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更新日:2024年2月6日

「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ

 

「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ

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生きづらい人生の歩き方

 

第146回
「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ

 

┃「生きる意味沼」にハマる生きづらい人たち

 
「生きる意味」ビジネスが横行しています。
 
それだけ私たち人間は「生きる意味」を欲し、「生きる意味」を失うことを恐れているのでしょう。
 
なかには「誰でも、手軽に、かんたんに」生きる意味が見つかるかのように誘いかけてくる情報も少なくありません。
 
「生きる意味」さえ見つかれば、いつでもハッピー、人から感謝され、毎日が充実して、お金さえも自由に手に入る。
 
そんなふうに生きる意味をまるで「便利な魔法」のように取り扱うサービスもよく見かけます。
 
そのため、生きづらい人は「生きる意味ビジネス」に取り込まれやすい。
 
なぜなら、今自分が苦しいのは「生きる意味」がないからだと感じているからです。
 
「生きる意味」を手に入れさえすれば、こんなにもつらい状態から一気に脱け出せる。
 
だからなんとかして「生きる意味」を手にしたい。
 
しかも、できることなら誰でも可能な方法で、手軽に、かんたんに・・・。
 
毎日が猛烈にしんどいのですから、そう思うのも当然のことですよね。
 
そうして、次から次へと「生きる意味」を自分に与えてくれそうな本やセミナーや情報商材を手に入れる。
 
やがて「生きる意味沼」にハマっていく。
 
しかしお金と時間だけを奪われて、結局「生きる意味」を手にすることができなかった・・・。
 
とても切ないですよね。
 
じつはそのようなことをくり返しいる方が、あとを絶たないのです。
 
 

┃生きる意味は「生きるメリット」ではない

 
ではなぜ、生きづらい人は「生きる意味沼」で生きる意味を手にすることができず、逆に苦しむハメになるのでしょうか?
 
大きな要因の一つとして、みなさんに共通しているものがあります。
 
それは「生きる意味」と「生きるメリット」を取り違えているということです。
 
世間において、「生きる意味」は「生きるメリット」として語られています。
 
つまり、これをやれば楽しかったり、面白かったり、お金がたくさん手に入るよという「メリット」です。
 
しかし・・・。
 
生きづらい人は、そのような「生きるメリット」でごまかせるほど、楽な人生を生きてはいません。
 
毎日が苦しくて苦しくて仕方がない。
 
毎日が虚しくて虚しくて仕方がない。
 
そのなかで、楽しかったり、面白かったり、たくさんお金が手に入ったところで、一時しのぎにしかならない。
 
そこに「生きる意味」までは感じられないのです。
 
たしかに世間は「生きるメリット」さえあれば満足できる人であふれかえっています。
 
楽しかったり、面白かったり、たくさんお金が入りさえすれば、なんの迷いもなく生きていける人ばかりです。
 
そしてそれを「生きる意味」だと納得できてしまう人ばかりです。
 
でも、あなたは違う。
 
「生きるメリット」では、生きづらい人生をごまかせないのです。
 
だからコレも違う、アレも違うと「生きる意味沼」にハマらざるをえなくなる。
 
周囲の人が「生きるメリット」で悩みを解決している姿を横目に、
 
「なぜ私だけ・・・」
 
と孤独を深める結果になってしまうのです。
 
 

┃「生きる意味」はそれ以上分解不能

 
では、「生きる意味」とはいったいなんなのでしょうか?
 
「生きるメリット」でないとしたら、いったいなんだというのでしょうか?
 
それを説明するためには、私自身の体験を聴いていただくのがお役に立つかもしれません。
 
私は「生きづらさ専門カウンセラー」という仕事をさせていただいております。
 
この仕事は、世界中で私一人しかやっていないこともあり、気軽には休むことができません。
 
高熱があっても、家族の介護があっても、寝ていなくても、たんたんとご相談者様とのカウンセリングをさせていただきます。
 
その姿を見た世間の人から、
 
「なんでそこまでするの?」
 
と言われたことがなんどもあります。
 
一日二日休んだところで、収入にもそこまで影響ないし、と。
 
私の答えはシンプルで、
 
「これが私の生きる意味だから」
 
です。
 
その人はまったく納得できないという顔で、
 
「でも、つらいし、たいへんだし、寝てりゃいいのに、なんでわざわざ起きて話を聴いてあげるの?」
 
とおっしゃるので、私は、
 
「なぜなら、それが生きる意味だから」
 
と答える。
 
堂々巡りです。
 
するとその人は、やっぱりおっしゃるわけです、
 
「それだけ楽しいってこと?」
 
と。
 
楽しいわけないでしょ。
 
というか、生きづらい、死にたいと真剣に言っている人の話を聴いて楽しんでたら、相手に失礼でしょう。
 
ただ自分の「役割」があり、目の前にその「役割」が果たすべき「生きる意味」がある。
 
だから、やる。
 
それだけです。
 
でも相手は納得できずに、
 
「じゃあ、なんのためにやってんの?」
 
と、なんとかして「生きる意味」を「生きるメリット」として理解しようとするのです。
 
でも、それでは決して理解できないんです。
 
なぜなら「生きる意味」は、それ以上分解不能だからです。
 
みずからの子宮に新しい命が宿ったとわかった瞬間、それを「なによりも愛しい」と感じることにそれ以上の理由がないように。
 
「生きる意味」は「生きる意味」であり「生きる意味」でしかないのです。
 
 

┃「生きる意味」と「使命」

 
自分の「役割」にとって果たすべき「生きる意味」がある。
 
だから「生きる意味」は、「一度見つけてしまえばOK」というような人生の保証制度ではありません。
 
「生きる意味」は、一瞬一瞬に立ち昇ってくるもの。
 
自分の「役割」に対して、瞬間ごとに現れる果たすべき責任のことです。
 
その一瞬一瞬に現れてくる「生きる意味」をとらえ、責任を果たしていく。
 
まるでゲームの「パックマン」のように、自分の目の前にある「生きる意味」という「点」をパクパクと食べて進んでいくのです。
 
そのうち、はじめは「点」でしかなかった「生きる意味が」が、やがてつながり「線」となっていく。
 
ついにはそれが「面」となって、一つの形を成していくのが見えてくる。
 
私たちはその形のことを「使命」と呼ぶのかもしれません。
 
「使命」とは、文字どおり「命の使い方」のこと。
 
そう考えると、自分の「使命」は死ぬときになってはじめて見えてくるものなのかもしれませんね。
 
日々「生きる意味」という「点」を結んでいくなかで、死ぬ直前になってはじめて、
 
「ああ、これが自分の使命だったのかもしれない」
 
とその姿を理解するのかもしれません。
 
 

┃なぜ、どんなときも「生きる意味がある」と言えるのか

 
ナチスの絶滅収容所の中を生き抜いたビクトール・フランクルは言います。
 
どんなときも人生にYESと言う。
 
どんなときも人生に意味はある、と。
 
キレイゴトで軽々しく片づけるには、あまりに重い体験と言葉です。
 
フランクルは生きる意味を、人生から求められている「当為」(今、まさに成すべきこと)ととらえていました。
 
人生が自分になにをしてくれるのかを求めるのではなく、人生が自分になにを成すことを求めているのか。
 
だからフランクルは、ナチスの監視員から暴行を受けているときでも、精神科医として、この相手は今どんな心理でこのような暴行をはたらいているのかを冷静に分析しようと努めました。
 
そしてその結果を、収容所から無事に出られたあとに、自らの理論として発表することを決意していました。
 
つまりフランクルは、どんなときも人生に意味はあるという言葉によって、
 
「どんなに苦しくても、生きていればメリットがあるよ」
 
と私たちを優しく励ましているわけではない。
 
フランクルは、
 
「どんなに苦しくても、自分の役割において、今まさに成すべきことが厳然として目の前にある。だからそれを果たせ」
 
と発破をかけているのです。
 
だって家族から引き離され、殴られ、蹴られ、1日に水のようなスープ一杯しか与えられず、極寒の雪のなか裸足同然で長時間の土木作業を強いられ、動けなくなればガス室に送られ殺される。
 
そんな苦痛しかない状況に「生きるメリット」なんてあるわけがないでしょう。
 
あるのは「生きる意味」のみです。
 
するとここで「そんなことしてまで生きてなんの得があるんだ」と、またしても「生きるメリット」に話を振り戻してしまう人がいます。
 
そしてそれが「ふつう」でしょう。
 
でも・・・。
 
生きづらいあなたは「ふつう」ではありません。
 
なぜなら、もしあなたが「ふつう」の人であれば「生きるメリット」でごまかせてしまうから。
 
つまり、このコラムにたどり着くことすらなかったからです。
 
しかしあなたは現実に、このコラムにたどり着いた。
 
あなたの苦しみが「生きるメリット」ではごまかせないからこそ、今あなたは、こうしてこの長い文章をここまで読み進めてくれたのではないでしょうか?
 
それほどまでにあなたが日々抱えてきた苦痛は「ふつう」ではなかった。
 
尋常ではなくしんどかった。
 
生きづらかった。
 
だからこそあなたは、「生きるメリット」ではなく真に「生きる意味」を求めているのではないでしょうか?
 
そんな真に生きづらい方がいるからこそ、私は「 Adic Salon」を創りました。
 
世間の波風から身を守りながら、生きづらい人が安心して「生きる意味」を探求できるように。
 
もちろん、フランクルの真似を誰もができるわけではないでしょう。
 
すさまじい痛みや苦しみが与えられたとき。
 
「生きる意味」は消し飛んでしまい、ただただその痛みや苦しみから逃れたいと思うことしかできない。
 
人間には、誰だってそんな限界点があるでしょう。
 
しかし、逆に言えばその限界点に至ったときにこそ立ち現れてくるものが「生きる意味」なのではないでしょうか。
 
それが果たせるものなのかどうかにかかわらず・・・。
 
ただそのような極限状態でなくても、「生きるメリット」にとらわれるとき、私たちは失うのが怖くなり、死ぬのが怖くなり、モチベーションとやらがなければ行動すらできないひ弱な存在になります。
 
しかし「生きるメリット」ではなく「生きる意味」を実感するとき。
 
私たちは、おのずから「たんたんと生きる」のです。
 
浮かれず、騒がず、地を這うように、泰然と。
 
そこには「この生き方でいいんだ」という、疑いようのない「静穏な確信」がある。
 
そうして穏やかに、たんたんと行動できるのです。
 
だってそこに「生きる意味」があるのだから。
 
そして「生きる意味は」、それ以上、分解不能なのだから。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり
 
関連するコラム
生きづらいなら「役割」を果たして人生を落ち着かせよう
たんたんと生きる
 
参考文献
ともにV・E・フランクル著
夜と霧(フランクルの絶滅収容所体験
それでも人生にイエスと言う
 
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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.家にも世の中にも居場所がないときの解決法
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
132.もんもん耐性、それは自分の「本質」と向き合える力
133.生きづらい人はAIと仲良くなれる - 関係性のシンギュラリティ
134.「メンタルが強い人」のアドバイスを真に受けない
135.雑談力は必要か?雑談できないあなたへ
136.嫉妬しやすい人が「嫉妬しない人」になりたいなら
137.お金に振り回されなくなる「二つの力」
138.日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
139.自分は本当に「生きづらい」のだろうか?
140.生きづらい人はコミュニケーションが得意という事実
141.内にこもりたいとき、あなたはどうしていますか?
142.「憧れの人」を目指すな - ビジネスの成功者に憧れる生きづらい人へ
143.私には不満がない
144.「無駄にプライドが高い人」が好きだ
145.その他大勢になるな、唯一無二のままであれ。
146.「生きる意味」が見つからない、生きづらい人へ
147.「異物」として生きて
148.FIRE達成!で、どうするの? 
 


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