TOP | コラム一覧 | 生きづらい人生の歩き方 | 誰に相談したらいいかわからない


誰に相談したらいいかわからない

 

生きづらい人生の歩き方第53回 誰に相談したらいいかわからない

LinkIcon目次はコチラ  
 

生きづらい人生の歩き方

 

第53回
誰に相談したらいいかわからない

 
自分の悩みを、誰に相談したらいいのかわからない。
 
生きづらさを抱えている方の多くは、そのように感じています。
 
苦しみのあまり、誰かに頼りたいと思う。
 
この切実な思いを聴いてもらいたいと思う。
 
そして、じっさいに誰かに相談してみる。
 
でも、悩みが伝わらない。
 
共感も得られない。
 
やがて孤独を深めていき、誰に相談していいかわからなくなってしまうのです。
 
生きづらい人の悩みが伝わらないのは、周囲の人たちと「悩みの階層」がずれているから。
 
私は以前、そのようにご説明しました。
 
生きづらいという悩みは深く複雑なため、「悩みの階層」がずれしまっていて、相手にその切実さが伝わらないのです。
 
ではなぜ「悩みの階層」がずれていると、相手に切実さが伝わらないのでしょうか?
 
それは、
 
「臨場感」
 
がないからです。
 
相談を受けた相手が、その悩みに「臨場感」を感じることができないため、共感できず、その悩みの本質を理解できないのです。
 
私たちが他人の悩みに共感するには、「臨場感」が必要です。
 
たとえば、
 
「高速道路でものすごくオシッコしたくなっちゃってさ。その途端、渋滞にハマっちゃって。それから1時間ずっとガマンしたの!」
 
と言われたら、たいていの人にはその切実さが伝わるでしょう。
 
なぜなら、みんなオシッコをガマンした経験があり、ありありとした「臨場感」をもってその苦しみをイメージできるからです。
 
反対に、「臨場感」がない悩みには、それがいかに重大な問題であったとしても、私たちはまるで無頓着になってしまいます。
 
たとえば、先日NHKから次のような重大な報道がありました。
 
私たちのメールが、日本の諜報機関に収集されている。
 
日本政府は、アメリカから提供された監視システムを導入しており、私たちのメールを盗み見れる状態になっているというのです。
 
このNHKの報道を見て、
 
「なんだって!それはたいへんだ!」
 
と、今日からメールを使うのをやめようと考えた人は、あまりいないのではないでしょうか。
 
政府にメールを傍受されていること、またそれによって起こると予想される問題に「臨場感」がないからでしょう。
 
一方、もしあなたの会社の同僚が、あなたがトイレに行っていたすきに、あなたのスマホを手に取りながら、ニヤニヤとメールを盗み見ているのを見つけたらどうでしょうか?
 
あなたはとても不愉快になり、その同僚とプライベートでつき合うのをやめ、スマホにしっかりパスワードをかけなおし、会社側に事情を説明して席の移動を申し出るのではないでしょうか。
 
元アメリカ自由人権協会リーガル・ディレクターのスティーブン・シャピロ氏は、じっさいに大学の生徒に同様の質問をしたそうです。
 
すると、政府に盗み見られていることはまったく気にならないが、知り合いに盗み見られるのは「プライバシーの侵害だ」と全員が答えたそうです。
参考文献:「スノーデン 監視大国日本を語る」/エドワード・スノーデン,国谷裕子ほか/集英社
 
つまり、「臨場感」のない問題は、問題としてあつかわれることはない。
 
「臨場感」のない悩みは、あくまでも「他人ごと」なのです。
 
では誰かに相談するときに、「臨場感」をたっぷり出して語ればいいのでしょうか?
 
もちろん、ただ相談するよりかは伝わりやすいかもしれません。
 
しかし、似たような苦しみをまったく経験していない人に、いくら「臨場感」を出して話しても、肝心な部分は決して伝わらないでしょう。
 
「大げさだな」と思われるだけで終わりという、残念な結果になることがほとんどです。
 
これは、相談相手がプロフェッショナルであっても同じです。
 
プロの心理カウンセラーにならと思って相談してみたけれど、神妙な顔つきでフムフムうなずかれるだけで、ちっとも悩みの本質が伝わった感じがしない。
 
あなたも、そのような不全感をおもちになったご経験があるかもしれません。
 
だから、生きづらい人が相談相手を選ぶさいに重要なのは、相談相手が同じような経験をしたことがあるかどうか。
 
同じような悩みを抱えてきたかどうかなのです。
 
相談相手に「臨場感」を感じられるだけの経験がなければ、いくら熱心にあなたの苦しみを訴えても、相手には伝わらない。
 
相手は、共感したくても「できない」のです。
 
もしあなたが、周囲の人と「悩みの階層」がずれていると感じ、悩みが人に伝わらないと思っているのなら。
 
そして、誰に相談したらいいかわからないと感じているのなら。
 
まずは、自分と同じような経験をしている人を探してみましょう。
 
もちろん、相手は話を聴くプロフェッショナルであることが大切です。
 
さらに、その人がどのような悩みを抱えてきたのかを、しっかりと見極めてみましょう。
 
その結果「この人なら」と思える相手が見つかったのなら。
 
じっさいに、あなたの切実な生きづらさを打ち明けてみましょう。
 
きっと「対話」が成り立ち、あなたの人生が新しい展開を迎えるはずです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

関連コンテンツ

誰もわかってくれない
すべてを受け入れてもらいたい
 

もしこの記事があなたのお役に立てたのなら、
ぜひ他の方にも教えてあげてください。
Adic Salon入会受付中!生きづらさをチカラに変える!
 
 

生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


おかげ様でコラム数500本突破!

読むと心が強くなるコラム

「読むだけで生きる勇気が湧いてくる」と大好評をいただいている、しのぶかつのり(信夫克紀)の連載コラムです。
もちろん<無料>でお読みいただけます。