考え方なら、死ぬと同時に世界はなくなってしまいます。
本気でそう思っている人は、死に支度もせずに死んでいけることでしょう。
たとえば自分の死を予感しても、机の奥にしまった過去の日記や、スマホの中の告白メールを処分しようとあわてることはない。
ましてやエロ本やアダルトDVDも一切処分することなく、それはもう堂々と死んでいくことができるはずです。
ここで一つの事実が見えてきます。
それは、死後に世界がつづくかどうかは「物体が先」か「意識が先」かという問題に置きかえると、自分がどう思っているのか答えが見えてくるということです。
ちなみに私は、「意識」の中に世界があると考えています。
ただ、その「意識」を生み出している「別のもの」が先にあるのかもしれないと考えるのです。
そう説明すると、映画の「マトリックス」のような、別の世界に本当の自分の身体があるということかな、と思う方がいるかもしれません。
また、「脳は試験管内で育てられていて一種の夢を見ている状態」という、ホラー映画に出てきそうなシーンを思い浮かべる方もいるかもしれません。
実は、私の考えはそれとは違うのです。
何らかの「存在そのもの」があって、それが「意識」を生み出し、その「意識」の中に「存在そのもの」のほんの一部を組み合わせた世界が創り上げられている。
ものすごく簡単に説明すると、そんな感じです。
だから私は、死んだあとも私の「意識」の中にあった世界の要素はつづいていくような気がしています。
ちなみに、なぜ私がそのような考え方になったのかというと、やっぱり死に支度せずに死ぬ勇気はないな、と思ったからです。
死んでから人に見られたくないものもある(笑)
かといって、目の前の世界は幻影のようなものだという実感も強くあります。
オカルトな意味合いではなく、自然科学のフィルターをとおしても、そう思わざるをえないと感じている方は、実は多いのではないでしょうか。
「物体が先」でもあり「意識が先」でもある。
私は、その「両極」が成り立っているのがこの世界だと実感しているわけです。
この考え方は、拙著、
『生きづらさから脱け出す実践法』
にも詳しく書かせていただいておりますので、もしよろしければそちらをお読みいただけたら幸いです。
先ほどご紹介した、
『意識はいつ生まれるのか』
は、「物体が先」ということを前提とした科学的な名著です。
しかし著者は最後の方で、「意識」が科学的な因果関係だけで生じると考えていいのだろうかという葛藤も展開しています。
果たして死んだあとも世界はつづくのか。
「物体が先」なのか「意識が先」なのか。
あなたはどう思われるでしょうか?
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
生きづらい人生の歩き方 <目次>
1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの?
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
おかげ様でコラム数500本突破!