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更新日:2023年1月14日

生きづらい人の「意識」の上手な活かし方

 

生きづらい人の「意識」の上手な活かし方

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生きづらい人生の歩き方

 

第131回
生きづらい人の「意識」の上手な活かし方

 

┃「意識」を切るスイッチが欲しい

 
意識。
 
私たちが今まさに自分の状況を把握しているこの感覚。
 
この「意識」というものを上手に活かせるようになると、生きづらさからの脱出に大いに役立ちます。
 
なぜなら、生きづらい人は意識とのつき合い方があまりうまくいっていない場合が多いからです。
 
意識があるから苦しい。
 
意識さえなければ楽になれるのにと思う方も少なくありません。
 
私もまさにそうでした。
 
苦しいとき、しんどいとき、そのあまりのつらさに「意識を切るスイッチ」がないものかと本気で探すこともありました。
 
この話に共感してくれる人、生きづらい人には多いんです。
 
あなたはどうでしょうか?
 
 

┃意識はなにをしてるのか?

 
そんな、生きづらい人にとってやっかいとも言える意識というもの。
 
意識ってそもそも、なんのためにあるのでしょうか?
 
よく言われるのが、意識があるからいろいろなことを感じられる。
 
その結果、いろいろなことを判断し行動できるというものです。
 
では、意識がないとされている赤ちゃんや眠っている人は、なにも感じていないのでしょうか。
 
また、酔っぱらって意識がなくなっても、翌日目が覚めると家でちゃんとパジャマを着てベッドで寝ているのは、なぜなのでしょうか。
 
同じように昆虫も、意識がないとされているのに、あんなに逃げたり嫌がったり、巣を作ったり子孫を残すこともできます。
 
いまいち、意識がなにをしているハッキリとしません。
 
だから、その活用法もハッキリしない。
 
ましてや生きづらい人にとって、苦しいものでしかないと感じられるのも仕方がないことでしょう。
 
 

┃意識がないのに「いいです」と答えたのは誰だ?

 
私は、数年前に大腸の内視鏡検査を受けました。
 
検査台にあがり、痛みのないよう鎮静剤で眠りました。
 
そして、目が覚めると休憩室の椅子に座っていました。
 
私は、絶叫しそうになりました。
 
なぜなら、私の座っている椅子が植物で囲まれていたからです。
 
私は極度の植物嫌悪症です。
 
近くにいた看護師さんになんとか冷静に声をかけ、なぜ私はここに座っているのかと尋ねました。
 
すると、
 
「自分で歩けますかって聞いたら、はいっておっしゃったのでこちらに案内しましたよ。この椅子でいいですかって聞いたら、いいですって。」
 
とのこと。
 
私は、そんなバカなと思いました(笑)
 
こんな気の狂いそうな場所で「いいです」と私が言う訳がないと思ったからです(笑)
 
私はそそくさとその休憩室から立ち去りながら、自分と意識の関係についてじっくり考えはじめました。
 
私は、検査直後、自分で歩けると判断し、歩きもしました。
 
この時に意識はないので、意識は機能を果たしていません。
 
次に、植物だらけの椅子に座りました。
 
ここでも意識がないので、意識は機能を果たしていません。
 
もし意識があったら、私はここに座らなかったでしょう。
 
ということは、意識に判断する機能がありそうです。
 
しかしそうなると、意識がないのに「歩けます」と判断したことと矛盾してしまいます。
 
やっぱり意識がなにをしてるのか、どうもハッキリしません。
 
では、どう考えればいいのでしょうか?
 
 

┃意識は副産物にすぎない?

 
私は、そもそも意識に重要な機能はないと考えることにしています。
 
詳しいことは著書に書かせていただきましたが、ただただ受動的にこの世界を受け取り映し出しているだけだという考え方です。 



 
私は常に「それが生きづらさからの脱出に役立つかどうか?」という視点で、ものごとをみています。
 
その視点から見ると、意識に有効な機能がないほうが生きづらさから脱け出すのに役に立つのです。(のちほど詳しく解説します)
 
一方、世間では、先ほどの例のように、意識に機能があることを前提に話が進められることが多いでしょう。
 
進化する過程で、必要な機能だから残ったのだと。
 
つまり意識は、人間が生き残り子孫を残すために「価値」がある機能だというわけです。
 
では、私たちのもっているすべての性質がそうなのでしょうか?
 
そんなことはないですよね。
 
今盛んに使っている機能でも、副産物として「ついで」にできたような機能もある。
 
たとえば「声」は、今の私たちにとって重要な機能です。
 
しかし、そもそも声を出すための器官はなく、気道に食べ物が入らないようにするための「フタ」を使って発声しているそうなのです。
 
これを「前適応」と言います。
 


  参考文献
岡ノ谷一夫つながりの進化生物学

 
岡ノ谷さんは、意識も「前適応」として考えてみようと提案します。
 
つまり、意識はなにかの「ついで」にできたのかもしれないということですね。
 
そして生きづらさから脱け出すうえでも、この考え方のほうが都合がいいのです。
 
 

┃意識との上手な「つき合い方」!

 
意識は、ついでにできた副産物。
 
世界から信号を受け取って映し出してるだけ。
 
このくらいで考えておいた方が、生きづらい人にはちょうどいい。
 
なぜなら、意識を冷静に眺められるようになるから。
 
苦しいできごとや苦しい感情とも、距離を取りやすくなるのです。
 
もし意識自身がいろいろなことを感じ、判断していると考えるなら。
 
苦しい感情やできごとをコントロールするために、まさに「意識的」に、ひたすら苦しい努力をつづけることになります。
 
でも、意識がこの世界を映し出している受け皿に過ぎないとしたら。
 
意識にはなにもできませんから、それをただ見ているしかありません。
 
私は、意識を映画のように眺める視聴者になることができます。
 
つまり、メタ視点に立ち、この世界と距離をとりやすくなるということです。
 
(その映画のなかに「視聴者」も入ってしまっているのが、この世界のややこしいところですが・・・)
 
メタ視点に立って思考することは、生きづらさから脱け出すうえで欠かせません。
 
それは、今までくり返し述べてきたとおりです。
 


  参照記事
生きづらい人が自由になれるメタ思考とは?
メタ視点で思考することの重要性について詳しく解説しています。

 
たとえば、恐怖心が湧いてきたら、私は意識から一歩下がってその恐怖心を眺める。
 
世界映し出す「意識」と、それを見てるだけの「私」というふうに距離を取る。
 
そこで、
 
「こんなことしても、やっぱり苦しい!」
 
という思いが湧いてきたら、そこでまた意識から一歩下がってその思いを眺める。
 
距離を取る。
 
そうすることで感情に飲み込まれずに、冷静に対応しやすくなります。
 
もちろん、意識をたんなる受け皿と考えさえすれば誰でもそれがかんたんにできる、と言いたいわけではありません。
 
ただ、メタ視点に立ちやすくなるということ。
 
メタ視点を手に入れるための、ひとつの工夫として意識のとらえ方を変えていくということです。
 
生きづらさから脱け出すためには、意識だろうがなんだろうが、上手に活用していく。
 
このコラムが、意識とあなたとの「つきあい方」を見なおすきっかけになれば幸いです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり
 

今回ご紹介した書籍

しのぶかつのり:著
生きづらさから脱け出す実践法 - 意識と世界を味方につける7つのステップ
生き方全体を整えて、意識と上手につき合う具体的な方法に取り組める本です。

 
岡ノ谷一夫:著
「つながり」の進化生物学
生き方全体を整えて、意識と上手につき合う具体的な方法に取り組める本です。

  

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの? 
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです 
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
154.自己憐憫のススメ
 


おかげ様でコラム数500本突破!

読むと心が強くなるコラム

「読むだけで生きる勇気が湧いてくる」と大好評をいただいている、しのぶかつのり(信夫克紀)の連載コラムです。
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