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更新日:2023年3月17日

「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない

 

「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない

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生きづらい人生の歩き方

 

第134回
「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない

 

┃生きづらい人は「メンタルが強い人」に向いていない

 
メンタルが強い人がいます。
 
メンタルモンスターなんて言葉も聴かれるようになりました。
 
どんな苦境にも決して折れない、しなやかな心。
 
批判や攻撃もはねのけて、それをエネルギーにさえして進んでいく前向きな心。
 
とても素敵です。
 
そう自称する人たちの活動を見ていると、社会の先行きが悪くなりそうなときでも「なにかやってくれそうな感じ」がして心強いですよね。
 
「メンタルが強い人」も、それを自覚してか、積極的にアドバイスをくり返します。
 
一方・・・。
 
生きづらい人は、「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない方がいいと私は実感しています。
 
理由はシンプルで「向いていない人が多いから」です。
 
もちろん目指すのは自由です。
 
なかには、無事に「メンタルが強い人」になれる人もいるでしょう。
 
ただ、もしそれで「メンタルが強い人」になれたのだとしたら、それは今までやり方を知らなかっただけか、そのための努力不足だったのでしょう。
 
生きづらい人は、「メンタルが強い人」になるための努力をすでにさんざんしてきました。
 
それでも「メンタルが強い人」になれなかった。
 
それどころか、逆にメンタルがズタズタになってしまった。
 
状況はどんどん悪化し、生きてるだけで精いっぱいになってしまった。
 
だからこそ「生きづらい・・・」とあえいでいるのです。
 
現に今、痛切に生きづらさを感じているということは、ただたんに悩でいるのとはわけが違う。
 
さんざん「メンタルが強い人」になる努力を重ねたけど、よけいに苦しくなるだけだった。
 
つまり「メンタルが強い人」に向いていないということなのです。
 
 

┃「メンタルが強い人」のアドバイスでボロボロになる仕組み

 
先ほども言いましたが、メンタルが強い人は、よくアドバイスをします。
 
しかも、とても堂々と、自信たっぷりにそれを口にします。
 
「不安になっても意味がない!」
 
「失敗を恐れず行動すればいい!」
 
たしかにそのとおりですよね。
 
なので、言われた側も実践しようとしてみますが、これが難しい。
 
とくに生きづらさを抱えた人の多くは、不安や恐怖を強く感じやすいものです。
 
それを無理に跳ねのけようとするわけですから、非常にしんどい。
 
それでも努力をつづけて、ボロボロになり、以前より生きづらさが増してしまう人も少なくありません。
 
もちろんそれは「メンタルが強い人」だけの責任ではありませんよね。
 
無理に努力をしつづけてしまった側にも、責任はあるでしょう。
 
ではなぜ、そこまで無理に努力をつづけてしまったのでしょうか?
 
それは、メンタルが強い人は、身近にいる人だけとはかぎらないからです。
 
「メンタルが強い人」は批判や攻撃にも強いので、メディアでバンバンそのアドバイスを広めている人が多いのです。
 
さらに、そのメンタルの強さで社会的にも成功しているケースが多く、言葉に説得力もある。
 
つまり、「メンタルが強い人」のアドバイスは多方向から来て、イヤでも耳に入りやすく、心に入りやすい。
 
だからこそ、そのアドバイスを真に受けて、ボロボロになっている生きづらい人がたくさんいるのです。
 
 

┃「誰でもメンタルが強い人になれる!」の裏側

 
さらにやっかいなのは、「メンタルが強い人」がよく次のように口にすることです。
 
「誰でもメンタルが強い人になることができる!」
 
科学的な理論をもち出してそう述べる人も多いですよね。
 
でも、それらの理論が、必ずしも現実と一致するとはかぎりません。
 
なぜなら、その理論を導き出した人が、「現場」を経験すらしていない場合も見受けられるからです。
 
じっさいにおられます。
 
脳科学の研究をされ、人の心を論じていても、じっさいに人間を相手にメンタルの相談を受ける「現場」に立ったことのない人。
 
論文を駆使してメンタルを強くする方法を教えていても、一対一でじっくりと相手の悩みを深堀りする「現場」に立ったことのない人。
 
心理療法の理論を立て、大学で指導していても、ご自身では数えるほどしかカウンセリングの「現場」を経験したことがない人。
 
たしかに「誰でもメンタルが強い人になることができる!」というキャッチフレーズは、希望になり励みにはなるでしょう。
 
しかし、その極端な表現の裏側にあるそもそもの理論自体が、「現場」を無視してしまっている場合がある。
 
しっかり心に留めておく必要があります。
 
 

┃半世紀ものあいだ「超基本的なこと」に気づかなった実業家

 
以前、メディアでバンバンアドバイスをされている実業家の方が、こんなことをおっしゃっていました。
 
最近気づいたことがある、と。
 
それは、悩んでいる人ってみんな体に不安を抱えているということ。
 
だから弱気になったり行動できないんだということ。
 
ご自身は、体が強いからわからなかったそうなんです。
 
「なんでやらないんだろう?」って不思議だったのが最近ようやくわかった、と。
 
・・・・。
 
私は唖然としました(笑)
 
この人は、生きづらい人なら誰もが知っているようなそんな「単純な仕組み」に気づいていなかった。
 
それすらも知らずに、アドバイスをくり返していたのかと。
 
その方、もう50歳くらいなんです。
 
半世紀です。
 
半世紀ものあいだ、そんな超基本的なことにすら思いを馳せることなく、「なんでやらないんだ!」と周囲の人のお尻を叩いていた。
 
しかもそれを、なんの悪びれもせず、恥ずかしがることもなく、ごくふつうに話せてしまう。
 
「メンタルが強い人」ならではだなぁ・・・、としみじみ思いました。
 
 

┃「怖い」「不安」の次元が違う

 
「メンタルが強い人」たちは言います。
 
「俺だって怖いよ」
 
「私だって不安になるよ」
 
「それを乗り越えてやるんだよ」
 
たしかにそうですよね。
 
「メンタルが強い人」だって、当然、不安や恐怖を感じるでしょう。
 
ただ、ここでまた、生きづらい我々は気をつけたいことがあります。
 
それは「メンタルが強い人」が口にする「怖い」や「不安」は、一般的な「怖い」や「不安」とは、質も量も違う可能性が高いということです。
 
ましてや扁桃体が敏感な生きづらい人とは、まさに「次元が違う」であろうということです。
 

参照記事
生きづらい原因は脳の扁桃体?
脳の扁桃体と生きづらさの関係について詳しく解説しています。

 
Aというできごとを、どのように怖いと感じるか、どれくらい不安に感じるかという質と量は、人それぞれです。
 
その幅は驚くほど広いのです。
 
しかも、それを乗り越えるための気概だって、人それぞれです。
 
その質も量も、幅が驚くほど広い。
 
にもかかわらず「メンタルが強い人」は、
 
「俺だって怖いけど乗り越えた」
 
「俺だって不安だったけどやった」
 
と、一言で、すべての幅の恐怖や不安や気概をまとめてしまうのです。
 
生きづらい人は、これを真に受けない方がいいでしょう。
 
同じ「怖い」という言葉でも、あなたの感じている強大な「怖い」とは、まったく別次元の量かもしれない。
 
あなたの抱えている重厚な「不安」とは、質的にまったく別物かもしれない。
 
そもそも気概で乗り越えられるかどうかすら、わからないのです。
 
だからこそ、生きづらい人は、できるだけ自分に近い心の「質」と「量」の人たちと過ごした方がいい。
 
無理にメンタルを強くするのではなく、自分の心に合った場所で生きていった方がいい。
 
そのために私は「Adic Salon」を創ったのです。
 
Adic Salonは、まさに、自分の心の「質」と「量」を自覚し、それを活かして生きるための場所。
 
生きづらい人のコロニーです。
 
「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けて苦しむよりも、自分の生きづらさを活かすために実になる努力を重ねる。
 
その方が、実存が充実した濃密で真に豊かな「心地よい人生」を送れるのではないでしょうか。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの? 
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです 
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
154.自己憐憫のススメ
 


おかげ様でコラム数500本突破!

読むと心が強くなるコラム

「読むだけで生きる勇気が湧いてくる」と大好評をいただいている、しのぶかつのり(信夫克紀)の連載コラムです。
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