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更新日:2022年4月20日

生きづらい人にもっとも大切な支援

 

生きづらい人にもっとも大切な支援

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生きづらい人生の歩き方

 

第120回
生きづらい人にもっとも大切な支援

 
生きづらい人に、もっとも大切な支援とはなんでしょうか?
 
このコラムでは、生きづらさ専門カウンセラーである私が、自身が生きづらさに苦しんだ体験、そしてカウンセラーとして数えきれないほどの生きづらい人たちとの密接な関係のなかで確信した答えについてご紹介したいと思います。
 

目次

生きづらい人への支援が難しい理由
諸富祥彦先生のカウンセリングで救われた体験
生死のギアが「生きる」に入った瞬間
生きづらい人にもっとも大切な支援とは?

 


┃生きづらい人への支援が難しい理由

 
考えこむ女性

 
生きづらい人は、支援を受けにくい状況にあります。
 
なぜなら、多くの生きづらさは、とても「見えにくい」からです。
 
生きづらさと一言にいっても、その中身は、苦悩が複雑に絡み合っています。
 
また、世間の人が話を聴いてみても「なぜそれで悩むのか?」と理解することができないものも多いのです。
 
そのため、支援をしようと話を聴いても、もうその段階で会話が食い違ってしまう。
 
それも違う、あれも違うと、理解を進めることができない。
 
そのうち支援する側の人も、
 
「ただ甘えているだけなんじゃないのか?」
 
という気もちにどうしてもなってきてしまう。
 
双方が歩み寄ることすらできないケースが多いのです。
 
参照記事
わかりにくい不幸
悩みの階層
見えにくい生きづらさについて詳しく解説しています。

 
また、支援を妨げる要因の一つに「直そうとする」という問題もあります。
 
生きづらさのなかには、当然、社会や多数派の側に問題があるケースも、とてもたくさんあります。
 
生きづらい当人だけに問題があるわけではありません。
 
生きづらさは、当人と社会との複雑なかかわりのなかで発生するもの、それは「内側と外側のグルグル運動」なのです。
 

参照記事
生きづらさとはいったいなにか?
内側と外側のグルグル運動について詳しく解説しています。

 
にもかかわらず、支援する人は生きづらい人を一方的に「直そう」としてしまう。
 
世間の常識を基準にして、生きづらい人の方をそこに一方的に合わせるように強制してしまう。
 
支援という名において「多数派の感性」に合わせるよう、無自覚のうちに強要してしまうのです。
 
誰だって、嫌いなものを無理やり「好きになれ」と言われてできるものではありません。
 
ましてや、痛いと感じているものを「嘘だ」「甘え」だと言われて、さらに押しつけられたら、それはもはや暴力です。
 
生きづらい人への支援には、このような「壁」が何重にも立ちはだかっています。
 
どうしても、ひとすじ縄ではいかないのです。
 
では、どうすれば生きづらい人を支援することができるのでしょうか。
 
そもそも生きづらい人にとって、もっとも大切な支援とはなんなのでしょうか?
 


┃諸富祥彦先生のカウンセリングで救われた体験

 
 
空と雲

 
ここで、私自身が救われた体験を紹介したいと思います。
 
それは明治大学教授で、私のもっとも尊敬する心理療法家である、諸富祥彦先生のカウンセリングを受けたときでした。
 
当時の私は、生きづらさのあまり、ほぼ寝たきりの状態におちいっていました。
 
あまりの苦しさに、どうしても生きていたいと思えない。
 
死にたい。
 
じっさいに自死も二度試みました。
 
しかし、死に切ることができなかった。
 
死にたい、でも死ねない。
 
そのはざまで、もがき苦しんでいました。
 
「生死のギア」を、どうしても生きる方に入れることができませんでした。
 
どんなに頑張っても「生死のギア」は凍りついたかのように動かず、私は日々苦しみに押しつぶされていたのです。
 
そこで命からがら、諸富祥彦先生にカウンセリングを依頼しました。
 
私は、はじめてお会いした諸富先生に、自分が感じたある瞬間のことを話しました。
 
「公園のベンチに座って、空を眺めていると・・・、ああ、こんなに空はどこまでも広く、どこまでだって行けるのに、なぜ僕の心はこんなに不自由なんだろう。どうして勝手に心を縛りつけて苦しんでいるのだろう。そう考えて涙がじわぁって浮かんでくるんです。死にたい・・・って・・・」
 
そのときです。
 
諸富先生は目を閉じて、
 
「あぁ~~~・・・」
 
と深いため息のような声を出しながら、ゆっくりとなんどもうなずかれました。
 
その瞬間、私はスゥゥゥゥゥゥーッと心が楽になったのです。
 
なぜならそれが、
 
「ああ、あの感覚のことですね・・・」
 
とご自身の体験と私の体験を重ね合わせていると感じたからです。
 
通常ならば、生きづらい人は、他人に相談すれば前向きなアドバイスをもらい、よけいにつらくなってしまいます。
 
だからといってプロのカウンセラーに相談しても、たいていは、
 
「それはつらかったでしょう」
 
「繊細な方なのですね」
 
「死にたくなってしまったのですね」
 
といった感情への共感や伝え返しといった、セオリーどおりの技術ともいえる返答を受けることが多いでしょう。
 
もちろん、それも大切ではあります。
 
ただしほとんどの場合それは、どこか外側から共感しているとも感じられるものになってはいないでしょうか。
 
しかし、諸富先生のそのときのうなずきは違いました。
 
それは、ご自身のじっさいの体験をとおして、自然と内側から「にじみ出てくる」ような深いふかい共感でした。
 
私はその瞬間、
 
「生まれてはじめて日本語が通じた」
 
とすら思ったのです。
 
それは私にとって大きく救われる体験でした。
 

┃生死のギアが「生きる」に入った瞬間

 
そのあと諸富先生は、じっくりと話を聴いてくださいました。
 
そして、カウンセリングの最後。
 
諸富先生の口から語られたたった一言によって、私は決定的な救いを得ることになります。
 
諸富先生は、静かに、そして丁寧に噛みしめるように、こうおっしゃったのです。
 
「しのぶさんは・・・、生命力が強いのかもしれませんね・・・。」
 
魂の奥底からこぼれ落ちてくるような、濃密で重厚な言葉でした。
 
生命力が強い人は、考え抜いて悩みに絡めとられていってしまうことがある。
 
もしかすると、しのぶさんはそういう人かもしれない・・・。
 
それを聴いた私は、まだそのときは、正直に言うと、
 
「うーん・・・、そんなものかなぁ・・・」
 
と思っただけでした。
 
しかし、二、三日ほど経ったあるとき。
 
ふとその言葉が思い出されました。
 
そして大きなアウェアネスが訪れたのです。
 
「そうか、俺は生命力が強いから死ねないのか。こんなにも死にたいのに死ねないんだ。死ねないなら生きるしかないんだ・・・」
 
その瞬間「生死のギア」が、「生きる」という方にガチャリと入ったのです。
 
なぜなら、その瞬間まで私は死ねない自分を恥じていたからです。
 
苦しい苦しいと言っているけど、死ねないということは、まだまだ苦しみが足りないんだ。
 
ただ甘えているだけなんだ。
 
努力が足りないだけなんだ。
 
だらしないだけなんだ。
 
他の人はもっと苦しい思いをしているのに、俺が情けないから悲鳴をあげているだけなんだ。
 
そんなふうに自分を恥じていたのです。
 
しかし、そこに諸富先生の言葉が、ふと深い共感とともに入り込んできました。
 
死ねないのは、生命力があるからだ、と。
 
逆に言えば、どんなに苦しくても「生きてしまう」のだと。
 
苦しみが足りないからではなく、死ぬほど苦しくても「生きてしまうの」のだと。
 
であれば、生きるしか道は残されていない。
 
生きるしかない。
 
そう「観念」したのです。
 
そうして私の「生死のギア」は、「生きる」方へとガチャリと倒れ込んでいきました。
 
「死にたい、でも死ねない」という地獄の苦しみから救われたのです。
 
そのアウェアネスが起きたのは、諸富先生のうなずきや言葉が、諸富先生の深い苦悩の底から「にじみ出てきたもの」だと感じられたからです。
 
つまり、諸富先生ご自身がとことんまで追い詰められ、長いあいだ深く苦悩に苦悩をし尽くしてきた人であったからにほかなりません。
 
そこにこそ、生きづらい人にとってもっとも必要なものがある。
 
私が、そう確信した瞬間でもありました。
 
その後、私は生きづらさ専門カウンセラーとなり、よりいっそうその確信を深めていきました。
 
生きづらい人にもっとも大切な支援とはなんなのかという、その答えへの確信を。
 


┃生きづらい人にもっとも大切な支援とは?

 
胸に手を当てる女性

 
では、生きづらい人にもっとも大切な支援とはいったいなんなのでしょうか?
 
それは、
 
「むき出しの共感」
 
です。
 
ただ痛みに共感するだけではない。
 
ましてや、カウンセリングのセオリーや技術でもない。
 
本気で苦悩してきた人の内側から、こらえきれず思わずこぼれてしまった言葉、表情、息遣い、涙・・・。
 
ときには、たった一言のうなずき、それだけで、生きづらい人を心から癒すことができるんです。
 
そうなんです。
 
私たちの苦悩のなかには、人を癒す力が含まれているんです。
 
非常に大切なことなので、もう一度言います。
 
私たちの苦悩のなかには、人を癒す力が含まれているんです。
 
もしあなたが生きづらさを抱えているのなら。
 
にもかかわらず、生きづらい人を支援したいと思っているのなら。
 
自分の苦悩を言葉にしてみてください。
 
ただ感情を吐き出すだけじゃない。
 
ただ社会や親を批判するだけじゃない。
 
自分の味わってきた苦悩を、冷静に、わかりやすく、かつ「生々しく」言葉にしていってください。
 
その言葉のなかにこそ「むき出しの共感」が宿るのです。
 
そして慎重に、自分のメディアで発信していってください。
 
あなたの「むき出しの共感」に癒される人がいる。
 
その人はあなたを待っています。
 
あなたが、あなたの苦悩を言葉にすることを。
 
そう、あなたの「むき出しの共感」を待っているのです。
 
それは、苦悩した人にしかできない支援。
 
生きづらいあなただからこそ、できることなんです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 
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諸富祥彦「生きづらい時代の幸福論 9人の偉大な心理学者の教え」
 
 
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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.人に拒絶されると傷ついてしまう
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.居場所がない
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
 


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