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更新日:2021年6月16日

なぜ苦しみを「克服」できないのか?

 

なぜ苦しみを「克服」できないのか?

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生きづらい人生の歩き方

 

第105回
なぜ苦しみを「克服」できないのか?

 

┃苦しみを「克服」できない理由

 
苦しみを克服したい。
 
生きづらい人なら、だれもが願ったことがあるでしょう。
 
たとえば虐待の記憶。
 
人間関係の悩み。
 
抑うつやパニック、発達障害。
 
恐怖症や嫌悪症。
 
原因不明の身体症状。
 
これさえ克服できればと、心の底から思ってきた。
 
そしてじっさいに、その苦しみに闘いを挑み、消し去ろうとしてきた。
 
でも克服できなかった・・・。
 
ではなぜ、私たちは苦しみを克服できないのでしょうか?
 
それは、苦しみを消し去ろうとすることは、苦しみの「克服」ではなく、苦しみの「排除」だからです。
 
多くの人は、苦しみの「克服」と「排除」を誤解してしまっている。
 
だから、なかなか苦しみを克服できない。
 
いえ、苦しみを克服するスタートラインにすら立つことができずにいるのです。
 
 

┃人間は苦しみの「排除」が苦手な生き物

 
苦しみを克服できない人は、苦しみの「克服」と「排除」を誤解している。
 
そして、苦しみの「克服」と「排除」を誤解しているかぎり、私たちは苦しみに振りまわされて生きることになります。
 
いったいなぜでしょう?
 
それは、私たち人間が自分の一部を「排除」することがことのほか苦手な生き物だからです。
 
じっさいに、歯の一本ですら、自分のもとから排除することがなかなかできません。
 
歯科医師の手を借りて、感覚を麻痺させて、「もぎとる」ことで、ようやく取り除くことができます。
 
つまり私たちは、自分の一部を排除することが、そうかんたんにはできないようにできているのです。
 
苦しみも同じ。
 
苦しみであっても、れっきとした自分の一部です。
 
自分にとって都合のいいものばかりが、自分の一部とはかぎらないですもんね。
 
どんなに望んでいないものでも、苦しみは「事実」として自分の一部。
 
だからそうかんたんに排除できない。
 
それが、もともと私たちに備わった宿命。
 
それを無理に排除しようとしても・・・。
 
できないことをやろうとしているわけですから、しんどくなる。
 
つまり、苦しみを消し去ろうとするがあまり、さらなる苦しみがそこに加わるという悲しい結果になってしまうのです。
 
 

┃世間の「苦しみ」とあなたの「苦しみ」の違い

 
あなたはこう感じるかもしれません。
 
「でも、世間には苦しみを上手に排除している人もいると思うんですけど・・・?」
 
もちろん、さっさと悩みを消し去ってしまう人もいますよね。
 
たとえば「悩み解決本」を読んで、それを実践しただけで、すべて解決できてしまう人はたしかにいます。
 
ただ、それは「そのていどの苦しみ」だったということ。
 
言うまでもありませんが、これはその人の悩みや痛みを軽んじているわけでも、バカにしているわけでもありません。
 
あくまでも、あなたのもつ、深く、複雑で、強烈な「生きづらさ」とは次元の違うものなのだということです。
 
世間の「悩み解決本」は、あなたの生きづらさのような深く、複雑で、強烈な「苦しみ」が存在していることを想定していません。
 
いえ、著者ご本人が経験していないので、想定できないのです。
 
だから、世間の「悩み解決本」に書かれているノウハウでは、あなたの「苦しみ」は消し去ることができなかったのです。
 
解決できるのは「消し去れるていどの苦しみ」まで。
 
同じ「苦しみ」という言葉で語るには、あまりにも次元の違うもの。
 
世間で口にされる「苦しみ」とあなたの「苦しみ」は同じではない。
 
「悩みの階層」がまるで違う。
 
この機会にそのことを、ぜひ知っておいていただければと思います。
 

参照記事
「悩みの階層」について詳しく解説しています。
自分の悩みが伝わらない

 
 

┃苦しみを愛すれば苦しみを克服できるのか?

 
苦しみは自分の一部です。
 
だからこそ「どんな苦しみであっても愛そう」と述べる人もいます。
 
たしかに、それができたら一番いいですよね。
 
だからやってみる価値はあります。
 
じっさいにそれによって、まるで苦しみなんてはじめからなかったかのように、心が癒えることもあるでしょう。
 
ただし、それでも癒えない苦しみがある。
 
それも「事実」です。
 
すべての苦しみを愛することは、並大抵の努力で達成できることではありません。
 
「愛せないほど苦しい苦しみ」がある。
 
そして、生きづらい人が抱えている苦しみは、まさにその「愛せないほど苦しい苦しみ」であることが多いのです。
 
深く、複雑で、強烈。
 
それゆえに他人に理解されない。
 
その苦しみだけでも苦しいのに、それを理解されない苦しみが加わる。
 
そんな、まさに「不幸の元凶」ともいえる苦しみを愛せと言われても・・・。
 
なかなかできるものではありません。
 

参照記事
理解されない苦しみについて詳しく解説しています。
わかりにくい不幸

 
 

┃どうすれば苦しみを「克服」することができるのか?

 
生きづらい人の苦しみは、ストレートに排除することはできない。
 
だからといって、愛することもできない。
 
そもそも、私たちは苦しみを排除すること自体が苦手な生き物。
 
だから排除しようとしても、それでは苦しみを克服するスタートラインにすら立つことができない・・・。
 
では、どうすればいいのでしょうか?
 
いったいどうすれば、苦しみを「克服」することができるのでしょうか?
 
それは「この苦しみを排除することはできない」という「現実」を受け入れること。
 
そのうえで、どう生きていくかを真剣に構想すること。
 
そうです。
 
苦しみの「克服」とは、その苦しみを消し去ってしまうことじゃない。
 
その苦しみを抱えたまま生きる強さを身につけること。
 
それこそが苦しみの「克服」なのです。
 
苦しみを受け入れたうえで生きていく道をみずから選ぶこと。
 
消せないのなら、ともに生きるしかない。
 
ともに生きるなら強くなるしかない。
 
その覚悟を決めた人だけが、苦しみを克服するスタートラインに立てるのです。
 
 

┃私が苦しみを克服した話

 
私は、植物嫌悪症です。
 
植物を直視することもできず、植物柄のソファに座ることすらできません。
 
そして人とかかわることが、心の奥底から苦手です。
 
植物と人間と相性が悪い。
 
植物と人間におおわれたこの地球上で生きるうえで、致命的な感性です。
 
さらに、激しい虐待を受けた後遺症で、心身ともにクタクタになることもしばしば。
 
また、双極性障害と発達障害で日常生活を送ることにも苦労しています。
 
そのうえ、歯は生まれつき四本も足りず、上あごの成長も止まってしまったため、話したり食べたりすることもいちいち大変です。
 
そして、多くのアレルギーをもつ敏感肌で、いつもかゆみや炎症とともに過ごしています。
 
そのどれもが、排除できない苦しみです。
 
だからこそ。
 
その苦しみを受け入れる。
 
そのうえでどう生きるかを本気で構想してきました。
 
そして、苦しみを抱えた人間だからこそ歩める人生を選び、苦しみを「チカラ」に変えてきました。
 
おかげで今では、穏やかで充実した「心地よい人生」を送ることができています。
 
私もずっと苦しみを排除しようとしていました。
 
そして長いあいだずっと苦しみの上塗りをしてきました。
 
しかし、苦しみを「排除」しようとせず、苦しみを「克服」することで人生が変わりはじめた。
 
「心地よい人生」へとたどりつくことができたのです。
 
もしあなたが苦しみを本気で「克服」したいのなら。
 
その苦しみを排除しようとしなくていい。
 
ましてや愛せなくてもいい。
 
だってあなたは、そのような努力はもうすでにさんざんしてきたでしょう。
 
私は知っていますよ、あなたが努力してきたことを。
 
本当によく頑張ってきましたね。
 
本当によく耐え抜いてきましたね・・・。
 
それがいかに「しんどいこと」だったのか。
 
私は知っていますよ。
 
だからもう、その「しんどいこと」を手放してみませんか?
 
これからは、苦しみを抱えたまま生きる強さを身につけていきましょう。
 
苦しみを「克服」し「心地よい人生」へと歩いていくのです。
 
まずはそのためのスタートラインに立ちましょう。
 
あなたならできます。
 
なぜかって?
 
それはあなたが「勇者」だから。
 
生きづらいにもかかわらず、人生を投げ出さずに今日まで生き抜いてきた「勇者」だからです。
 
あなたのような人こそが、苦しみを「克服」するにふさわしい人。
 
真の意味で「苦しみを克服できる人」なのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.人に拒絶されると傷ついてしまう
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.居場所がない
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
 


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