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更新日:2022年12月12日

「誰でもHSP症候群」にかかった日本

 

「誰でもHSP症候群」にかかった日本

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生きづらい人生の歩き方

 

第126回
「誰でもHSP症候群」にかかった日本

 
この記事は、HSPを「批判」するためのものではありません。
 
かといって、HSPを「擁護」するための記事でもありません。
 
現在、日本で起きているHSPの「流行」を冷静に眺め、あなたに役立ててもらうための記事です。
 
私はこの流行を「誰でもHSP症候群」と呼んでいます。
 
この「症候群」を詳しく見ていくことで、あなたは、その「流行」に巻き込まれないメタ視点を手に入れることができるでしょう。
 
 

目次

「HSP」と「HSPで苦しんでいる人」の差があまりにも大きい
HSPのお悩みを長年聴きつづけて感じる変化
私がHSPを名乗らず、コラムにも書いてこなかった理由
なぜこんなにHSPが「流行」したのか?
HSS型という「新しいHSP」の流行でさらに混乱する日本
HSPが生きづらい人に受け入れられた最大の理由
悩みに名前(HSP)をつけるデメリット
まとめ

 


┃「HSP」と「HSPで苦しんでいる人」の差があまりにも大きい

 
耳をふさぐ女性

 
HSPとはHighly Sensitive Personの略。
 
心が敏感で、さまざまな刺激を感じやすい人のことです。
 

 
よく誤解されがちですが、HSPは西洋医療の診断名ではありません。
 
つまり、誰でも名乗ることができます。
 
ネット上で「4個」ていどの質問に答えるだけで、HSPかどうかを判定してくれるサイトもあります。
 
なかには、そのような判定すら求めず、ちょっと目にしたHSPの記事を読んで、
 
「そうか私ってHSPだったのか!」
 
と自己判断される方もいます。
 
その結果、生じているのが、「HSP」と「HSPで苦しんでいる人」との差です。
 
HSPと名乗っていても、そのことにあまり苦しみを感じていない人と、生活に支障があるほど激しく苦しんでいる人がいる。
 
そこに「猛烈な差」が生じているのです。
 
「個人の性質を表す言葉」で、その苦悩の量にここまで大きな差があるものは珍しいでしょう。
 
じつは、この「猛烈な差」によって、生きづらい人たちが苦しんでいます。
 
それを少しでも解消したい。


それが、私がこの記事を書こうと決意した大きな動機の一つです。
 


┃HSPのお悩みを長年聴きつづけて感じる変化

 
HSPの「猛烈な差」。
 
これによって、生きづらさを抱えた方たちの苦しみが、以前より社会で軽んじられていることを感じます。
 
私は長年、生きづらさ専門カウンセラーという仕事をしています。
 
ご相談者様のほとんどは、HSPだと自覚されています。
 
光や音や匂いにもとても敏感なため、学校や会社という集団のなかにいるだけでも、苦しいと感じる方も少なくありません。
 
HSPという言葉の出現によって、そのようなわかりにくい苦しみを、なんとか集団側に伝え、理解してもらいやすくなってきていました。
 
ところが・・・。
 
ここまでHSPが「流行」してしまったことで、HSPという言葉の「信頼性」が、現在あきらかに薄れてきているのです。
 
つまり「HSPで苦しんでいる人」以外の人も、HSPという言葉を多用するようになったため、
 
「HSPなので・・・」
 
と説明しても、
 
「お前もかよ」
 
で終わってしまうようになったのです。
 
これは、ご相談をお受けした当初とは大きく違う状況です。
 


┃私がHSPを名乗らず、コラムにも書いてこなかった理由

 
よく聴かれることがあります。
 
「なぜしのぶさんは、HSPという言葉を使わないのですか?」と。
 
私は10年間、無数のコラムをWEBに公開してきましたが、HSPについては一度も書いてきませんでした。
 
著書のなかでも、HSPという言葉は使っていません。
 
なぜなら、HSPという概念を知ったときに、「HSP」と「HSPで苦しんでいる人」との差が大きくなることが予想されたからです。
 
まず、HSPのチェック項目を見て、当てはまる人があまりにも多いと感じました。
 
私自身、ピタリと当てはまりましたが、プロフィールにも記載しませんでした。
 
とにかく、今後起こるであろうHSPの「流行」には加担しない方がいい、その「流行」とは離れたの文脈で相談をお受けできる場を用意しておきたい。
 
そう考え、HSPという言葉を使うことを避けてきたのです。
 
もちろん、積極的にHSPという言葉を使った方が、ビジネス的には「おいしい」でしょう。
 
確実に儲かると思います。
 
しかし・・・。
 
代わりにこのBrain with Soulの「生きづらい人の最後の砦」としての「役割」は失われてしまうでしょう。
 
そう判断し、HSPについてのコラムを書かず、自身のプロフィールに載せることもしてこなかったのです。
 


┃なぜこんなにHSPが「流行」したのか?

 
HSPの札をもった男性

 
「誰でもHSP症候群」にかかっている現在の日本。
 
ではなぜここまで、HSPは「流行」したのでしょうか?
 
たくさんの要因がありますが、大きく二つのことが関係しているでしょう。
 
一つは、HSPは誰でも「名乗る」ことができるという点です。
 
HSPは、西洋医療の診断名ではありません。
 
なので、極端に言えば、自分でHSPだと思えばHSPだと名乗ることができるのです。
 
二つ目は、「自己完結」できるという点です。
 
HSPは、相手を必要としません。
 
ここが、同じように流行し定着した「毒親」や「モラハラ」といった言葉たちと大きく違うところです。
 
「毒親」は自分のことではありません。
 
だから、たとえあてはまっても、自分の親をそう名づけることに少なからず抵抗を感じる人が多いです。
 
モラハラをはじめとした「ハラスメント」も、相手の行為を指す言葉です。
 
そのため、ハラスメントされたと感じても、そうかんたんに自分で決めつけられない場合が少なくありません。
 
しかし、HSPは自分の性質の問題です。
 
誰かを巻き込んで名乗る必要がない。
 
その「自己完結」できる抵抗感の薄さが、HSPを名乗りやすくさせている。
 
カウンセリングの現場で、HSPを自覚される多くの方のお話をうかがっていて、そのことを実感します。
 

┃HSS型という「新しいHSP」の流行でさらに混乱する日本

 
さらに、HSPの流行に拍車をかけているのが「HSS型HSP」です。
 
HSS型HSPはと「好奇心旺盛で外交的」なHSPのことです。
 
つまり、刺激を求めるのに、刺激が苦手という苦しい両極問題を抱えていることになります。
 
これは、つらいですよね。
 
ただ、主にこの「好奇心旺盛」のところに着目して、HSS型HSPを名乗る人が急増しています。
 
ブログやポッドキャスト、Youtubeなどを見ていても、ものすごい数の人が、HSS型HSPを自認しています。
 
そのため、とくに生活に支障はなくても「台所のシンクのぬめりが気になる」といった方もHSS型HSPを名乗っています。
 
なかには、過激な言動を売りにしたテレビタレントがHSS型HSPを「告白」したりもしています。
 
これは、テレビに出て過激な言動を何十年もしつづけてこられた人と、たった一言で傷つき寝込んでしまう人が、HSPという同じ土俵で語られているということです。
 
また、「医師に診断されたわけではないですが、私もHSS型HSPだと感じています」という情報発信者も目にします。
 
つまり、HSPが西洋医療の診断名かどうかも知らずにHSPを情報のネタにできてしまえる人と、心が敏感すぎるがゆえに決して気軽にHSPと口にできない人が、同じHSPという土俵で語られているということです。
 
その流れに乗るように、「カウンセラー」もこぞってHSPの記事を書いています。
 
さらには「HSP専門」を名乗るカウンセラーも、目に見えて増えていくのがわかります。
 
言ってみれば、HSS型HSPの流行によって、HSPが「いいビジネスのネタ」にされている。
 
現状を見る限り、それはあまりにもあきらかで否定できません。
 


┃HSPが生きづらい人に受け入れられた最大の理由

 
ここまで、HSPが日本社会で「流行」した要因を観てきました。
 
次に、この「流行」を生きづらい人に絞って考えてみたいと思います。
 
なぜ生きづらさを抱えている人たちが、HSPをこんなにも受け入れているのでしょうか?
 
それは、
 
「自分の悩みに名前が欲しいから」
 
だと言えるでしょう。
 
生きづらい人の多くは、「グレーゾーン」で苦しんできました。
 
あきらかに生きるのがつらい。
 
にもかかわらず、診断名がつくわけでもなく「異常はない」とされてしまう。
 
そして、その生きづらさを「心の弱さ」「意志の弱さ」としてなじられてきた苦しい経験をしてきました。
 
つまり、自分の心の敏感さに、大きな引け目を感じて生きてきたのです。
 
そこに、自分を一言でうまく表現してくれる「HPS」という言葉に出会った。
 
その言葉を、プロフィールとして積極的に使うことは当然の流れだと言えるでしょう。
 
それほどまでに、苦しい経験をし、大きな引け目を感じてきたのですから。
 
そしてこの「苦しい経験」「大きな引け目がある」があるかどうかこそが、先ほど申し上げたHSPの「猛烈な差」にそのままなっているのです。
 
つまり、「HSPで苦しんでいる人」と「生活に支障はないけどシンクのぬめりが気になるからHSS型HSPを名乗ってる人」との決定的な差。
 
また「HSPで苦しんでいる人」と「医師に診断されたわけではないといった誤った認識で軽率にHSPを名乗っている人」との決定的な差だということです。
 
ブログサービスやPodcastで、HSPと検索すると、生きづらさを感じている膨大な数の人が出てきます。
 
今や、情報発信している生きづらい人で、プロフィールに書いていない人もいないくらいだと感じられるくらいです。
 
まさに、HSPは生きづらい人の「必須資格化」している状態です。
 
それほどまでに、名前のつかない悩みを抱えて生きることは苦しいのです。
 
「必須資格化」は、そのあらわれの一つだと私は考えています。
 

参照記事
生きづらさとはいったいなにか?
グレーゾーンの生きづらさ、名前のない生きづらさについて詳しく解説しています。

 


┃悩みに名前(HSP)をつけるデメリット

 
落とし穴

 
もちろん、生きづらい人が、自分の悩みにHSPという名前をつけることにデメリットもあります。
 
その最大のデメリットは、「完全な被害者」の側に自分をもっていきやすいという点です。
 
参照記事
生きづらさをこじらせる完全な被害者バイアスとは?
完全な被害者という概念について詳しく解説しています

 
HSPという言葉は、先ほども申し上げたとおり「自己完結」できるので、明確な加害者を必要としません。
 
そのため、自分の苦しみの責任を全方位に負わせやすい。
 
つまり「完全な被害者」の側に居つづける「便利な道具」として使いやすいのです。
 
しかも、HSPは誰の許可もなく「自分で名乗れる」ものですから、そのハードルはとても低い。
 
いつも申し上げていますが「完全な被害者」におちいると、生きづらさからは脱け出せなくなります。
 
HSPは、その「完全な被害者」になりやすい。
 
自分の悩みにHSPと名づけるさいには、その点には充分注意していただきたいと切に希望します。
 


┃まとめ

 
今回は、HSPという言葉について、やや否定的な見解を述べさせていただきました。
 
ただ、HSPという言葉の「流行」によって、多くの救われている人がいること。
 
それは、最前線で生きづらい人のご相談をお受けしている一人として、強く自覚しています。
 
とはいえ、いくらなんでも広まりすぎたのではないかというのが、じっさいの感想です。
 
とくに、最後にご紹介した「完全な被害者」におちいりやすい点については、本当に気をつけていただきたいと思います。
 
あなたがこの記事によって、HSPに対するメタ視点を手に入れ、活用していただけることを心から願っています。
 

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生きづらい人生の歩き方 <目次>

1.生きづらい人がAI時代に生き残れる仕事とは?
2.「世界一即戦力な男」に見る引きこもり脱出の糸口
3.生きづらい人向け「ビジネスの成功法則」
4.あなたは「善人」ですか「悪人」ですか?
5.お金は好きですか?-生きづらい人が陥るお金のジレンマ
6.「お金もうけ」にとらわれなくなる話
7.生きづらい人は「リア充」より「ジツ充」を目指そう
8.我慢してるのに自分勝手と言われる
9.生きづらさの正体
10.死んでも世界はつづくのか?
11.実存を充実させる生き方
12.他人の目が気になる人へ
13.「ジツ充」の極め方
14.不安の上手な対処法
15.変えられること、変えられないこと
16.「変えられること」の見つけ方
17.感情に飲み込まれない方法
18.自分と同じ症状の人が見当たらない
19.人生を変える方法
20.人生が変わる瞬間に必ず起こる問題
21.「心の空間」を生きる
22.話が噛み合わないと感じるなら
23.人生に疲れ果てたとき
24.「自分らしさ」とは何か?
25.AIと張り合うくらいなら
26.ジツ充とジコチュウの違い
27.社会に絶望している人へ
28.ネガティブ思考を変える適切な方法
29.生きづらい人は仕事を「三つ」もとう
30.心の健康法の効果が出ない理由
31.ベーシックインカムで将来も安心?
32.「悩み解決書」で悩みが解決しない理由
33.生きづらさを癒す一つの方法
34.もっとクヨクヨ考えよう
35.仕事を三つもつ理由
36.好きなことを仕事にする…?
37.苦しみの活かし方
38.向かい風を追い風にする生き方
39.行動力を身につける方法
40.お金との上手なつき合い方
41.自己洗脳と自己欺瞞
42.人並みという幻想
43.元気がないと幸せになれないのか?
44.「社会の常識」に振りまわされない
45.気が休まらない…
46.綺麗事に気づいてしまう人
47.生きづらい人が起業を成功させられる理由
48.そんなかんたんな話じゃない
49.人に気をつかい過ぎて疲れしまう
50.悩み過ぎて体がガチガチ
51.正解なんてない
52.心に余裕がない
53.誰に相談したらいいのかわからない
54.やる気はどこから湧いてくる?
55.人と対立してしまう
56.許すか、許さないか
57.生き方を決める
58.好きなこと探しの迷宮
59.生きづらさは誰のせい?
60.集中しすぎてしまう
61.居場所がない
62.不用意に交友関係を増やそうとしない
63.自分を最強の味方にする方法
64.世間のしがらみから脱け出したい
65.あと一歩が踏み出せない
66.なぜメンタルが弱いのだろう…?
67.生きづらい人が「苦手」を克服する方法
68.心配ごとが頭から離れない
69.認められたいのに認めてもらえない
70.引きこもりは「悪いこと」なのか?
71.楽に生きたい
72.失言が多いので減らしたい
73.誰も心配してくれない
74.お金の上手な使い方
75.やる気が出ないのはなぜなのか?
76.深く悩んでいる人の方が「えらい」のか?
77.生きづらい人が幸せになりたいなら
78.この人と結婚していいのか?
79.心が敏感な人向けの対処法から抜け落ちている視点
80.人生を変えられる人と、変えられない人の違い
81.親が嫌いな自分はおかしいのか?
82.著名人と自分を比べてしまう
83.自分を信じられない
84.上司や部下に言うことを聞いてもらえない
85.劣等感は克服も解消もしなくていい
86.ポジティブシンキングがうまくできない
87.結果だけで判断される社会
88.「自分がされたら嫌ことは他人にしてはいけない」の嘘
89.「性格が悪い」と言われてしまう
90.「ありのままの自分」というやっかいな問題
91.「お金」以外に8つの基準をもとう
92.どうしてこんなにつらいのに誰にも伝わらないのだろう?
93.仕事が恐い、職場が恐い - その恐怖の正体と解決策
94.「恩知らずな人」を許せない
95.他人を不愉快にさせてしまう
96.「等身大の自分」という言葉にひそむ罠
97.有効な「貯金」の仕方を身に着けよう
98.「なぜ怒っているのかわからない」と言われてしまう
99.頑張っているのに結果が出ない・・・
100.自分を「弱い」と感じている人へ
101.集団になじめないなら「思いどおり」にやろう
102.無駄に苦しんできただけだった
103.お金の不安をなくす方法
104.私の「すべて」をわかってもらいたい - わかってもらいたい症候群
105.なぜ苦しみを「克服」できないのか?
106.生きづらいなら「心地よい人生」を目指そう
107.生きづらい人は「扁桃体をいたわる生き方」を身に着けよう!
108.生きづらい人が自由になれる「メタ思考」とは?
109.世間との「ほどよい距離」の取り方とは?
110.たんたんと生きる
111.生きづらい人が目標を達成できない本当の理由
112.三理一体の法則がうまくいかない人の共通点とは?
113.カタルシスが生きづらさ脱出の「起爆剤」になる理由
114.「生きづらさ克服」の気力を失いそうなあなたへ
115.「仕事に行きたくない、家にいたい」当事者の声と具体的な対処法
116. 気が弱い人が人生を変える極意
117.消えない恨みへの「レベル別」対処法
118.生きづらさをこじらせる「完全な被害者バイアス」とは?
119.生きづらいなら「役割」を果たし人生を落ち着かせよう
120.生きづらい人にもっとも大切な支援
121.生きづらい人は「意志が弱い」のか?
122.自分軸よりも大切なもの -「実存軸」で生きよう
123.人の言葉に傷つきやすい人が知ると楽になる二つの事実
124.メタ思考力を鍛えたいなら「バカ」や「アホ」ともつき合おう
125.生きづらさの「原因」を安易に特定するネット記事が多すぎる
126.「誰でもHSP症候群」にかかった日本
127.「結論だけ欲しがる社会」に踊れされるな
128.生きづらい人は「ギバー」を目指さなくていい
129.「一人で生きていく」と決めた生きづらい人に必要な覚悟
130.マイノリティは、なぜ生きづらいのか?
131.生きづらい人の「意識」の上手な活かし方
 


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