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更新日:2023年2月13日

もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力

 

もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力

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生きづらい人生の歩き方

 

第132回
もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力

 

┃生きづらい人には「自分の本質と向き合う時期」が必要

 
生きづらい人は、自分の「本質」に気づくことが大切です。
 
なぜなら、「自分の本質」と「社会から求められること」とのズレが、生きづらさの多くを生み出しているからです。
 
そのズレを少しでも解消するために、どうしても必要なのが「自分の本質と向き合う時期」。
 
私はこれを「本質期」と呼んでいます。
 
そのままですね(^^)
 
しかし、生きづらい人は、この「本質期」にとどまることが、なかなかできません。
 
つまり、「自分の本質」をなかなか受け容れることができないのです。
 
そのため、無理やり自分を社会に合わせようとしつづける。
 
社会の求める自分になろうと頑張りつづける。
 
その結果、「自分の本質」と「社会から求められること」とのズレに悪戦苦闘する「戦闘期」から脱け出すことができません。
 
生きづらい人は、この「戦闘機」と「本質期」の行ったり来たりをくり返し、苦しみつづけている方が本当に多いのです。
 

参照記事
生きづらさの克服には三つの時期を通過する必要がある
本質期や戦闘期について詳しく解説しています。

 
 

┃「もんもん耐性」が自分の本質に気づかせてくれる

 
生きづらい人は「本質期」にとどまれないため、なかなか「戦闘期」から脱け出せません。
 
そこで必要になるのが「もんもん耐性」です。
 
「もんもん耐性」とは、もんもんとした状態に耐える力です(そのままですね ^^)。
 
つまり、答えが出ないままその問題を抱えつづける力のことです。
 
「自分の本質とはなにか?」という問いに、向き合いつづける力とも言えるでしょう。
 
生きづらい人は、この「もんもん耐性」が弱まっている人がほとんどです。
 
なぜなら、すでに限界まで苦しんできたために、一秒でも早く「答え」が欲しいからです。
 
一方、「自分の本質とはなにか?」という問いは、そうかんたんに答えがでません。
 
その問題に向き合い、それを受け容れるということは、長いあいだもんもんとせざるをえません。
 
そのため、生きづらい人は耐え切れずに「戦闘期」に舞い戻ってしまうのです。
 
それを防ぎ、「本質期」にとどまるために必要なのが「もんもん耐性」なのです。
 
「自分の本質」に気づき、生きづらさから脱け出すうえで、「もんもん耐性」は欠かせないものだと言えるでしょう。
 
 

┃「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉を使わない理由

 
この「もんもん耐性」。
 
私の造語ではありますが、もちろん同じようなことは昔から言われていましたよね。
 
とくに「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉が有名です。
 
問題に対して消極的(ネガティブ)でいられる才能(ケイパビリティ)。
 
つまり、「わからない状態」にとどまっていられる力のことです。
 
これは、すでに19世紀の詩人ジョン・キーツにより語られている概念です。
 
その後、ビオンという精神科医が世に広めるきっかけをつくりました。
 

参考文献
wikipedia「 ネガティブ・ケイパビリティ

 
にもかかわらず・・・。
 
なぜ、わざわざ「もんもん耐性」なる言葉を使うのか?
 
一つは、生きづらさ特有の、まさに「もんもん」とした行き場のない苦悩と、やがてそれが「晴れる」状態をイメージしやすくするためです。
 
「本質期」にとどまることは、濃い霧のなかにいるような状態です。
 
しかし、霧の先にはときおり光が見えて、耐え抜けばやがてその霧が晴れることを予感させてくれる・・・。
 
そんな「本質期」のイメージを正確に伝えるためには、「もんもん」という言葉と「耐える」という言葉がどうしても必要なのです。
 
もう一つは「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉だと、カッコよすぎるからです(笑)
 
つまり、よく理解もせずにこの言葉を使い、「本質期」にとどまることの大切さを「わかったつもり」になるのを避けるためです。
 
いったい、どういうことでしょうか?
 
私たち日本人は「かっこいい横文字」を使いたがる傾向がありますよね。
 
たとえば、私も以前どっぷりつかっていた広告業界にいる人たちは、
 
「シームレスなスキームが重要なファクターなので、トッププライオリティでサマリーをブラッシュアップしましょう!」
 
というようなことを、真顔で言います。
 
そして、それを本気でカッコいいと思っている人が、今でもとてもたくさんいるのです。
 
さらには、それすらも考えずに、ただ周りに合わせて使っているだけの人が、よりたくさんいるのです。
 
つまり、「かっこいい横文字」を「わかったつもり」になって使ってしまう傾向を私たちはもっているのではないでしょうか。
 
それを避けるために、あえて「もんもん耐性」という野暮ったい言葉にして、あなたにお伝えしています。
 
とくにビジネスの現場では、「かっこいい横文字」や「かっこいい概念」は、すぐに「わかったつもり」になって広まってしまいます。
 
じっさい、「マインドフルネス」や「マズローの5段階欲求」など、本来とはだいぶ違う意味で使われている言葉が多く見受けられます。
 
もんもんとしたまま「本質期」にとどまることは、本当に重要なことです。
 
それを「わかったつもり」になって「戦闘期」に舞い戻らないために、「かっこいい横文字」を避けたい。
 
それが「もんもん耐性」という言葉を使う、二つ目の理由です。
 
 

┃今の日本は「もんもん耐性」を育てにくい社会

 
「わかったつもり」が、戦闘期に生きづらい人を引きずり戻します。
 
にもかかわらず・・・。
 
今の日本社会で「もんもん耐性」を育むのはかんたんではありません。
 
なぜなら今は、「結論だけ求める人たち」であふれかえっているからです。
 
これは、生きづらい人にかぎりません。
 
誰もが、答えを長々とは待てない。
 
その期待に応えるべく「結論だけ提供するメディア」が流行しています。
 
私はこの状況を「結論だけ欲しがる社会」と表現しました。
 

参照記事結論だけ欲しがる社会に踊らされるな
結論を求めることが加速している現状とそのなかで生きづらい人がどう生きるかについて詳しく解説しています。

 
当然「結論だけ欲しがる社会」は、「もんもん耐性」を育てにくいですよね。
 
それはつまり、「本質期」にとどまりにくい社会だということです。
 
もんもんと悩みを抱えることに耐えかねたとき。
 
手を伸ばせば、無数の「答え」が、しかも短時間でたくさん手に入る。
 
このなかで「もんもん耐性」を育てていくことは、かんたんではありません。
 
哲学者の谷川嘉浩さんは言います。
 

<引用>
ネガティブ・ケイパビリティは、加速する社会が失いがちな能力、個人がなんとか自分の業務や生活を回していくうえで後回しされがちな能力だということを確認しておきたいと思います。

引用元:谷川嘉浩ほか「ネガティブ・ケイパビリティで生きる」さくら舎
 
社会全体が、もんもんと問題を抱えることを「後まわし」にするなかで、自分はそれを優先して実践しなければならない。
 
生きづらい人には、今、この難しい状況のなかにいることを自覚する必要があります。
 
誰もがもんもんとできない。
 
だから、もんもんとすることに耐え切れない自分を「責めない」態度を身につけましょう。
 
そのうえで、どう「もんもん耐性」を発揮していけばいいのか?
 
そのようにメタレベルを広げて、「本質期」を冷静にしのいでいくことが大切です。
 
 

┃生きづらい人の「もんもん耐性」の育て方

 
いよいよ結論です。
 
ここまで飛ばさずに読んでこられたあなた。
 
あなたは、素晴らしい「もんもん耐性」のもち主です。
 
もし、途中を飛ばしてきてしまっても大丈夫。
 
今からでも遅くありません。
 
「もんもん耐性」を育てるために、ぜひ戻って最初から読み直してみてください。
 
さて、そのうえで・・・。
 
生きづらい人の「もんもん耐性」の育て方を二つご紹介します。
 
一つは、「楽になった瞬間をじっくり味わうこと」です。
 
もんもんと自分と向き合う「本質期」のなかで、ふと楽になる瞬間というものがあります。
 
過去の苦しかった経験や、自分の感情と向き合っているうちに、
 
「本当はあんなこと、やりたくなかったんだなぁ・・・」
 
「私は、じつはあの人が嫌いだったんだなぁ・・・」
 
と、しみじみ気がつく瞬間があると思います。
 
それは、小さな小さな気づきにすぎないかもしれません
 
でも、そのとき、今までどれほど自分が無理をしてきたかに気づき、心がスゥ~っと楽になるはずです。
 
そんな「楽になった瞬間」を、じっくりゆっくり味わうのです。
 
そのとき心に広がった安堵感や解放感を、ていねいに噛みしめるのです。
 
それが、いつか苦悩の霧が「晴れる」予感となり、もんもんとする日々を耐える力を与えてくれます。
 
そして、「自分の本質」へと近づく手がかりになるのです。
 
もう一つは、「結論を外側に求めない」ことです。
 
自分以外の誰かに答えを求めることは、「もんもん耐性」とは真逆のはたらきです。
 
ましてや「自分の本質」について、他人に聴いてわかるはずがありません。
 
ですから、外側に求めるのは「手がかり」だけ。
 
つまり、本を読んだり動画を見たり相談するのは「答え」を得るためではないということです。
 
そして、「答え」は内側に求める。
 
さらに、「答え」だと思われるものが見出されても、それで終わらせない。
 
その「答え」を生活のなかでたしかめつづける。
 
答え合わせしつづけるということ。
 
このような「結論ではなくプロセスを生きる態度」こそが、私たちの「もんもん耐性」を育ててくれるのです。
 
それは、
 
「理解しようとする側にとどまりつづける」
 
と言えるかもしれません。
 
「理解できない」と投げ出さない。
 
「理解した」とおごらない。
 
「答え」が得られたと思っても、「本当にそれが答えだろうか?」という問いを残しつづける。
 
そうして「理解しよう」とする態度に「とどまりつづける」ということ。
 
この態度こそが、あなたの「もんもん耐性」を育み、「自分の本質」と向き合う力を与えてくれるのです。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり
 

今回ご紹介した書籍

谷川嘉浩ほか:著
ネガティブ・ケイパビリティで生きる
わからなさを抱えながら生きる力を身につけたい方ににおすすめです。

  

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの? 
149.「気にしている」のではなく「気になっている」のです 
150.「自分の本質」を見えなくさせるもの
151.生きづらい人が死ぬときに後悔しない方法
152.生きづらい人のための「お金を使う優先順位」
153.「傷の舐め合いはよくない」は本当か?
154.自己憐憫のススメ
 


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「読むだけで生きる勇気が湧いてくる」と大好評をいただいている、しのぶかつのり(信夫克紀)の連載コラムです。
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