「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
生きづらい人生の歩き方
第32回
「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
世間には、たくさんの「悩み解決書」が出ていますよね。
たとえば、
「〇〇すれば人生は絶対うまくいく」
「〇〇を手に入れるたった一つの習慣」
「〇〇の悩みをズバリ解決します」
「人生が劇的に変わる〇〇の言葉」
「お金を引き寄せる〇〇の法則」
「〇〇になれない本当の理由」
「〇〇がしんどいと思ったら読む本」
「〇〇流、誰でも幸せになれる方法」
などなど・・・。
どれも魅力的なタイトルの本ばかりです。
そのタイトルにひかれ、じっさいに買って読んでみると、だいたい同じようなことが書かれています。
・目標をもとう
・達成したイメージをしよう
・感謝しよう
・いいところに目を向けよう
・ポジティブな言葉に言いなおそう
・相手を思いやろう
・人をよろこばせよう
・人を許そう
・自分を大切にしよう
・好きなことをやろう
・自己投資しよう
などなど・・・。
タイトルは違えど、中身は同じ。
どれも自分がすでに取り組んできたことばかり。
あなたはガッカリすると同時に、やはり自分の努力が足りないだけなのかと思ってしまうのです。
そして「悩み解決書」に書かれていた、「感謝する」「ポジティブな言葉に言いなおす」といった努力を、さらにつづけることになります。
しかし、悩みは解決されるどころか、無理を重ねて追いつめられるはめになり、さらに苦しさが増していってしまうのです。
いったいなぜ、このようなことがくり返されるのでしょうか?
それは、ほとんどの「悩み解決書」の取りあつかっている悩みが、「浅くて単純」だから。
生きづらさを感じているあなたの悩みのように、「深くて複雑」ではないからです。
もちろん、「浅くて単純」な悩みだから悪いとか、価値がないということではいっさいありません。
そして、「深くて複雑」な悩みだからといって、偉いわけでも高尚なわけでもない。
ただ、
「悩みの階層」
が違うのです。
「悩み解決書」の著者の方の多くは、ご自身の経験を語っています。
こんな悩みがあったのだが、こんな方法で解決したと。
ただその悩みというのが、多くの場合「浅くて単純」な悩みばかりなのです。
その「浅くて単純」な悩みを、たとえば人に感謝するようにしたら解決することができた。
また、ポジティブな言葉を使うようにしたら、前向きになれた。
今までそんなことを考えたこともなかったが、やってみたらあっさり解決できた。
つまり、自分を変えるを努力してなかった人が、はじめて努力をしたらうまくいったという内容がほとんどなのです。
もっとストレートに言うと、
「ただ努力してなかっただけ」
というパターンがとても多いのです。
長いあいだ、自分を変える必要に迫られるほど追いつめられることもなかった。
それが、離婚の危機や子供の反抗、リストラや事業の失敗など、物理的な「わかりやすいピンチ」におちいってはじめて、努力せざるをえなくなった。
そうしたらうまくいった。
やろうと思ったらできるポテンシャルがあったのに、たんにやっていなかっただけという物語によって、多くの「悩み解決書」の内容は構成されているのです。
でも、なぜそのような「浅くて単純」な階層の本ばかりが出版されるのでしょうか。
それは、その階層にいる人が、この社会のなかで圧倒的に多数だからです。
ほとんどの「悩み解決書」に書かれていることは、正しいことばかりです。
というか、とても当たり前のことが書かれています。
でも、その当たり前の努力すらしたことのない人が、ほとんどなのです。
世の中の人のほとんどは、深く悩んだこともなく、自分を変えようと努力したこともない人ばかり。
そういった努力をするほど苦悩した経験がない人によって、この社会は埋め尽くされているのです。
でもあなたは違う。
「悩み解決書」に書かれている当たり前のことに、真面目に取り組んできた。
それでも解決できないから、また別の本を買ってみた。
同じことが書かれているから、これはきっと自分の努力が足りないだけなのだと感じて、さらに努力を重ねてきた。
チャレンジをくり返してきた。
そして、ついに力尽きてしまった…。
もうあなたは、そのチャレンジをくり返す必要はないのかもしれません。
「浅くて単純」な階層には、十分に取り組んできたはず。
これからは、別の階層でチャレンジしていく。
「深くて複雑」な階層にチャレンジする段階がきているのです。
もしこの先も、書物にアドバイスを求めるのなら、その本が「深くて複雑」な悩みを取りあつかっているものか見極めてみましょう。
その本が自分の「悩みの階層」にしっかりとマッチしていれば、きっとあなたに、「新たな視点」をもたらしてくれるはずです。
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
信夫克紀(しのぶ かつのり)
生きづらい人生の歩き方 <目次>
1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの?
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
154.自己憐憫のススメ
おかげ様でコラム数500本突破!