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上司や部下に言うことを聞いてもらえない

 

上司や部下に言うことを聞いてもらえない

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生きづらい人生の歩き方

 

第84回
上司や部下に言うことを聞いてもらえない

 

相手になにを言っても響かない

 
会社勤めをしていると、当然、上司や部下ができます。
 
そしてコミュニケーションを取らなければなりません。
 
上司に意見をするときもあれば、部下にお説教をするときもあるでしょう。
 
ただ、そのいずれにおいても「自分の言うことを聞いてもらえない」という人がいます。
 
上司に意見をすると「理屈はいいから早くやれよ」と言われてしまう。
 
部下に説教しても「はい、はい」と面倒くさそうに返事をされるだけ。
 
なにを言ってもぜんぜん相手に響かないのです。
 
そこで「伝える技術」「部下のやる気を出す方法」といった本を読んでみる。
 
そしてそのとおりやってみる。
 
論理的に説明したり、褒めたり、笑顔を練習したり。
 
それでもやっぱり、自分の言うことを聞いてもらえないのです。
 
 

┃上司や部下が言うことを聞いてくれない理由

 
なぜ、自分の言うことを上司や部下は聞いてくれないのでしょうか?
 
もちろん、そこにはさまざまな理由が考えられます。
 
ただ、ひとつだけ言えることがあります。
 
それは、コミュニケーションには「なにを」と「誰が」の組み合わせが重要だということです。
 
「伝える技術」「部下のやる気を出す方法」といった本には、「なにを」言うかはたくさん書いてあります。
 
でも、それを「誰が」言えば効果があるのかが、まったく想定されていないのです。


「上司のタイプ別コミュニケーション法」や「部下のタイプ別やる気を出す褒め方」といった項目はよく見かけます。
 
しかし「誰が」それを言うのかには、まったく触れられていない。
 
まるで誰がいっても同じ結果になるように書かれているのです。
 
じっさいの社会では、そんなことはありません。
 
「なにを」よりも「誰が」がとても重視されます。
 
極端ですが、わかりやすい例を出しましょう。
 
「天使のような女子中学生」が使ったストローは高額で売買されますが、「50歳に近いのオッサン」である私が使ったストローは完全な汚物として扱われます。
 
そのストローに付着している成分に違いはありません。
 
なんならアラフィフのオッサンの方が、カウンセラーという対面の仕事をしている分、1時間ごとにマウスケアをするのでキレイかもしません。
 
しかし、オッサンの使ったストローは「完全な汚物」としてしか扱われないのです。
 
これはまさに、「なにを」よりも「誰が」が重要だということです。
 
 

┃キャラクターに合った発言をする

 
コミュニケーションの世界でも、同じことが起きています。
 
「お前バカだなぁ~」と言って許される人もいれば、「あなたって本当に素敵!」と言って嫌われる人もいます。
 
その人のもっている雰囲気や、顔の表情、声の質、年齢、立場・・・。
 
さまざまな要素が相まって、その人のキャラクターをつくりあげています。
 
そして、そのキャラクターに合った発言でなければ、相手はなかなか言うことを聞いてくれないのです。
 
上司や部下が言うことを聞いてくれないのも、その「誰が」に合った発言でないからという可能性があります。
 
控えめでおとなしいキャラクターなのに、堂々と威厳をもって意見しても、なかなか言うことを聞いてもらえないでしょう。
 
また、一人で黙々と作業するキャラクターなのに、「俺についてこい」タイプの説教をしても、なかなか言うことを聞いてもらえないでしょう。
 
さらに、たとえこの「キャラクター」に合った発言をしても、上司や部下が言うことを聞いてくれないことがあります。
 
いったいなぜなのでしょうか?
 
 

┃相手が自分の言うことを聞く本当の条件

 
それは、私たち人間は相手の「経験を重要視している」ということです。
 
しかもその経験が、上司や部下に意見や説教をしたとしても
 
「納得せざるをえない経験」
 
であるかどうか。
 
それがとても重要なのです。
 
経験もしたことない人の意見や説教には、なかなか耳を貸せないですよね。
 
パプアニューギニアに行ったことがない人に、
 
「パプアニューギニアはいいぞぉ、ぜひ行って来いよ!」
 
と言われても、まったく行く気にはならないでしょう。
 
裕福な家庭で、優しい親に育てられ、体も丈夫で、毎日、明るく楽しく元気に生きている人に、
 
「悩んだって仕方ないよ!」
 
と言われても、あまり聞く気にはなれないでしょう。
 
つまり、経験が重要なのです。
 
さらにその経験が、相手が「納得せざるをえない経験」でなければ、なかなか耳を貸してもらえないでしょう。
 
ビクトール・フランクルという精神科医がいました。
 
彼は「人生にはどんなときも意味がある」と言いつづけたことで有名です。
 
ユダヤ人であるフランクルは、第二次世界大戦時に、ナチスの強制収容所に入れられてしまいます。
 
そこで四年間にもわたる凄惨な日々を過ごします。
 
そして、なんとか生き抜いて解放されます。
 
しかし、そこに待っていたものは、他の場所に収容されていた家族の死の知らせでした。
 
その彼に「人生に意味はある」と言われたら。
 
誰もが耳を傾けざるをえないのではないでしょうか。
 
もちろん、フランクルは経験だけではなく、自身の素晴らしい理論と体系という裏付けがあることも見落としてはなりません。
 
でも、いくら理論が素晴らしかったとしても、いっさい苦しんだこともない人に
 
「人生は意味がある」
 
と言われても、その言葉はまさしく「虚しく響く」だけでしょう。
 
納得せざるをえない経験にもとづく言葉だから、彼の言うことを聞く人がたくさんいるのです。
 
上司と部下がどうしても言うことを聞かないのであれば、それを理論やテクニックで聞かそうとしても難しいかもしれません。
 
それよりも、自分の経験が「価値あるもの」として扱われる場所を見つけた方がいい。
 
つまり、自分の話を聞いてくれる人がいるところにいった方がいい。
 
私はそう思います。
 
「なにを」にとらわれず、「誰が」という軸で人生をとらえる。
 
会社勤めという狭い世界の中で、せっかくの自分の経験を押し殺して生きるより、その方が「自由な人生」とは言えないでしょうか。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり(信夫克紀)
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
 


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