更新日:2021年4月19日

苦しみの活かし方

生きづらい人生の歩き方

第37回
苦しみの活かし方

┃生きづらい人が人生を変えられないジレンマ

「もう限界だ…。」

生きづらさにあえぎ、切実にそう感じている人がいます。

こんな苦しみを抱えたまま、今の生き方をつづけていくことはもうできない。

人生を大きく変える必要がある。

ここから飛び出して、新しい人生をはじめたい、と。

しかし、その人は同時にこうも思うのです。

どこへ行っても、この生きづらさがある限り同じことだ。

なにをしたとしても、結局を同じ苦しみをくり返すだけだろう、と。

つまり、生きづらいからこそ人生を大きく変えたいのに、その生きづらさがあるからこそ、外へ飛び出すことができない。

一歩が踏み出せない。

そんなジレンマにおちいり、毎日孤独に苦悩しているのです。

┃「負の遺産」を「貴重な財産」に変える

生きづらいから人生を変えたい。

にもかかわらず、その生きづらさのために人生を変えられない。

もしあなたが、同じようなジレンマを感じているのなら。

あなたにとって今必要なのは「苦しみの活かし方」を知ることかもしれません。

あなたは今まで、自分の生きづらさと格闘してきました。

そこから生み出される苦しみは、あなたにとって邪魔ものでしかなかった。

できれば捨ててしまいたいと思う「負の遺産」だった。

そして、その「負の遺産」をなくすために努力をしてきた。

性格を変えようとし、過去を忘れようとし、周囲から認められようと必死に努力してきました。

もちろん、あなたほどの苦しみを抱えてきたならば、それは当然の生き方です。

ただ、その生き方にも限界が来てしまった。

そして、どこにも行けない袋小路にはまり込んでしまっているのなら。

あなたが「その苦しみをもっているからこそできること」を、本気で見出す時期が訪れたのかもしれません。

つまり、あなたが「負の遺産」だと思っていたものを「貴重な財産」へと変えるタイミングがきたということ。

それはまさに「苦しみの活かし方」を見出すということです。

苦しみを苦しみのまま抱えずに、苦しみをあなたの人生にとって有益なものに変えていく。

そのタイミングが、「今」なのかもしれません。

┃「あなた固有の苦しみ」に救われ、癒される人がいる

苦しみの「活かし方」を見出す。

これは「キレイゴト」ではありません。

美しい「お道徳」のすすめでもありません。

そんな理想論で語れるほど、ヤワな話ではないのです。

ただ、この話をしっかり理解すれば。

生きづらい人の目の前に「心の底から充実した人生」を手に入れる道がひらかれます。

あなたの苦しみは「あなた固有のもの」であって、あなただけのオリジナルの経験です。

たとえ同じような経験であったとしても、あなたとまったく同じ条件で苦しんだ人はいない。

生まれた場所も違えば、親も違い、顔も違えば、体力も違う。

通った学校も違えば、就いた職業も違い、生きてきた時代も違う。

つまり、あなたの苦しんできた経験は、他の誰も手にすることのできない、世界中であなただけがもつ「貴重な財産」なのです。

その「貴重な財産」を使うことよって、救われる人、癒される人が確実にいます。

あなたが今限界をむかえ、人生を大きく変えたいと切実に感じているのなら。

それは、あなたの心の奥底が、「負の遺産」を「貴重な財産」へと変えることを切実に望んでいるのかもしれない。

あなたに、みずからの「苦しみの活かし方」を、本気で考え抜いて欲しいと訴えかけているのかもしれません。

誰かを救い、癒すために「あなた固有の苦しみ」を活かすことを。

そして、それによって自分自身が活かされることを。

┃心の底から充実で満たされる「役割」が待っている

もちろんそれは、人のためにむやみやたらに自分を犠牲にしろという話とはまったく違います。

「苦しみの活かし方」に向き合うことは、この世界におけるあなたの「役割」について考えるということです。

苦しみ抜いて生きてきたあなただからこそ果たせる、あなたの「役割」です。

それは決して「人生の意味」や「使命」といった壮大なものではありません。

この社会のなかで、あなたという凸がハマる凹を見出すということ。

あなたという凸がピタッとハマる凹が、どこかに必ずある。

あなたの苦しんできた独自の体験が、他の人を救い、癒すことができる。

これだけはゆるがない「事実」です。

その「事実」を確かめたいと、あなたは心のどこかで感じている。

人生の方向転換をして、向かい風を追い風にする生き方を見出したいと、あなたの実存が求めているのです。

苦しみの活かし方を見出し、あなたの役割を果たすことで、あなたの「実存の充実」にヒッタヒタに満たされて生きていくことができます。

参照記事
「実存を充実させる生き方」
実存を充実させるとはどういうことか、その生き方の魅力を詳しく解説していきます。

あなたの目の前に、大きな岩がゴロゴロとたくさん落ちてきて、道をふさいでいるのなら。

岩が落ちてきたことを悔やみ、それをどかすために一生を費やすよりも、

「この岩を使ってなにかできないか？」

と真剣に問うてみる。

それは、無理なポジティブシンキングで「岩が落ちてきて本当によかった！」と、やせ我慢することではない。

また「岩が落ちてきたことを認めちゃおう！」と、うすっぺらい現状肯定をすすめているわけでもありません。

ましてや、無理に岩を破壊したり、穴をあけたり、乗り越えようとすることでもない。

そもそも、そんな小細工が通用するほど、あなたの苦しみは小さなものではない。

だから「岩」をそのまま使う。

「苦しみの活かし方」を、本気で問い求めるのです。

その先に、心の奥底から充実で満たされる、あなただけの「役割」が待っています。